製茶を続けて60年 「お茶バカ爺さん 食べる茶本舗」 代表・安田賢二さん(85)
「あなたが作るお茶は美味しいと言われることが、生きがい」と、60年間製茶を続けるアンティ株式会社(四日市市水沢町)の代表安田賢二さん(85)。急須を使わず、1分でできるお茶を、オンライン販売している。
高校卒業後、家業の製茶業経営の勉強のため、大阪の繊維問屋に奉公へ。24歳の頃、実家に戻り製茶業に就いた。北海道から九州まで行商で飛び回り、各地の茶に出会った。「大切なのは、空気のいい所で育った茶葉とブレンド」と気づいた。
30年前、日本の大手商社とタイアップしてベトナムのラオス国境近くの標高1000メートルの高地で、少数民族の手を借りて、健康にいい体に優しい無農薬茶を栽培し、ヨーロッパへ輸出する計画を立てた。10年かけて茶園を完成、販路開拓に180都市を訪れた。しかし、2000年商社の経営整理、合併があり、販路拡大に失敗、資金難に陥り帰国した。茶業界では「無農薬バカ」の異名を受けた。その後「アンティ株式会社食べる茶本舗」を起業し、地元の抹茶類を使用した国産茶葉で「お茶バカ爺さんの1分でできる水出し茶」を開発し、販売を始めた。
安田さんは糖分や添加物の入った飲み物で育つ日本の子どもたちを案じている。「人の嗜好性の定着は3歳ころと言われる。安全安心の日本茶を与えてほしい」と語る。水出しした茶は湯で出す茶よりカフェインも大幅に少ないそうだ。緑茶に含まれるポリフェノールには抗酸化作用があり、健康維持に役立ち、国立がん研究センターの発表によれば、1日に緑茶を5杯以上飲む人は、1杯未満の人に比べて、死亡リスクが減少するという。安田さんは「1日5回飲んで、高齢者も寿命を延ばしてほしい。体にいい美味しいお茶を大勢の人に飲んでもらえるよう、お茶を作り続けたい」と語った。