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Appare!、たかねこ、マドメド…… Pop’n’Roll編集長と語る「ギターがカッコいいアイドルソング2024」20選[後編]ロック&ポップス篇|「偶像音楽 斯斯然然」125回

Pop’n’Roll

Appare!、たかねこ、マドメド…… Pop’n’Roll編集長と語る「ギターがカッコいいアイドルソング2024」20選[後編]ロック&ポップス篇|「偶像音楽 斯斯然然」125回

今年で6回目を迎える「ギターがカッコよいアイドルソング」2024年版の後編。ヘヴィ&ラウドをテーマにした前編に続き、後編ではロック&ポップス系の10曲をセレクト。洗練された感性とギターサウンドが織りなす楽曲と、アイドルソングが持つ魅力を分析する。

・高嶺のなでしこの写真 1枚

『偶像音楽 斯斯然然』
これはロックバンドの制作&マネジメントを長年経験してきた人間が、ロック視点でアイドルの音楽を好き勝手に語る、ロック好きによるロック好きのためのアイドル深読みコラム連載である。

今年もやります、「ギターがカッコいいアイドルソング」。毎年恒例のマニアックすぎて読者おいてけぼりの本企画も、今回でなんと6回目を迎えます。

楽器好きなら誰もがお世話になったことがあるであろう機材誌で有名な某出版社の名物編集者だった鈴木Pop’n’Roll編集長と、音楽事務所やレーベルでA&R制作ディレクターを勤めてきた私、冬将軍の筋金入りギターヲタク2人がギターサウンド&プレイの観点から、この1年にリリースされたアイドルソングを、一切忖度なしに選んで語りまくる本企画。

2024年にリリースされた多くの楽曲から各10曲を選出した全20曲、ヘヴィ&ラウドサウンドに塗れた前編に続いては、ポップ&ロックな全10曲、張り切ってどうぞ!

◉高嶺のなでしこ「美しく生きろ」(鈴木セレクト)

冬将軍:
たかねこ曲の中でもロックな部類に入りますよね。

鈴木:
この曲は、ライブで初めて聴いてカッコいい曲だなと思って。毎度のマニアックな視点ですが、メインメロディのピッキングハーモニクスの入れ方が好み(笑)。全編ディストーションギターが引っ張っていくんですが、HoneyWorksにもこういう曲があるんだと思いました。

冬将軍:
確かにあまりHoneyWorksっぽくない曲というか、アレンジですよね。メロはキャッチーだし、絶対ほかのアレンジパターンがあったと思うんですよ。その中でなぜギターが引っ張っていくこのバンドアレンジが選ばれたのか、気になりすぎる……。

鈴木:
ドラムパターンもものすごくしっかりしていて。これも超マニアックな視点ですけど、ドラムの定位がドラマー視点なんですよね(笑)。ハイタムが左寄りで、フロアが右寄りという。

冬将軍:
そこ、わりと疎かになってることありますよね、ギターにこだわってるのにドラムが残念という。だからこれは好感が持てる。ギターソロもガッツリ弾いてますね。ギターが主になりつつもピアノがいい感じに鏤められていて、それが可愛らしい歌声とロックなギターを中和する役目になっている。

鈴木:
アレンジの妙ですね。あと、ラストがピッキングハーモニクスで終わるというのもいい(笑)。

▼MAD MEDiCiNE「人肉アントルメ」(冬将軍セレクト)

冬将軍:
ボカロ曲的アプローチの弾きまくりギター&ベース、頭おかしいでしょ(笑)。こういうカッティング混じりの細かいパッセージは、メインストリームの2024年リリース曲だと、Mrs.GREEN APPLEの「ライラック」や、なとりの「絶対零度」だったり、“ギターキッズを唸らせる曲2024”と言わんばかりにロックシーンではめっちゃ流行ってますけど、不思議とアイドルにはないんですよね……。“若者はギターソロを聴かない”っていうのが話題でしたけど、ハードロック的なギターソロがダサいと思われてるだけじゃないのかなって。おしゃれで変態的なソロフレーズは巷に溢れている。ちょっとテイストは違うけど、『ガールズバンドクライ』もそうじゃないですか、「空白のカタルシス」とか。鈴木さん、『ギター・マガジンWEB』でトゲナシトゲアリのインタビューしてましたけど。

鈴木:
2024年にトゲナシトゲアリのギタリスト・夕莉さんのインタビューを2回しましたが、音源を聴いていて緻密に構築されたギターフレーズに驚かされました。『ガールズバンドクライ』の音楽プロデュースを手掛けているAgehaspringsの玉井健二さんは、ボカロを音楽的ルーツに持つ子が作曲した楽曲というテーマで、サウンドプロデュースしたようですが、まさに情報量の多いフレーズ&アレンジですよね。

冬将軍:
玉井さんがそれをやっているというのが注目ですよ。J-POPの流行を作ってきた人だけど、いわゆるギターロック的なものをあまり手掛けてないんですよね。Agehaspringsのロック担当は蔦谷好位置氏と百田留衣氏のイメージが強い。だから玉井さんがああいう曲を手掛けたというのは、こういうギタースタイルが主流にあるんだっていう答え合わせになりましたよ、『ガールズバンドクライ』……話はだいぶそれましたが、マドメド、このオケでよく歌えるよなっていう。

鈴木:
確かに。リズムも音程も、いろんなものを見失いそう。

冬将軍:
メロディがなくて、アレンジに馴染んだ楽器的な歌ですよね。ギターとベースのフレーズに歌が絡みあって成り立っていく。歌を楽器として使うのは、それこそボカロの影響もあって新しいボーカルスタイルで語られそうなんですけど、実はヴィジュアル系界隈では古くからやっていることで。BUCK-TICKやZI:KILLが80年代に流行らせたところもあるので、意外と日本のロックシーンには根付いてるんですよね。だから、そこを意識した orしないは別として、ヴィジュアル系の血が流れるマドメドがこういう感じのことをやるというのは、自然なことなのかもしれない。

鈴木:
それを成立されるためには、ボーカリストの歌に説得力も必要ですよね。

冬将軍:
やっぱ、マドメドは歌ウマいなと。歌唱力云々以前に、リズムが抜群にいい。それに、TimeTreeのインタビューの時、堤(マドメドプロデューサー)さんも言ってたけど、とにかく唯一むにさんのクセがすごい。ねっとりべっとり、毒があってめっちゃカッコいい。このむにさんのクセ強ボーカルは聴覚上のフックになっているだけでなく、発音のアタックが遅くなるので、アップテンポで前のめりな楽器陣を後ろに引っ張っる、妙なグルーヴを生んでいるんですよ。素晴らしい。

◉美味しい曖昧「ステフリ!」(鈴木セレクト)

冬将軍:
美味しい曖昧はもう文句なしにカッコいいです。ストラトのハーフトーンで、大振りの右手で細かく音符を入れ込んでいく。アイドル界のコリー・ウォン! ピオーネ氏のカッティング。

鈴木:
美味しい曖昧は以前も冬将軍さんが挙げてましたけど、2024年、お仕事として出会ってライブをしっかり観て、いいグループだし、いい曲、いいサウンドだなって。歌えるし、ちゃんとアイドルっぽさもある。

冬将軍:
鈴木さんがカメラマン、私がレポート書くっていうパターンです。

鈴木:
この曲はイントロからカッティングの歯切れがよくて、左右のチャンネルで違うことを弾いたりしていて。そこもいいアンサンブルだなって。

冬将軍:
ロックの人がシティポップっぽいことやってるイメージ。爽やかポップスのようで、マスロックだったり、オルタナティヴ〜ポストロックの匂いもいろんなところからする。聴けば聴くほど唸るしかない。あと全体的に音質もいいんだけど、音像がカラッとしていますよね。どの楽器もちゃんとクリアに抜けてくる。それもすごくいいなって。

▼Appare!「一生スマホ触っていたいの♡」(冬将軍セレクト)

冬将軍:
“♡”がついてるので、もしや?と思ったら、案の定、清 竜人作曲でした。彼の曲はファンタジーなアレンジが多いですけど、これはピアノとギターの絡みがメインでシンプルに仕上がっていて珍しい。ギターは菰口雄矢氏なので、そのぶん弾きまくってます。これみよがしに弾きまくってます。ピアノもすごいことをやってるし。アイドルやポップスは、当たり前に歌を邪魔しない演奏が前提にあるけど、これはお構いなしに弾いてる。だからピアノとギター以外の余計な音がないシンプルなのかなって。ミックスでウマくボーカルの場所を避けている。

鈴木:
Appare!って、音楽に対する愛が深いグループですよね。いい意味で、楽曲の振り幅が広いですし、クオリティも高い。

冬将軍:
プロデューサーのカノウリョウ氏が、“ライブで沸くことを重視してるだけだと終わる(超意訳)”的なことを言って話題になったじゃないですか。あれは3万回頷きましたよ。実際、Appare!「ぱ ぴ ぷ ぺ POP!」もそうでしたけど、トレンドにがっついたハングリー精神がすごいですよね。Appare!が清 竜人!?って思ったもん。加えて竜人曲に菰口氏をぶつけたのは名采配ですよね。菰口氏は昨今、ずとまよ(ずっと真夜中でいいのに)で弾いていて。「クズリ念」はそれこそ、マドメドの項で触れた“ギターキッズを唸らせる曲2024”だと思うし。そういうトレンドのテイストを持ち込むのは大事だと思います、何も施策のない地下アイドルグループが多いですから。何度も言ってますけど“いい曲といいライブやっていれば見つかる”は幻想です。

◉THE ORCHESTRA TOKYO「UNiTY」(鈴木セレクト)

鈴木:
イントロ、まずキメがあって……。

冬将軍:
ガガッガガ……って。

鈴木:
で、上昇フレーズ!

冬将軍:
うおーーー! これはアガる。

鈴木:
ウラ拍を意識したバッキングもよくて。ジエメイとかのギターは今どきの洗練されたラウドロックという感じだけど、これはもっとルーズな感じ。生っぽいというか。

冬将軍:
音数も少ないですよね。ほかの曲も上モノを極力避けて分厚いギターアレンジで埋めている印象が強い。オケトーは、ロックバンドでやるとクサくなっちゃうことをアイドルがやることで、崇高的なものへウマく昇華してますよね。ビジュアル面でも、例えばパンツにスニーカーみたいな衣装スタイルだと、見え方は全然違うふうになるだろうけど、ドレッシーな可憐さを全面に出してるのがいいですよね。あと、ライブでの外音がバカデカい(笑)。

▼トナリア「地獄マラソンへ行こう!」(冬将軍セレクト)

冬将軍:
これはわりと最近知ったんですけど、めっちゃ面白くて。けっこう幅広くいろんなタイプの曲をやってるグループで、どれもめっちゃレベルが高い。この曲はレトロック感がたまらないです。レトロでアーシーな響きを現代的にアップデートしたLRのギターの絡みが最高。大好きなギタープレイです。なんかハードロックなアーミングがフックで入ってきたりもする(笑)。この外し方がアイドルソングでは大事。これでヴィンテージ感溢れたロカビリーみたいに仕上げたら、それは違う!ってなるから。

鈴木:
ギターソロもカッコいい。めっちゃウマいですね。

冬将軍:
そう、かなりレベル高い。ピアノもカッコいいし、すべての楽器がいい! 曲も歌もいい! これも何度も言ってますが、アイドルのバンドセットライブは好きじゃないというか、いいと思ったことがほとんどないんですけど。こういうバンドだったら観たいな。

◉BOY MEETS HARU「五月空」(鈴木セレクト)

鈴木:
いきなりLUNA SEA風のアルペジオで始まるんですけど、アンサンブルがいいんですよ。陰のある感じ。

冬将軍:
知らないグループだったんですけど、確かにLUNA SEAの香りがめっちゃしますね、「gravity」あたりの。メロもどこかそれっぽい。うーん、左のギターが完全にINORANに聴こえてきました。ほかの曲もいろいろ聴いてみたんですけど、これ絶対90年代ヴィジュアル系通ってるでしょ! グループ名も世代感が出てるし。

鈴木:
ドラムもカッコよくて。ここで突如落とす(2:04〜)んですよ。

冬将軍:
そういうのもLUNA SEAっぽい!(笑)。

鈴木:
この企画でよく話してますけど、ドラムって、本当に大事だと思いますね。

▼jubilee jubilee「さよならmemento」(冬将軍)

冬将軍:
では、ドラム繋がりで。これ、良質なガールポップなんですけど、とにかく生バンドサウンドが素晴らしいんです。熟練味ある素晴らしいカッティングギター。ギターも素晴らしいんですけど、ドラムがすごいと思ったら刄田綴色が叩いてた……。

鈴木:
なんと! え、ベースはIKUOさんなんですか!?

冬将軍:
そう、鳥取・島根でライブハウスを運営しているAZTiCがプロデュースするアイドルグループで、地元出身のミュージシャンを起用しているらしいです。歌よし、曲よし、サウンドよし、のグループだったんですけど、2024年3月に現体制終了。そうそう、こないだアイドルをよく知らないロックファンにロック系のアイドルを勧めたら“でも、ドラム打ち込みでしょ?”って言われたけど、いや、今ロックバンドでもかなりの割合で打ち込みだぞ!って。予算的に生ドラムRecできるバンドは限られる。インディーズなら尚更。それ、意外と知られてないんですよね。ラウド系やメタルだと、音源は打ち込みドラムの方がよかったりもするし。

鈴木:
ラウド系やメタルは特に、生で録っても、DAW上でドラムのショットを貼ることがありますからね。

◉yumegiwa last girl「スーパースター」(鈴木セレクト)

鈴木:
イントロのフレーズからカッコよくて。Aメロのアルペジオも休符でグルーヴを作っていて、こういうフレーズは意外と難しいと思っています。

冬将軍:
オルタナ的な分散和音。歌が入ってからのピタッていう止めもカッコいい。

鈴木:
中間のフランジャーを使ったフレーズも耳に残りました。

冬将軍:
4AD系譜のドリームポップですよね。yumegiwa last girlはメンバーが変わっても、音楽が一貫としてますよね。レーベル『最南端トラックス』はやりたいことが明確。今、ロックシーンを見ると羊文学のブレイクもあって、シューゲイザー寄りのオルタナティブロックが盛り上がってますよね。下北あたりに行くと、ジャガーをかき鳴らす女子が増えてるんです! いいぞ、もっとやれ! オルタナティブロックアイドルが最近元気なくなってる気がするので、頑張ってほしい。

▼Hellzapoppin'「Ambiguous」(冬将軍セレクト)

冬将軍:
これめっちゃ面白いんです。エレクトロスウィングを掲げていて、本当に全曲がエレクトロサウンドでスウィングしているグループ。

鈴木:
グルーヴ感が心地よいですね。

冬将軍:
エレクトロサウンドでこのグルーヴ出せるのがすごい。そんなエレクトロスウィングの中に哀愁漂うフラメンコテイストのガットギターソロが入るんです。これがまた、すごくいいなぁって。このグループは“エレクトロ”っていうある種のチープさをアイドルがやることで逆手に取っていて、ものすごくセンスがいいなと。これ生楽器でやったら面白くないんですよ。基本的にアイドルの面白さって、バンドやアーティストがやったら古い、ダサいことでも、女の子が可愛いで昇華すると面白くなる、斬新に見えるっていうところだから。

鈴木:
そういう意味でも、アイドルって音楽の可能性を広げるジャンルと言えますよね。その分、作り手のセンスが問われることもありますが。

冬将軍:
ロックアイドルは特にそう。生バンドでカッコいいことだけやるなら、普通のロックバンドやアーティスト聴くわ!って思うからね。歪なものの美しさと意外性こそがアイドルの面白さでもあると思っているので。いい意味で“アイドルだからこそ許されること”を大事にしたいですよね、可愛いは正義!っていう(笑)

【番外編】
久々のコラムですので、ギター関係なしで個人的にめっちゃグッときた2024年の大好き曲を、最後に3曲だけ触れておきます。

▼AVAM「ビトレイアー」

個人的にプッシュしているAVAM。贔屓目ではなくメンバーのキャラを活かした歌割り構成とコケティッシュな雰囲気を上品でキュートにまとめ上げる手腕は、ならではで、さすがだなと。そんなAVAM節全快で最高を更新してきた「ビトレイアー」。コミカルなリズムと音数控えめのチープなゲーム風サウンドも相俟って、サクサク聴けるし中毒性も高い。《かわいくなったわたしを見て》という昨今のアイドルソングの主流を見せつつも後半は面倒くさい女になっていくという承認欲求の暴走、キラキラ王道系と地雷系ロックを自在に行き来する様相はさすが。AVAMのシーンにおけるポジションをそのまま体現した曲。

▼NANIMONO「INTERNET MAGICAL GIRL」

キャッチーなメロにキャッチーなオケでありながらもどこか悲しさもある不思議曲。この企画やコラムでも過去に何度か書いてるけど、私はロック畑の人が書くポップスが大好きで。そういう意味ではNANIMONOプロデューサーのこゆびちゃんも、多くの楽曲を手がける杉原亮氏もバンドマンだから、そうだよなって頷くことが多かったりする。この曲もディストーションギターで壁を作りながら、細かいリズムを刻んだシーケンスを走らせて、という方向で成立する曲だと思うのです。でもそこはメンバーの声質やグループカラーに合わせて仕上げたというか。NANIMONOは本来私の好みとは離れているグループで、実際最初に観た時はなんとも思わなかったんだけど、気づいたら完全に冒されていた……。それは根本にバンドマン的な本質があったからだなとも思っております。

2024年は、TimeTree企画で関わらせてもらいました。メンバーさんはもちろんですけど、マネジメントスタッフの話を聞いて、スタンスやらバックボーンなどに自分との共通項などを多く感じたので、自分がNANIMONOに堕ちた理由が数年越しにわかりました。そんなTimeTree×OTONA CHILD.記事は、メンバーもスタッフもそうしたアイドルマネジメントとしての金言が連発しているので、まだ読んだことない人はぜひに。

▼AdamLilith「MARIAGE」

最後はHEROINES最強の4人組。前編でのんふぃく!を“HEROINES随一の実力派グループ”と言いましたけど、“HEROINESで1番スゲー!!”のはAdamLilithだと思います。歌もパフォーマンスもとにかくスゲー。細かいこと抜きに“スゲー!!”、“ウマい”より“強い”、がしっくりくる。以前からそう思っていましたが、今年改めて確信したのが某夏のイベントの時。どデカい屋外会場でトラックのサブステージに出演していたAdamLilith。お世辞にも音響がいいとは言えない中でめっちゃよく声が通るなと感じまして。どこまで聴こえるかなと思って遠ざかってみたら、会場の端っこはおろか、バカでかいメインステージにまで声だけ届いてたっていう……。なんというか、響羽リズさん筆頭に、全員が声量云々以前に“声を遠くまで飛ばす”ことを心得ているんですよね。音楽用語の“フォルテ”は“大きく”ではなく、“強く”なんだよ、と同じ感覚とでもいうか。

で、この「MARIAGE」なんですけど、イントロとサビだけにギターが入っていて。それもフレーズやコード感を担うわけではなく、パワーコードで音の壁を作って圧を出す役目。それが昨今のポップスにおけるギターの役割だと思いつつ。平歌は中低音ブラスであったり、韓国ダンスミュージック要素で妖艶さを醸し、パイプオルガンを加えたBメロでアダムスらしく高貴に仕上げて、サビで一気に爆発。初期平成ポップス感のあるサビメロが艶っぽい歌声とともにたまらん、最高です。当時の化粧品CMにありそうな。「MARIAGE」っていうタイトルもそれっぽい(笑)。

というわけで、細かすぎて伝わらない企画「ギターがカッコいいアイドルソング」でした。

「ギターがカッコいいアイドルソング2024」紹介楽曲

◉鈴木セレクト
▼冬将軍セレクト

【前編】ヘヴィ&ラウド篇
◉AIBECK「Diver」
▼アンチテーゼ「秒殺ラストダンジョン」
◉Wez「KILLDOL」
▼マザリ「一緒に死ぬ序でに愛して欲しい」
◉ジエメイ「REVOLUTION」
▼のんふぃく!「絶対優勝!おぎゃりマスター」
◉PLEVAIL「Plum」
▼ASP「MAKE A MOVE」(冬将軍セレクト)
◉MAGMAZ「Spicy」(鈴木セレクト)
▼YOLOZ「ディアブロ」(冬将軍)

【後編】ロック&ポップス篇
◉高嶺のなでしこ「美しく生きろ」
▼MAD MEDiCiNE「人肉アントルメ」
◉美味しい曖昧「ステフリ!」
▼Appare!「一生スマホ触っていたいの♡」
◉THE ORCHESTRA TOKYO「UNiTY」
▼トナリア「地獄マラソンへ行こう!」
◉BOY MEETS HARU「五月空」
▼jubilee jubilee「さよならmemento」
◉yumegiwa last girl「スーパースター」
▼Hellzapoppin'「Ambiguous」

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