「子どもの自殺はなぜ増え続けているのか」著者に大竹まことが聞く
お笑い芸人の大竹まことが同世代や全世代の男女に向けてお送りしているラジオ番組『大竹まことゴールデンラジオ』(文化放送・毎週月〜金曜13:00~15:30) 6月6日の放送は、集英社新書から発売されている『子どもの自殺はなぜ増え続けているのか』の著者である、ライターの渋井哲也氏を招き、金曜パートナーの壇蜜とともに本の内容について伺った。
壇蜜「なかなか重いタイトルですね」
大竹「そうですね。近年、自殺そのものは昔に比べて増えてはいない」
渋井「大人の自殺は減り続けていますね」
大竹「だけども、ですが、子どもは自殺数が年々増えているんですか」
渋井「明確にわかりやすくなっているのは、2017年以降は増え続けていますね」
壇蜜「もうすぐ十年だ」
大竹「こういうふうに増えているわけですが、これは世界的な傾向ですか?それとも日本とか韓国とかアジア圏に限っているんですか?」
渋井「全体的に子どもの自殺が増えている傾向はありますね。特に先進国は。減ってる国もありますけれども、全体としては増えている傾向がありますかね」
大竹「最初、どういうきっかけで、このご本の方にたどり着いていらっしゃったんですか?」
渋井「2021年でしたかね。いわゆる歌舞伎町の「トー横」で子どもたちが集まっていて、その中で自殺した子どもが何人か現れてですね。その背景を追っていったっていうのが直接的な動機ですね」
壇蜜「どうして彼らは死を選んだのかっていうことですね」
渋井「僕の思い込みとしては、近年大人の自殺も減っているので、子どもも減る可能性はあったわけですけれども、2017年に男女9人の自殺幇助事件、いわゆる座間事件があって。それからSNSで「死にたい」と呟く人が増えていったわけです。その対抗策として、厚生労働省はSNSに死にたいとつぶやく子どもが集まるのだからSNSを使って相談所をやったり、あるいは文科省はSOSの出し方教育というのをやり始めたんですよね。そうするとSOSの出し方が分かるようになる、あるいは相談先がある、ということになれば一般的に考えれば減るかもしれないと思っていたわけですけど、統計を見ても全然そんなこともなかった。子どもたちがコロナ禍で過ごすということをみても、確かに学校でいじめにあう可能性は減るわけですけれども、しかしながら自殺の数はどんどん増えていった。というところで何かヒントがないかと思ってトー横の取材をしていました」
大竹「自殺の窓口みたいなものを作って国がやったんだけども、でもそれでも、そういうことはなくならなかったと。相談者数っていうのは増えていかなかった?」
渋井「相談をするっていう意味では人は増えていったんですね。しかしながら結果を見ると自殺をしてしまう子どもたちが減らないということでした」
壇蜜「相談してもダメだったっていう結論になっちゃったってことですね」
大竹「ということは、SOSを出す窓口は増えたんだけども減らないっていう意味は、どういうふうに解釈したらいいんですか?」
渋井「いろんなつらい思いを自覚した時に相談先があるという意味では、これまでのなかった時代から比べれば、話しやすい場所ができたんだろうと思うんですけども、ただ、その人が抱えている問題っていうのは、話せば終わるのかっていう問題がありますよね。話してすっきりした人からすれば、つらい思いを吐き出せたという意味では良い傾向だと思うんですけど、でも具体的にいじめをされているとか、体罰を受けた、あるいは虐待を受けている、そういう問題は話しただけでは片付かないですよね」