姉妹都市ディーニュ市訪問団を「すずこまジェラート」で迎えよう! 栽培の栗林小が活動報告
姉妹都市提携30周年を記念し、21日から釜石市を訪れるフランス、ディーニュ・レ・バン市代表団。初日の歓迎レセプションでは、釜石市民らがさまざまな形で歓迎の気持ちを表す。その一つが地元特産のクッキングトマト「すずこま」を使ったウェルカムジェラートの提供。原料となる同トマトは栗林小(八木澤江利子校長、児童30人)の3、4年児童9人が栽培した。4日、代表児童らが市役所を訪れ、これまでの取り組みを小野共市長に報告した。
市長室で行われた報告会には関係者13人が出席。同校から八木澤校長、佐々木貫汰さん(4年)、藤原柚夏さん(同)、三浦莉南さん(3年)が訪れ、栽培を指導した同市地域おこし協力隊の三科宏輔さん、ジェラート製造を担当するかまいしDMC経営企画管理部の臼沢恵美さんが同席した。八木澤校長が写真を見せながら、児童らの取り組みを説明した。
5月末、市水産農林課職員から今回のプロジェクトについて説明を受けた児童らは、橋野町ですずこまを栽培する三科さんから教わりながら、すずこまの苗を植え付けた。その後、水やりや支柱立てなど世話を続けると、1カ月ほどで青い実がつき始めた。7月に入ると大きくなった実が赤く色づき、収穫の時を迎えた。7月下旬には自分たちでトマトジェラートづくりに挑戦。収穫したすずこまと一般的なトマトの2種で作り、食べ比べをして味の違いを確かめた。8月末にはすずこまジェラートを製造販売するかまいしDMCから提供されたジェラートを全校児童で試食。プロの味も堪能した。
水を与えすぎると良くないということで、雨の日には苗を校舎内に移動させるなど気を使って育ててきた児童ら。佐々木さんは「始めはちゃんと育つかなと思ったけど、いっぱい収穫できた」、三浦さんは「見るたびに背が伸びたり実が赤くなったり、大きく成長していてうれしかった。実は甘くて、ジェラートにすると、とてもトマトの味がしておいしかった」、藤原さんは「(今回の取り組みを通して)いろいろな人にすずこまのことを知ってもらいたいと思った。ディーニュ市の人たちにもその味を感じながらジェラートを楽しんでほしい」と望んだ。
「子どもたちは作物を育てる大変さや楽しさ、自分たちが手をかけたからこそおいしさが倍増する喜びを味わうことができた。保護者や地域の方からは苗の入手先の問い合わせもあり、すずこまへの関心が高まっているよう」と八木澤校長。同校の“すずこまチャレンジ”の様子は、栗橋地区生活応援センター の広報紙「みどり通信」でシリーズ紹介されている。
プロジェクトに協力した三科さんは単に農作物を育てるだけではなく、「みんなで作ってみんなで食べる」過程で得られる、さまざまな学びを大事にする。「他の学校のトマト栽培にもすずこまを採用してもらい、地域の魅力向上、自然教育の機会増につなげていけたら」と今後に期待を寄せる。
市が新たな特産品として生産拡大を進める“すずこま”は抗酸化作用のあるリコピンが多く含まれ、加熱調理でうまみが引き出される。かまいしDMCは同市甲子、橋野地区の生産者から提供されるすずこまを使ったジェラートを昨年から販売(夏季限定)。酸味と甘味が絶妙なさわやかな味わいが人気を博している。臼沢さんによると「皮や芯を手作業で取り除き、電子レンジで加熱することで、トマトの青くささを取ることができ、凝縮されたすずこまのうまみがでる」という。栗林小栽培のすずこまは約1キロの収穫があり、これを使ってウェルカムジェラートを作る。
児童らの報告を聞いた小野市長は「ディーニュ市から来るお客様は、(栗林小の)皆さんがトマトを育ててくれたことをとても喜ぶと思う。今回の体験は皆さんにとっても大きな財産になる。古里の良さを感じたり、将来何かを目指すきっかけになるかもしれない」と話し、協力への感謝の気持ちを伝えた。