「ものがたりをめぐる物語」 風土と人の関係性を問う 宮前市民館で映画上映会
川崎を拠点に映画制作を続ける「ささらプロダクション」(宮前区)の新作「ものがたりをめぐる物語」の上映会が、2月8日(土)に宮前市民館で開催される。由井英(すぐる)監督の故郷である長野県諏訪市の伝承と諏訪湖で続く神事を起点に、「人間と風土」の関係性を現代人に問いかける作品だ。
「ものがたりをめぐる物語」は、心理学者の河合隼雄さんや神話学者のジョセフ・キャンベルさんの著作に刺激を受けた由井監督が、地域に伝わる物語を通じて日本人の心象風景に迫ろうと、15年ほど前に企画。当初は故郷の諏訪市のみで撮影する予定だったが、2011年に東日本大震災が発生したため、諏訪大社の末社のある岩手県陸前高田市も訪ね、復興の過程を撮影した。
作品は「昔に戻りたいわけではない」というナレーションで始まり、諏訪大社の縁起物語といわれる神話「甲賀三郎伝説」を軸にすえ、「思索の旅」のように展開する。諏訪湖で約500年続く神事「御神(おみ)渡り」のいとなみや東日本大震災の被災地で生きていく人々の日常などを、訪ね歩くようにカメラがとらえ、伝承や神話の「語り」を交えつつ、風土と現代人のかかわりへと問いを投げかける。
作中、川崎市が工業都市へと変貌する過程も登場する。由井監督は、「物語の奥にある日本列島の風土と私たちの関わりについて、この映画を観る方々と一緒に読み解きながら、それぞれがこれからの暮らし方を思い描く時間にしてもらえたら」と語る。
前売り券2200円、当日券2500円。当日は午前中に前作「オオカミの護符」を上映。「ものがたりをめぐる物語」の上映は午後1時40分〜3時55分(途中休憩あり)。上映後、観客とのトークセッションなどがある。詳細は二次元コードから。