葬儀トラブルを避けるためにできること。「事前」と「事後」は笑顔でいたいから
葬儀の規模が縮小化する中で、格安をうたう広告によるトラブルも増えています。トラブルを避け、お式の後に笑顔でいるために大切な心構えを聞きました。
教えてくれたのは…
有限会社ヤタガイ 花想庵~結~ 谷田貝剛幸さん 終活カウンセラー、遺品整理士、相続診断士
「結局高額になった」増える葬儀トラブル
国民生活センターの「見守り新鮮情報」に、葬儀サービスのトラブルが取り上げられています。
「広告を見て価格が手ごろなのでその葬儀社に依頼したが、オプション等を付けられ、結局高額となり
納得できない」という相談が増えているそうです。
業界全体のイメージダウンにつながる、こうしたトラブルは本当に残念です。
「終わってみたら大幅に出費がかさんだ。葬儀の見積もりは当てにならない」などと思われるのは、葬儀社の一人として心外です。
それは「正しい見積もりではなかった」のです。
「良いお式にしよう」で考えましょう
まず、皆さんに知っていただきたいのは、「『家族葬』に明確な定義はない」ということ。
「家族葬」は家族で行う葬儀のことなので、一日葬や直葬、火葬式も家族だけで行うなら「家族葬」と言えてしまいます。
例えば、A社の広告に「家族葬10万円〜」とあり、B社は「50万円」だったとします。
安いA社に頼んだところ、A社のいう家族葬は火葬式のことで「通夜、告別式など会場を使うなら別途100万円」と追加料金が発生。
一方のB社は、初めから全てを含めて「家族葬」と定義していた。
B社に頼んでおけば…ということが起こり得ます。
金額だけで選ぶのが危険なのは言うまでもありませんが、そのためにも「事前に相談・見積もり」、それも「元気なうちに」「家族やパートナーなど複数人で」対応しておくことが肝になります。
自分や家族が亡くなる話は避けたいものです。
そうして先延ばしにして、いざその時が来たら「何も準備していなかった」「病院で勧められるままに提携の葬儀社に頼んだ」「気が動転していて細かい条件やオプションを確認できなかった」ためにトラブルになるわけですが、考えてみてください。
100万円単位の「買い物」を、話したことはおろか見たことも聞いたこともない人や会社に即決で
依頼するなんて、普段あり得ないですよね。
車や住宅ならカタログを取り寄せ、下見をして見積もりも取って、商品やサービスの内容はもちろん、打ち合わせを重ねて「この人に、この会社に頼もう」と納得して決めるはず。
それを、葬儀にも当てはめていただきたい。
お金をかければいいという話ではありませんが、安く済まそうではなくて「良いお式にしよう」で考えてほしいのです。
事前相談は元気なうちに進めて、共有を
人が亡くなってお金が掛かるのは葬儀だけではありません。
お墓や仏壇、49日法要、相続や遺品整理なども含めた予算を考えておく必要があります。
そしてこうした話は、病気が発覚したなどの状況では冷静な判断ができにくくなるもの。
「まだいいよ」なんて思える元気なうちに進めましょう。
笑顔で打ち合わせができれば理想的ですね。
また、本人だけで進めてしまうと、家族がそれを知らずに別の会社に依頼してトラブルになることもあるので、家族内で共有しておくことも大切です。
納得できる葬儀のための7カ条
(1)事前相談で準備をする
(2) 葬儀社の検討はネットの口コミより友人・知人の紹介を参考に
(3) 参列者数や葬儀内容をそろえて複数社から相見積もりを取る
(4) 価格だけの比較は禁物
(5) しつこい提案には「故人の遺志ですから」と言って拒否
(6) 「分からないのでお任せします」は禁物
(7) 家族葬など葬儀の種類とメリット・デメリットを理解する
まとめ
・葬儀は、ある程度高額になるにも関わらず検討や準備の時間がありません。事前の情報収集、相談が大切です。
・広告に表示された料金でサービスを受けられるとは限りません。葬儀社との打ち合わせは複数人で受け、見積書をよく見て不明な点はその場で確認を。