<真面目な夫が……?>共働きの夫は子育ての心強い「同志」!熱望されて3人目も誕生【まんが】
私(リカ)は夫のユウキと、3人の子どもを育ててきました。上の2人はすでに社会人。長男のダイスケはひとり暮らしをしており、たまに帰ってくる程度。長女のサエは社会人1年目、実家で暮らしています。中学3年生の次女・カコの勉強を見てくれることも多いので助かっています。受験生のカコは部活に勉強に毎日忙しそうです。最近、父親に対する反抗が目立ってきましたが、それも成長のうちかな……なんて思っていました。平凡だけれど、ホッとする幸せがわが家にはある。そう実感できる日々だったのです。
20代後半で授かった2人の子どもは年子ということもあり、毎日が慌ただしく過ぎていった記憶があります。あの当時、働き続けるのは本当に大変でした。ただ夫は子育てを私任せにすることはなく、一緒に頑張ってくれる「同志」でした。
子煩悩で穏やかで優しい夫。そんな夫から「3人目が欲しい」と言われたのは、上の2人が小学校に上がって落ち着いた頃でした。夫の育児への貢献は、ダイスケやサエの子育てで証明されています。そして少し年が離れて3人目のカコが誕生しました。
働きながらの年子の育児はとても大変! 私としては、子どもは2人でいいかなと思っていたところもありました。けれど夫はとても協力的で、共に育児を頑張る「同志」のような存在。夫がいなければ私はここまで頑張ってこられなかったでしょう。 だからこそ3人目を夫から熱望されたとき、夫となら乗り越えていける……そう思いました。今までの夫婦関係における信頼があったからこそ、3人目に踏み切ることができたのです。子どもたちもスクスク成長してくれて、5人家族になったわが家は幸せに暮らしていたのでした。
「離婚してほしい」申し出に呆然……実は2年前から部下と不倫
カコは夫のことをすごい目で睨むと、何も言わず部屋に戻っていきました。半年ほど前から夫と口をきかなくなったカコ。たしか長女のサエのときもこの年頃は同じような感じでした。早く反抗期が終わればいいのにな……と思っていました。
「話がある」と言って出かけていった夫。昇進した? それとも何か大きな病気が見つかったとか? 親戚関係で何かあった……? 見当もつきませんでした。しかし切り出されたのは「離婚してほしい」。私は頭が混乱して追いつきませんでした。
「非常識なことも無責任なことも承知の上だ。もちろん慰謝料は払うし、養育費だって、この家だって渡してもいい。だからお願いします。俺と離婚してください」 平凡だけれど、幸せな毎日でした。上の子たちは社会人だし、末っ子もいまや中学3年生。子育ての終わりを感じながら、夫と2人で過ごすこれからの人生について考えはじめたところでした。そんななかでの突然の離婚宣言。最初は何を言っているのか理解することができませんでした。 不倫をしていた上に、相手の女性に子どもを作ってあげたいから離婚……? 夫はそんなバカげた話が通じると本気で思っているのでしょうか。
夫と相手女性と3人で話し合い「離婚はしません」きっぱり宣言
週末に夫と不倫相手と喫茶店で会うことにした私。相手の女性はマリエさんといって、長らく夫の部下として働いてきたそうです。「どうか早めのご決断をお願いします」「離婚してください、お願いします」2人は私に対して深々と頭を下げます。
夫と一緒に過ごしてきた25年間が走馬灯のように浮かびました。私の結婚生活にはいつも夫の笑顔があったし、子育ての想い出にはいつも夫の気遣いと優しさがありました。お互いに感謝しあい、助け合ってきたと思います。それなのに……。
いきなり離婚を切り出されたときは一瞬気が動転しましたが、深々と頭を下げる夫の姿を見て私は妙に冷静になりました。そして相手の女性を交えて、3人で話し合うことになったのです。しかし目の前にいる夫は「家族に対する愛情はない」そんな言葉を言うような人になってしまったのです。 相手の女性「マリエ」は、私に対して慰謝料を支払う準備ができていると言っていました。慰謝料さえ支払えばいいと思われているのかと思うと、ますます憤りを感じます。「子どもが欲しいから早く離婚してほしい」だなんて、何で私が不倫相手の事情を汲まないといけないのでしょうか。 「そんなの私の知ったことではありません。それでは失礼します」そう告げて私は店を後にしました。それから夫は家に帰ってきませんが……絶対に離婚なんてするものかと思っています。
妹の意見「身勝手な希望は聞く必要ナシ!」離婚せず苦しめる?
不倫相手と3人で話し合った日から、夫は帰ってこなくなりました。子どもたちにはとても話せません。私の両親はもう80才近いのですが、妹家族が同居をしてくれており健在です。あまり心労をかけたくないのですが相談せずにはいられませんでした。
妹は離婚に応じず時間を稼いで、相手女性の妊娠を防ぐべきだと言います。「徹底的にしぶって、苦しめよう。子どもなんて作らせちゃダメだよ! 子どもたちにとっても異母きょうだいがいるって、人生変わる出来事だからね?」
夫はおそらく不倫相手のところに行っているのでしょう。彼女と3人で話し合いをした日から、わが家に帰ってこなくなりました。私は自分の胸のうちを聞いてもらおうと、電車で2時間ほどの場所にある実家に向かいました。 私の話を聞いた妹は「絶対に離婚するべきじゃない」と言います。相手女性の思うツボだし、彼女が年齢を重ねるまでどうにかして離婚を引きのばすべきだと主張します。私もそのとおりだと思いました。 しかしそのときふいに母が「リカ自身の人生を考えたとき、本当にそれでいいの?」と問いかけてきたのです。私はすぐに返事をすることができませんでした。
相手の不幸を願って生きる?「あなた自身の幸せを」両親の言葉
「相手を不幸にするために一緒にいる方がいい、って思っているのであればやめなさい。誰かを恨みながら生きるのは……辛いわよ……?」母がそう私を諭すと、父もきっぱり言います。「お前が好きだったユウキくんは、もういないんだよ」
「そんな男に人生を縛られていいのか?」「あなたの幸せを考えて、決めなさい……。どっちに転んでも、私たちはリカの味方だから」相手の不幸を願うのではなく、私自身が幸せになれる選択を……。父と母の言葉は深く胸に沁みました。
自分たちに残されている人生が、あとどれくらいか分からないという両親。だからこそ誰かの不幸を願う人生を送るのではなくて、私自身が幸せに暮らしていてほしいと願ってくれていました。両親の言葉のひとつひとつが私の胸に突き刺さります。妊娠を望む不倫相手への報復として離婚をしないでおこうと決めかけていましたが、もう一度しっかり考え直してみようと思いました。 誰も幸せにならないのに、どうして夫は不倫をしてしまったのか……。真面目で優しくて家庭的な人だったのに、不倫をする程度の人間だったということなのかな……。私はそんなふうに思いながら帰宅したのでした。
帰ってこなくなった夫。不倫を知った子どもたち「やっぱり!」
私は今後どうしたらいいのか、子どもたちのためにどうすべきか……。家では平静をよそおいながら気持ちの整理につとめていました。その日は土曜でサエは外出、カコも塾。しかし妹と電話をしていると、その内容をサエに聞かれてしまったのです。
サエはすぐに電話でダイスケを呼びました。「もしもしお兄ちゃん? 今すぐ実家来て! 緊急事態!!」そして1時間後、ダイスケが家へやってきました。「黙っていてごめんなさい。いつかバレるのに……なかなか言い出せなくて」「母さんのせいじゃないよ」
実家で相談したあと、私はしばらく普通に生活しながら考えていました。自分がどうしたいのか、子どもたちのためにどうするのが一番いいのか……。考えれば考えるほど泥沼にハマってしまいそうでしたが、「今が踏ん張りどきだ」と思いながら気持ちの整理につとめていました。 そんなとき妹から連絡があったのです。けれど誰もいないと思って油断していたら、ちょうど帰宅してきたサエに会話を聞かれてしまいました。サエは慌ててダイスケを実家に呼び寄せ、私は2人に経緯を話すことになったのです。 ダイスケとサエはもう大人だから、ある程度は割り切って話を聞いてくれたのでしょう。「お母さん、もう離婚しなよ」「これ以上父さんにしがみついてても、むなしいだけでしょ」そう言って私に離婚をすすめてきました。でもカコはまだ中学3年生なのに……? するとサエは言いました。「……カコ、知ってるよ? お父さんが不倫していること」思いがけない言葉に私は呆然としてしまいました。
夫への反抗的な態度の理由⇒次女は「半年前に目撃していた!」
「結局、写真は撮れてないんだけど。それからかな。カコがお父さんを避けるようになったのは……」カコの気持ちを思って涙する私に、サエは言いました。「ハッキリさせてあげなよ。もう知っちゃっているんだから、仕方ないじゃん」
「カコのことなら、私たちが守るから大丈夫!」「な? カコ? お前もそんなにヤワじゃないよな?」「え……?」リビングの入り口を見ると、カコが家に帰ってきていました。塾にいたカコへ、サエがメッセージを送っていたようです。
なんと! カコは半年前くらいに夫と不倫相手が一緒にいるところを目撃していたのです。カコが夫に対して反抗的な態度をとっていたのは、不倫をしている父親への嫌悪感からだったと気が付きました。もっと早くに気が付いてあげていれば……。半年間も父親の不倫を胸にしまっていたのかと思うと、申し訳なくて仕方ありません。 ダイスケやサエは私に離婚を勧めてきますし、カコも「お母さんが謝る必要はない」と憤っています。きょうだい3人が揃ったので、私たちはあらためてわが家の今後について話し合うことになりました。
離婚届に記入した夫「父親であることは変わらない」だったら?
私たちは自宅のリビングで最後の話し合いに臨みました。久しぶりに帰宅した夫は子どもたちに頭を下げます。「お母さんとは夫婦じゃなくなるけど、お前たちの父親であることは一生変わらない。何かあればいつでも駆けつけるから」子どもたちは白けています。
私と夫は子どもたちの目の前で離婚届を記入しました。夫はダイスケが用意した誓約書にもサインをして、必要な荷物をまとめます。そして家を出て行こうとしたそのとき、カコが言いました。「あ、お父さん。私はいつ頃引っ越せばいい?」
本来であれば夫婦のことは夫婦で話をつけるべきだったのかもしれません。ただ子どもたちも同席したいと言ったので、家族全員で最終的な話し合いをすることになりました。夫にサインをしてもらった離婚届は、私があとで出しに行くことになっています。 夫はしきりに子どもたちへの愛情をアピールしていましたが、子どもたちはどこか呆れ顔でした。そして家にある必要な荷物をまとめて夫が出て行こうとしたとき、カコが「私はお父さんについて行く」と言い出したのです。その言葉にあっけに取られ、思考が追いつかない夫。もちろん夫は勝手に、カコは私が引き取るものだと思い込んでいたのでしょう。
次女の希望「わたし、お父さんについて行く!」断らないよね?
カコは不倫を目撃した半年前からずっと心に決めていたそうです。「もし離婚することになったら、お父さんについて行ってずっと邪魔し続ける。父親が他に好きな人作るとか、簡単に忘れられることじゃない。このままじゃ私の気が済まない」
「このまま何もせずに別れたら、カコの心に今回のことがずっと残り続けるから。カコの思うようにさせてあげようよ」ダイスケもサエも、カコの味方をしました。そしてカコは家を去ろうとする夫に向けて「お父さんについて行く」発言をしたのです。
「いい大人が中学生の子どもを捨てるなんて、そんな無責任なことしないよね~?」「大切なわが子を不幸にした上に成り立つ幸せってあるのかな……?」ダイスケやサエの言葉に、夫は何も言い返せませんでした。自分の子どもにここまで言わせて、自分が情けなくならないのでしょうか。「じゃあ離婚届の親権者の欄には、あなたの名前書いておくわね」と言い放つと、夫はただ呆然とするばかりでした。 夫が私を捨てて新しい人生を歩むことはもういいのです。しかし夫はあくまでも「父親」です。「ずっとお父さんだから」「何かあれば力になる」そんな体のいい言葉を並べながらも、家を出て行こうとしている時点で無責任なのです。そんな勝手は許されません。カコの提案には驚きましたが、きっと夫と不倫相手の未来はそう長くはない……そんな気がします。私もカコを手放すつもりはないので、しばらく夫と不倫相手の動向を見守りたいと思います。
「お父さんとは暮らしません!」身勝手な不倫の結末は……?
あれから夫は不倫相手に娘を引き取ると話したのだそう。「何言っているの? 私と2人で新しい家庭を築いていこうって言ったじゃない! 私、中学生の母親になんかなれないわよ!!」相手の女性とは案の定、揉めはじめたようです。
「私、やっぱりお母さんのところに戻るね。お父さんも寂しくなったからって、私たちにすり寄ってこないでよ? じゃあね」そう言ってカコはファミレスを出たそうです。私は離婚届を窓口に提出する前、夫ともう一度だけ話す機会がありました。
結局、夫がカコを引き取るかもという話になったとたん、相手の女性は逃げるように去っていったのだそう。子どもがいる事実を受け止める覚悟もなく、その程度の気持ちだったということですね。つくづく頭のなかが恋愛でいっぱいで現実など見ていなかったんだな……と思いました。 最終的に「親権者」の欄に私の名前を記入して、離婚届は無事に提出することができました。子どもたちからも見捨てられた夫のことは若干気の毒にも感じますが、すべて自分のしたことが返ってきただけ。これからの人生、反省しながら生きていってほしいと思います。