【徳川埋蔵金探し】「波」を使った量子コンピュータの計算方法とは?【眠れなくなるほど面白い 図解 量子の話】
「波」を使って目標を簡単に探し当てる量子コンピュータ!
前項では「粒」の性質を使いましたが、この項では「波」を使った量子コンピュータの計算方法を取り上げてみます。
2つ目の例えは、「池で徳川埋蔵金探しゲーム」。濁った池の中には1m四方の箱に入った徳川家の埋蔵金が沈んでいます。1本の長い棒を使って埋蔵金を探してください、というゲームです。
池の底には将棋盤のようなグリッドが描かれ、それぞれのマス目のどこか1つに埋蔵金が眠っているわけです。探し方は、ふつうのコンピュータでは池の表面を1mおきに長い棒で挿していきます。この方法だと、ランダムにあちこち挿さなければなりません。運が良ければ一発で当てる可能性もありますが、だいたいグリッドの数の半分くらい挿したところで、埋蔵金に「ガキン!」となることが多いでしょう。
量子コンピュータのやり方は違います。池の表面を長い棒でちょんちょんと突き続けます。池全体に小さ〜い波が広がっていきます。でも、よく見ると池の1箇所だけ大きく波打っているところがあります。そこで、棒をその波の下に挿すと「ガキン!」 。
この例では、答えを探すために量子の波の性質を使っています。前項の重ね合わせのように、池全体に広がるような波をつくりますが、生じた波はすべて打ち消すようになくなります。ですが、埋蔵金のある場所では波が少しだけ乱されるのです。そのためにそこだけは波が打ち消されず、目印のように大きな波が立つわけです。
前項とこの項では、例えを使って「粒」と「波」の性質を取り上げましたが、本当の量子コンピュータはこの2つの例を混ぜたような原理で計算しています。「粒の性質の重ね合わせ」と「波の干渉」を使って正解を導き出す方法とは、粒と波の性質を持つ量子独自の方法なのです。
徳川埋蔵金探しは「波」の性質を使う!
◉ふつうのコンピュータの場合
「ふつうのコンピュータ」が池に沈む徳川埋蔵金を探す場合、長い棒を使って1mおきぐらいに池面を挿して確認するような力しかないので時間がとてもかかる。
◉量子コンピュータの場合
「量子コンピュータ」の場合は、池の表面を長い棒でちょんちょんと突くことで生じた小さな波が池全体に広がっていき、その波がすべて重なることで最終的に池全体の波を打ち消すようになる。ところが池の1箇所だけに波打っているところがあるため、そこに埋蔵金があることがわかる。
棒で突ついてできた波が池全体に広がる。最終的に池全体の波を打ち消すが、1箇所だけ波打っているところが現れる。
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 量子の話』著:久富隆佑、やまざき れきしゅう