「本、読んでいますか?」図書館も本を買えない時代…ユニークな手で活字守る活動が
読書の秋。
みなさんは「最近、本を読んでいますか?」
「8年前とか。学生時代かもしれないです。どうしても読書じゃなくてスマホになっちゃいます」と話すのは、“読まない派“の20代女性。
一方で「SNSで良いって見つけた本を買ってみて読んでいます」と話す、“読む派”の10代女性も。
“読まない派”の50代男性は「時間も限られているし、最後まで行きつかなくて」と話します。
文化庁がおこなった調査では、6割以上の人が「1か月に1冊も本を読まない」と回答。
「以前より読書量が減った人」は、約7割に迫り、その理由として最も多かったのが、スマートフォンなどの「情報機器で時間が取られる」でした。
さらに、オンライン販売や電子書籍の台頭により、全国の書店の数は、この10年で約3割も減少。
道内では、約4割の自治体に書店が1軒もありません。
そんな読書離れが進むなか、活字文化や読書環境を守るための取り組みを取材しました。
連載「じぶんごとニュース」
個人運営だから出会える個性的な1冊
札幌市中央区にあるマンションの一室。
2025年1月にオープンした、個人が運営する図書館「祝日」です。
その名の通り、主に祝日と土日に開館し、貸し出しはありませんがSNSで事前予約すれば誰でも無料で読むことができます。
佐々木夕方代表は「もともと本のある場所とか本棚が好きということがありまして、そういう場所を自分で作って皆さんに来ていただきたいという思いから始めました」と話します。
1DKの室内には、約3000冊の本がズラリ。
そのほとんどが本好きのオーナー・佐々木さんの私物です。
「タイトルだけ見て、これ面白いねって言って手に取っていただく方も多い。例えばこういった『面白くない話事典』とか。筆者の方が、街中で聞いた面白くない話を記してある」
思わず手に取りたくなるタイトルから、書店では、あまり見かけない自費出版の本まで…心惹かれる一冊に出会えます。
「ここで見つけたお気に入りを本屋で買って、自分の家や自分の空間に迎え入れていただくのが、本好きとしては一番うれしいことかなと思う」
図書館で新しい本が買えない!対応策は…
北見市立中央図書館です。
貸し出しだけではなく、読み聞かせなど、年間200以上のイベントを企画し、市民の読書ニーズに応えていますが、ここにも物価高騰のあおりが…
「新刊の値段は上がっていて15年前に比べて2~3割は上がっているという体感です」
マチの予算も限られ、新刊を揃えることが難しくなっていることから、図書館では10年前から「雑誌スポンサー制度」を導入しています。
企業や団体に雑誌の購入費を負担してもらう代わりに、希望する雑誌の最新号に広告を掲載。
2024年度は55社がスポンサーとなり、約67万円を雑誌の購入費に充てることができました。
読み終えた本を図書館へ
「昔は、あくまで新刊を購入して利用者の方に提供していましたが、寄贈された本から図書館の蔵書にするものも増えている」
図書館などへの支援を行う取り組みも進んでいます。
「北海道ブックシェアリング」は、市民や企業から寄贈された「読み終えた本」をボランティアスタッフが補修やクリーニングをし、無償で提供しています。
北海道ブックシェアリングの荒井宏明代表理事は「予算が厳しいのは、すごく聞きます」と教えてくれました。
「ただ図書の提供活動はあくまでも緊急措置。やはり自治体が予算を持って、あるいは団体なり施設なりが資料費をきちんと確保して毎年計画的に更新していくのが筋」
新業態にも注目!
書店が減る一方で、新しい業態の書店が増えています。
「シェアハウス」ならぬ「シェア型書店」です。
複数の人が「棚主」=棚の入居者として使用料を支払い、店の書棚を借りて好きな本を販売します。1つの本屋さんを、複数で運営するスタイルです。
また、車に本を積んで商業施設などに出向いて販売する「移動書店」も増えています。
大手書店も、活字ファンのつなぎ止めに懸命です。
丸善ジュンク堂書店札幌店では、今週末、閉店後の店内で、一晩を過ごしてもらおうというユニークなイベントを開催します。
あらかじめ3冊以上の書籍を購入すれば、あとは一晩、心ゆくまで、店内の本100万冊が読み放題です。
「ジュンク堂に住みたい」というファンの声に応えたそうです。
書店の減少には、国も危機感を抱いているようです。
国は6月、書店の減少に歯止めをかけるための支援計画「書店活性化プラン」を発表しました。
●本の在庫が管理できるICタグの普及
●売れ残った本の返品費用を抑える対策
●読書人口を増やすため「絵本専門士」などの人材育成
経営を効率化したり、幼児期から本に触れる機会を増やしたりする取り組みがあります。
本屋さんはすべての世代が行き交う貴重な存在。
店の明かりは文化の灯。
いつまでもマチを照らしてほしいと思います。
連載「じぶんごとニュース」
文:HBC報道部
編集:Sitakke編集部あい
※掲載の内容は「今日ドキッ!」放送時(2025年10月20日)の情報に基づきます。