「素晴らしい。これは傑作」「彼女こそ、真のグラディエイター」著名人から激賞コメント到着『TATAMI』
「第36回東京国際映画祭」(2023年)で審査委員特別賞と最優秀女優賞の2冠を達成した話題作『TATAMI』が、2月28日(金)より公開される。このたび、監督・女優・キャスティングの三役に挑んだ才媛ザーラ・アミールのコメントと、著名人からの激賞コメントが到着した。
政府に服従するか、自由と尊厳のために戦うか
『SKIN 短編』(18)で「第91回アカデミー賞」短編実写映画賞を受賞し、A24配給の長編版も発表したイスラエル出身のガイ・ナッティヴと、『聖地には蜘蛛が巣を張る』(22/アリ・アッバシ監督)で「第75回カンヌ国際映画祭」女優賞を受賞したザーラ・アミールが監督を務める。映画史上で初めて、イスラエルとイランをルーツに持つ2人が共同で演出した本作は、実話をベースにした社会派ドラマ。スポーツ界への政治介入や中東の複雑な情勢、イラン社会における女性への抑圧を背景に、アスリートたちの不屈の“戦い”を臨場感溢れる映像で描き出す。
ジョージアの首都トビリシで開催中の女子世界柔道選手権。イラン代表のレイラ・ホセイニと監督のマルヤム・ガンバリは、順調に勝ち進んでいくが、金メダルを目前に、政府から敵対国であるイスラエルとの対戦を避けるため、棄権を命じられる。自分自身と人質に取られた家族にも危険が及ぶ中、怪我を装って政府に服従するか、自由と尊厳のために戦い続けるか、ふたりは人生最大の決断を迫られる……。2019年、日本武道館での世界柔道選手権で実際に起こった事件をベースに映画化された。
監督・女優・キャスティングの三役に挑んだ才媛ザーラ・アミール
今作で監督・女優・キャスティングディレクターを兼務したザーラ・アミールは、人気 TVシリーズ「Nargess(英題)」(06-07)で人気を博し、国民的女優として成功を収めていた。だが、第三者によるスキャンダルの被害者となり、2008年にイランからフランスへ亡命した。2018年に世界49以上の映画祭で上映された鬼才アリ・アッバシ監督作『聖地には蜘蛛が巣を張る』(22)で主役のジャーナリストを演じ、「第75回カンヌ国際映画祭」女優賞に輝いた。本作では、監督のマルヤム・ガンバリ役を演じながら、共同監督、キャスティングディレクターを兼任。2022年にBBCの「100人の女性」に選出され、世界で最も影響力のある女性の 1人として活躍する才媛だ。
ザーラ・アミールが出演した『聖地には蜘蛛が巣を張る』を観て衝撃を受けた共同監督のガイ・ナッティヴは、迷わずに出演オファーを送った。マルヤム役としての出演のみの予定だったザーラは、自身のキャリアで学んだ知識と経験を活かし、キャスティングやアソシエイトプロデューサーとしても制作チームに参加。作品にリアリティを持たせるために様々な助言をする過程で、ガイ・ナッティヴがザーラに共同監督を依頼することになった。
ガイは「ザーラは自然の力のような、計り知れない力を持つ存在でした。すぐに彼女に監督役のマルヤムを演じてほしいと思いましたが、お互いを知るにつれて、私たちのパートナーシップはそれ以上のものになると確信するようになりました。彼女の優れたセンス、細部へのこだわり、そして猛烈な仕事への姿勢はすぐに際立っていきました。私はイランの物語を伝えるために、イラン人の映画監督と協力したいと思っていましたし、ザーラが監督デビューを考えていることも知っていました。彼女には野心があったのです。またザーラと私は映画に対する嗜好がまったく同じでした。よりヨーロッパ的で、境界を押し広げるような作品が好きだったので、プロセスはとても自然でした。私たちはすぐに意気投合し、初日の撮影では何年も一緒に仕事をしてきたパートナーのように感じました」とコメント。柔道に関するリサーチやイランチーム特有のニュアンスまで徹底したザーラの姿勢を見たガイは、「私がこれまでに仕事をした中で最も深く、感情的で繊細な演技をする俳優の1人です。彼女は毎日、マルヤムというキャラクターにより深みを持たせるための新しいアイデアを 100 個も持って現場に来ました。彼女と一緒にこのキャラクターを作り上げることができたのは、素晴らしい体験でした」と振り返っている。
ザーラ自身も、「映画的なビジョンと、誰もが共感できるような、より普遍的な表現とのバランスを見つけるのは簡単ではありませんでしたが、ガイや共同脚本のエルハム、そして柔道選手の友人たちの助けを借りて、マルヤムのキャラクターを作り上げることができました。マルヤムがレイラとの関係や、彼女が苦しんでいるシステムにどのように適合するのかを描くことは、女優としての個人的なアプローチや冒険にもなりました」と、全てのスタッフ、キャスト共に作り上げた映画が『TATAMI』だと語っている。
<コメント>
マライ・メントライン(ドイツ公共放送プロデューサー)
素晴らしい。これは傑作です!!日本のいわゆるスポ根ドラマとは全く異なる角度からスポーツの深みを描いた、いや「武道」による心身のサバイバルというものを描き抜いた凄い映画です。
町山智浩(映画評論家)
世界柔道選手権で勝ち進むほど、大事な家族が政府に追い詰められていく。
それでもレイラは「畳」にすべてを賭ける。彼女こそ、真のグラディエイターだ!
古田英毅(柔道専門メディア「eJudo」編集長)
2019年東京世界選手権、私たちの眼前で起こった「事件」がモデル。抑圧に抗って戦い続けるレイラの勇気に心揺さぶられる。
近い視点の競技描写が秀逸。説得力あり、美しい。作劇と競技へのリスペクトの幸せな両立だ。
奥浜レイラ(映画・音楽パーソナリティ)
主人公の立ち向かうべき相手が対戦者から、姿を見せない巨大な権力へと変化していく。その隙のない展開に釘付けになった。本作はイランから亡命した俳優とイスラエル生まれの監督が共同で制作した初めての映画だ。事実から映画となり目の前に差し出されたこの不屈の精神から、我々が受けとるものはあまりにも大きい。
長野じゅりあ(俳優・タレント)
試合のシーンは緊張感が伝わってきて臨場感がもの凄かったです。
畳の上で1人で戦っている姿に感動しました。
レイラの葛藤、そして芯の強さに心動かされ、私も勇気を貰うことができました。
徳田直弘(畳屋ラッパー)
畳に戻れ!必死に生きろ!
日本発祥の競技が世界に広がり、その精神性までもが浸透している。
何のために生きるのか、なぜ試合に挑むのか、なんで想いを貫くのか。
畳の上で繰り広げられる葛藤に心を打たれた。今も挑戦する者の闘いは続いている。
どんな状況下でも、俺は背中を押す人でありたい。
辻愛沙子(株式会社arca CEO / Creative Director)
組織や国家という大きな壁を前にすると、個人の意志や思いや抗いはとても小さく弱く脆いものに思えます。それでも、意志を持って理不尽と不正義に抗い立ち上がる、そんな女性の物語。「君は僕のヒーローだ」と彼女の背中を押し続ける夫の言葉に胸を打たれました。 全ての人が自分らしく自由な人生を歩める日を願って。
『TATAMI』は2月28日(金)より新宿ピカデリーほか全国ロードショー