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ものづくりと研究者、どちらも担える存在を目指す「亮布研究所」。

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ものづくりと研究者、どちらも担える存在を目指す「亮布研究所」。

柏崎を拠点にして、亮布(リャンプー)という布とそれを使った小物類を制作している「亮布研究所」。紙のようにしっかりとした質感と豊かな光沢感があるのが亮布の特徴で、何度も染色を行った後で光沢加工を行い、繊維を平らにするための工程など、かなりの手間をかけて完成するのだそう。大学時代に亮布の虜になったという山田さんに、「亮布研究所」を立ち上げるまでのことやこれからの理想の活動について、お話を聞いてきました。

亮布研究所

山田 華緒李 Kaori Yamada

1994年上越市生まれ。金沢美術工芸大学卒業後、地域おこし協力隊として新潟県柏崎市矢田集落に着任。3年間の任期を終え、「特定非営利活動法人aisa」に勤務。2024年に「亮布研究所」を立ち上げ、亮布を使った雑貨類の制作・販売をスタート。

中国の少数民族が作る、伝統工芸品「亮布」。

――はじめに、「亮布」について教えてください。

山田さん:亮布は中国語で「光る布」という意味があります。紅紫の色味と金属のような光沢が特徴で、中国の少数民族の村で生産されているものです。藍染め、草木染めを繰り返す、叩いて繊維を平らにするなどの工程を経て完成します。

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――きっと希少な布だと思うんですが、どこで亮布を知ったんですか?

山田さん:エスニック系のアイテムが好きな母の影響と、あと工芸に力を入れている大学に進学したこともあって、大学に入学した頃から布や民族衣装にハマり、「各国の民族衣装を見たい」とあちこちに足を運んでいました。初めて亮布を知ったのは、大学時代です。東京の小さなミュージアムで見たのが最初でした。それまで見たことがない特徴的な布で、すごく印象に残ったんです。調べてみたら、中国のミャオ族やトン族が作っている布だとわかりました。そのとき私、ちょうど大学を休学していて、米沢の染織工房で1年間修業みたいなことをしていたんですね。それで、「もしかしたら自分でも亮布が作れるかもしれない」って試行錯誤をはじめたんです。

――休学した理由を聞いてもいいですか?

山田さん:大学では美術の歴史や工芸論など、学術的なことを調査・研究していました。でも「もっと自分の手を動かしたい」ってずっと思っていて。何もスキルはないけど、「布が好きだからしっかり染織を学びたい」と思ったんです。学内に染織コースもあったんですけど、転専攻ができなかったので、「もう、これは休学して別のところで学ぼう」と思ったんですよ。

――よく決断しましたね。すごい行動力です。

山田さん:あのとき、エネルギーがあり余っていたんでしょうね(笑)。工房で「亮布づくり」に励んだおかげで、前向きに復学できました。亮布を知るためにも、ちゃんと研究しようって気持ちになれたんです。ほんとう、いい出会いだったなと思っています。

――亮布のどんなところに惹かれたんでしょう。

山田さん:調べれば調べるほど、新しい発見があるところがおもしろいんです。亮布そのものに関する文献は少ないんですよ。だから「完結しない」っていうか、発見の連続だから研究心がくすぐられるんです。日本にはまだ亮布のプロフェッショナルがいないので、「自分がやるしかない」っていう気持ちになっているのかもしれません(笑)

生産地で見えてきた、地域の課題。

――実際に、亮布を作っている民族が暮らす場所に足を運んだことはあるんですか?

山田さん:大学4年生の卒業研究で、現地を見てみようと何度か行きました。言葉がまったく通じないし、毎回心が折れちゃうんですよ。日本に帰りたくて仕方なくなるんですけど、帰国してしばらくすると、またじわじわと現地に行きたいって気持ちが湧いてくるんです。あれは、すごく不思議です(笑)

――きっといろいろな発見があったんでしょうね。

山田さん:すべての工程を見ることはできませんでしたが、休学期間に身につけた染織知識があったので、「今の作業はこれをするためのものだな」って、ひと通りの作り方を理解できました。断片の情報を集めて整理すると全体が見えてくる、パズルみたいな感覚でした。

――地域おこし協力隊として活動していた頃のお話も聞きたいです。

山田さん:中国の農村を訪れる度に、布を取り巻く現状に目が向くようになりました。なんていうか「人が中心の村づくりができていないんじゃないのかな」って。それで地域づくりに関心を持ったんです。きっと日本も中国と同じ課題を抱えているだろうから、地域おこし協力隊としてその課題に携わりたいなと思いました。

――任期中はどんな活動をされたんですか?

山田さん:柏崎市矢田集落を拠点に、自分の持ち味である亮布を生かして、地域の交流を促す取り組みを行いました。「任期終了後は亮布を生業にしたい」と思っていたので、お勤めはしていますが、個人事業主の届け出をして、2024年から「亮布研究所」としてイベント出店や作品の販売を行っています。

――協力隊の活動任期後にも、柏崎でものづくりをしようと考えていらっしゃったんですね。

山田さん:その気持ちはずっとありました。でもビジネスが上手じゃないので、今も苦戦しています。亮布で生計を立てるためにどうしていけばいいのか、まだ答えは出せていません。お金を貯めないといけないから、今のうちに会社でもちゃんと働かなくちゃと思っています。

ものづくりと研究者、いずれの役割にも意味がある。

――「亮布研究所」さんでは、どんなアイテムを作っていらっしゃるんですか?

山田さん:将来的には「布として」亮布を販売したいと思っているんですけど、今は試行錯誤している段階で、扇子やヘアアクセサリー、ブックカバーなどの亮布を使った小物類を作っています。亮布の他には、草木染めのアイテムも扱っています。

――日本に亮布を扱っている作家さんって、他にいるんでしょうか?

山田さん:ネットで検索してもヒットしないので、おそらくいらっしゃらないのではないかと。完成までめちゃくちゃ手間がかかるので、他にやりたい人はいないのかもしれません(笑)

――亮布づくりには、どんな思いを込めていますか?

山田さん:私には、ちょっと研究者気質のところがあるので、自ら手を動かしながら、しっかりと研究結果を文章に落とし込める人になりたいと思っているんです。職人と研究者の間くらいの存在というか。

――「こうなりたいな」っていう理想の姿を教えてください。

山田さん:研究者と職人の間のような存在として、ちゃんと生計を立てられるようになることですかね。亮布で書籍を作れたらおもしろいだろうな。

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