【静岡県】「なければ人生終わる」静岡県の小学生が愛用する「横断バッグ」て何?
小学生が登下校に使うのは、ランドセルが一般的だ。だが、静岡県の小学生はもうひとつ、謎の持ち物を使うという。
静岡市へ行き少年サッカーチームの皆さんに、登下校の持ち物を聞いてみた。
「教科書!」「パソコン!」「おうだんバッグ!」・・・パソコンにも引っかかりつつ、聞きなれない言葉に興味が湧く。何バッグ?「おうだんバッグ!」なにそれ?
「おうだんバッグだよ〜」あんた知らないの?という感じで言われてしまった。
「小学生といえばランドセルとおうだんバッグ!なければ人生終わる」
それば大げさだけど、「おうだんバッグ」というものがあるらしい。
今度は夜、かつては小学生だった中年の皆さんにも、登下校時のアイテムを聞いた。
「画板、絵の具セット。あと黄色いおうだんバッグ。」
おうだんって何すか?「横断歩道の横断。知らないっていったら静岡県民じゃないですね。」
おうだんバッグは「横断バッグ」だった!
そこで今度は、小学生たちの投稿の様子を観察。ぞろぞろと集団登校する小学生たちは、背中にランドセルを背負い、手には謎の黄色い手提げ袋を持っている!横には「横断中」の文字と横断歩道のマークがプリントされている。
今度は沼津市の小学校を訪問。ここでもみんな黄色い横断バッグを持っている。
「この色は目立つから横断歩道を渡る時に、車に乗ってる人に知らせやすい。」
なるほど、生徒たちの安全のためなんだね。裏側には交通標語も書かれている。
「横断は 見るくせ 待つくせ 止まるくせ」
中には何が?ある女の子が中身を出して見せてくれた。
「水筒と、お箸と、ランチョンマットと、手袋、ハンカチ」いっぱい入るんだ!
「他のバッグだと目立たないし、めちゃ中身入るから、横断バッグがいいです」
みんなすっかり愛用している。
お道具箱がすっぽり入り、けっこう大きい。ベルト付きでショルダーバッグのようにも使え、丈夫なので6年間使える。
「傘代わりにもなる。」と頭の上に乗せて教えてくれた。
「防水性だから、雨の時はこうやって走って、ハアハアハア!って。」
撥水加工されているので水をはじき、傘代わりにもなるのだ。
なぜ全員持っているのか?お母さんに聞いてみた。
「学校入ったら渡されました。買うんじゃないです。無料でもらった。」
銀行など地元企業が無料で寄贈してくれるのだ。素晴らしい!
横断バッグを製造するミヤハラさんで、四代目の杉原司さんに、その誕生の経緯を聞いた。
「1960年代に自動車が増加し、交通事故が増えて子どもが巻き込まれ社会問題になっていました。」
対策として横断旗が設置されたが、旗を持てるのは先頭集団のみ。
「初代社長(宮原敏夫さん)が皆が旗を持って渡れるようにと1963年に考案しました。」
当初、宮原社長は近所の子どもたちに無料で配っていた。これに地元の企業が賛同し、静岡県全域に広まったのだ。横断バッグは60年以上、静岡キッズの安全を見守り続けているのだ。なんていい話!静岡県の大人たちは、素晴らしい!
横断バッグにはブルーやピンクなど全14色のカラーバリエーションがある。
また横断バッグデザインの名刺入れやスマホホルダー、ブックカバーなど関連商品も豊富で、大人になっても横断バッグを愛用する人も多い。
静岡小学生たちに、他県には横断バッグはなく、自分は黒いトートバッグを使っていたというと、
「雨の日とか目立たなくて危ないんじゃない?」と諭された。静岡キッズの横断バッグへの信頼は絶大だ!
確かに、安全だし便利。何より子どもたちにこんなに愛されてるなんて!横断バッグ、他県でも企業の皆さんが寄贈してもいいかもですよ!