岡山県「苫田ダム」に潜入!夏休みのお出かけや自由研究に!見学会やダムカードイベントも(鏡野町)
こんにちは!月子です。今回訪れたのは、岡山県鏡野町にある「苫田(とまた)ダム」。重力式コンクリートダムでは日本で初めて「ラビリンス型自由越流頂」を採用したことで知られています。なんとこのダム、内部に入って見学できるんですよ!夏休みの自由研究としてだけでなく、大人の学びとしてもおすすめです。さらに、集めたくなるダムカードや見学ツアー、アクセス情報についてもご紹介します。
苫田ダムとは?
苫田ダムは、岡山県苫田郡鏡野町にある重力式コンクリートダムです。重力式コンクリートダムで日本初のラビリンス型自由越流頂部を採用していることが特徴です。2005年3月に完成し、今年で20周年を迎えています。堤頂(ていちょう)の長さは225メートル、高さは74メートルもあり、ここを車で横断できます。この堤頂からのながめも素晴らしいのでぜひご覧ください。
重力式コンクリートダムで日本初!「ラビリンス型自由越流頂」とは?
苫田ダムは、重力式コンクリートダムで日本初の「ラビリンス型自由越流頂」を採用したダムなんです。ラビリンスとは迷宮のこと。実際に見てみると、とっても大きい!写真にあるように、ジグザグに曲がった形状がその由来です。この形のおかげで、水が流れる部分の長さが伸びて、一度にたくさんの水をスムースに流せる仕組みになっているんですよ。しかも、ダム本体を大きくしなくて良いのでコストも抑えられるんです。
ダムは何のためにあるの?
ダムの目的には、「治水」と「利水」の2つがあります。苫田ダムはその両方の機能を持つ「多目的ダム」です。「利水」としては、発電、かんがい用水、私たちの生活に欠かせない上水道用水、さらには工業用水としても利用されています。「治水」としての役割は、大雨の際に洪水を防いだり、被害を軽減することです。
ダムの放流はいつ?
(写真提供:国土交通省 中国地方整備局 苫田ダム管理所)
ダムといえば迫力満点の放流ですよね!ただ、苫田ダムでは観光放流は行われていません。そのため、事前にいつ放流するかは分かりませんが、大雨の翌日などに運が良ければ見られることもあるそうです。
(写真提供:国土交通省 中国地方整備局 苫田ダム管理所)
さらに、迫力満点のラビリンス型自由越流頂からの貴重な放流画像をお借りしました。この放流は実際には一度しか行われておらず、その理由は、この放流が起こる時点でダムにこれ以上水を貯められない、非常に危険な状態だからです。画像はダムができた当初の試験放流の際に撮影されたものです。このような状況が訪れないことこそ、私たちの安全で平和な暮らしの証ですね。
ドキドキのダム内潜入!
苫田ダムでは、驚くことにダムの内部に入ることができるんです!しかも、自由に見学できます。堤頂の中央に堤体内見学入口がありますので早速、入ってみましょう。階段で地下1階に降りてから、エレベーターで地下2階まで下ります。
ひんやり!地下2階、ダムの奥深くへ潜入体験
エレベーターで地下2階に到着。一歩踏み出せばひんやり!とっても涼しいんですよ。降りた場所に温湿度計があり、気温22度、湿度70%を示していました。エアコンが効いているわけではなく、年中この気温だそうです。
わぁ…この向こう側には大量のダムの水があるのね……!と思うとドキドキ。床は結露で滑りやすくなっているので気をつけてくださいね。
見学室は放流ゲートも間近!
通路を進み突き当たりの階段を上ると、ダムの外が見られる見学室にたどり着きます。あの巨大なダムの、真ん中にいるなんて感動します!この日はゲートから放流はしていませんでしたが、放流時は大迫力なんでしょうね。見てみたい!
水の圧力を支えるゲート
見学室の両側に見えるのが「引張りラジアルゲート」です。この大きさ、ぜひ実際に見てみてください。ゲートを引っ張って水をせき止める仕組みです。引張る力には強いという鋼の特性を活かした構造で、従来のゲートに比べて小さなスペースに設置することが出来るため、コストの削減にもつながっているそうです。
記念撮影にもぴったりな展望台
見学室入口から出て左に進んだところにある階段を上ると、ダム湖である奥津湖を一望できる展望台になっています。カメラスタンドも設置されているので、記念撮影にもぴったり!また、QRコードがあり、読み込むと苫田ダムの画像や動画が見ることができます。このQRコードは数ヶ所に設置されているので、探してみてくださいね!
展望台からの景色
雄大な山々と、静かに水をたたえる湖面の奥津湖を一望できます。この湖の湖底には、かつて人々の暮らしがあった町が沈んでいます。苫田ダムの建設にあたっては、地域の方々のご協力があるのですね。
中央に見えるオレンジの浮きは、ダムにゴミが流れ込まないよう設置されたものです。
苫田ダム管理所
こちらは苫田ダムの管理所。1階には展示室があり、その上にはもう一つの展望台があります。
管理所の展示室で学び体験!
管理所1階の展示室では、苫田ダムに関するさまざまなことが学べます。ダムの目的や歴史、周辺の生きものについてのわかりやすいパネル展示のほか、関連書籍、そしてダム建設時に実際に使われた工具なども展示されています。工具やワイヤーロープの大きさと重さにびっくり!実際に手に取って体感してみてくださいね。
引張りラジアルゲートの模型
こちらは引張りラジアルゲートの模型です。ボタンを押すと、ゲートが開く仕掛けとなっています。こういう体験型のものって、ワクワクしますよね!
精巧な苫田ダム模型
精巧に作られた苫田ダムの1/250模型です。また、苫田ダム貯水池周辺模型もあり、そちらではダムができる以前にあった町の面影を見ることができます。
職員の方によるわかりやすい説明が聞ける見学会
苫田ダムでは、平日に見学会が行われています。職員の方が約1時間にわたり、丁寧に説明してくださる内容です。まず展示室でスライドを用いた説明を受けた後、実際に外に出て、堤体内見学室などを見学しながら解説をしていただけます。今回参加させていただきましたが、とてもわかりやすく、文字や写真だけではイメージしづらい部分も、直接説明を聞くことでしっかり理解することができました。
【見学会】
開催:平日のみ
所要時間:約1時間
申し込み方法:苫田ダム公式サイトの申込書をFAX又はメールにて送付
申込期限:見学希望日の2週間前まで
苫田鞍部(あんぶ)ダム
苫田ダムの紹介はここまで…と思いきや、実はもう一つ、見逃せない場所がありました。苫田ダムの近くにあった謎の場所。ここは一体……?この岩や石でできた大きな斜めの壁……なんだろうこれ!?と思っていたのですが、これも実はダムだったのです。「苫田鞍部ダム」といい、満水時に水があふれ出るのを防ぐために整備されたロックフィルダムです。この堤体の模様は、苫田ダムの特徴である「ラビリンス型」をモチーフにしてデザインされています。
集めたくなる!ダムカード
みなさん、「ダムカード」をご存じですか?全国統一デザインで発行されている、ダム好き必見のコレクションカードです。表面には各ダムの写真が、裏面にはダムの型式や完成年、貯水容量などのデータが記載されています。写真の脇に並ぶアルファベットは、ダムの型式(例:Gは重力式コンクリートダム)や目的(例:Fは洪水調節)を表しているんですよ。苫田ダムでは管理所で無料配布されており、ご希望の方はインターフォンで名前と「ダムカード希望」の旨をお伝えするといただけます。これはもう、集めずにはいられませんね!私の収集心がうずきます。
ダムカードイベント開催中
2025年7月22日からダムカードイベントが始まりました。集めたカード枚数に応じて「中国地方ダムマニア認定書(名前入り・オリジナル)」が交付されます。コンプリートコースでは全87種が必要ですが、5種類以上から認定証がもらえます。交付場所や交付方法等の詳細はリンクイベント開催要領をご参照ください。
【第9回 中国地方整備局ダムカードイベント】
交付期間:2025年7月22日(火)~8月29日(金)
交付方法:交付場所でカードの収集数が確認できる資料を提示、または郵送でも申請可能
苫田ダム管理所 吉野係長 からのメッセージ
今回、苫田ダムについて教えてくださった苫田ダム管理所 吉野係長です。取材にも大変親切に対応してくださり、丁寧でわかりやすいご説明のおかげで、苫田ダムについてより深く知ることができました。
吉野係長は「苫田ダムは地域の皆さまのご理解とご協力の下、管理開始から20年が経過いたしました。引き続き地域の安全・安心な暮らしのため、期待に応えられるよう、尽力いたします。また、堤体内見学室と管理所1階の展示室は年中無休でご利用(利用時間8時30分~17時00分)いただけますので、ぜひ一度お越しください」と仰っていました。
見学時間・所在地・アクセス情報まとめ
【苫田ダム】
見学時間:8:30~17:00(見学自由)
所在地:岡山県苫田郡鏡野町久田下原1592-4
TEL:0868-52-2151(苫田ダム管理所)
交通アクセス(車):中国自動車道院庄ICから約25分
交通アクセス(公共):JR院庄駅から石越行きバス約20分「関屋」下車、徒歩約25分
駐車場:普通車30台、大型車2台
トイレ:あり
おわりに
重力式コンクリートダムでは国内初の「ラビリンス型自由越流頂」を備える苫田ダム、いかがでしたでしょうか。ダムの中への潜入体験はドキドキワクワク!子どもも「ダムの中に入れて楽しかった!」と言っていました。私たちを支えるインフラがどのようになっているかという学びになります。夏休みの自由研究や、大人の学びにもぜひ一度足を運んでみてくださいね!