那須川天心vsジェイソン・モロニーは“塩試合”の可能性、世界挑戦実現へ求めたい「逞しさ」
2025年2月24日に東京・有明アリーナで10回戦
プロボクシングのWBOアジアパシフィックバンタム級王者・那須川天心(26=帝拳)が2025年2月24日に東京・有明アリーナで前WBO同級王者ジェイソン・モロニー(33=オーストラリア)とノンタイトル10回戦を行う。
対戦相手の名前に聞き覚えのある方も多いだろう。2020年10月にラスベガスで当時バンタム級王者だった井上尚弥(大橋)に7回KO負けし、WBOバンタム級王者として来日した2024年5月には武居由樹(大橋)に判定負けでベルトを明け渡している。
日本人に2戦2敗だが、プロで30戦(27勝19KO3敗)しているモロニーは、決して弱い相手ではない。むしろ天心にとっては冒険的なマッチメイクと言える。
天心の実力を測るには打ってつけの相手
天心はキックボクシングからボクシングに転向して以来5連勝(2KO)。2024年10月のジェルウィン・アシロ(フィリピン)戦に判定勝ちし、初めてのベルトを奪取した。
ボクシングデビューして2年も経っていないが、すでに世界ランキングはWBA2位、WBC3位、WBO7位まで上昇。バンタム級は4団体とも日本人王者で交渉しやすい環境にあるため、2025年中に世界挑戦する可能性も十分にある。
中でもK-1からボクシングに転向して先に世界のベルトを巻いた武居由樹とはお互いにラブコールを送っており、実力も拮抗する両者の対戦が実現すればファン垂涎の好カードだ。
モロニーは武居に判定負けしていることから、天心の実力を測るには打ってつけの存在。内容次第ではあるが、勝てば世界挑戦への気運も高まるだろう。
かみ合わず、ズルズル判定の可能性も
ただ、好戦的な武居と違い、天心は常にフットワークを使って距離を取り、カウンターを狙うスタイル。高いボクシングセンスがあるからこそできる芸当なのだが、相手によってはその良さが活きない場合がある。
モロニーは左から組み立てる基本に忠実なタイプで、一発の破壊力もないため、やりにくい相手ではない。しかし、カウンターのうまい天心を無理に深追いするとも思えず、睨み合う時間が長くなる可能性がある。この2人はかみ合わないのではないか。
武居はモロニー戦の最終ラウンド、スタミナ切れでフラフラになりながらも足を止めて打ち合い、観衆を沸かせた。天心も自ら積極的に前に出ればKOチャンスもあるかもしれないが、いつものようなカウンター狙いだと、お互いに手数の少ない“塩試合”となり、ズルズルと判定まで持ち込まれる展開もあり得る。
世界挑戦をアピールするには勝利だけでなく、内容も重要だ。今回は、逞しさを増した積極的な天心を見てみたい。
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記事:SPAIA編集部