「ヘンテコで雑」な高額療養費制度。改正案凍結で「よかった」ではない?
ニュースキャスターの長野智子がパーソナリティを務める「長野智子アップデート」(文化放送・月曜日~金曜日15時30分~17時)、3月20日の放送に経済評論家の佐藤治彦が出演。二転三転の末に凍結となった、高額療養費の自己負担の上限額引き上げに関し、解説した。
長野智子「(高額療養費制度について)最終的に改正案の凍結になりました。一連のドタバタをどう見ていましたか?」
佐藤治彦「高額療養費制度は世界に誇れる日本の医療制度だと思うんです。1990年代にできて、非常に雑な制度だったのを、丁寧な制度に変えてきて。言っておきますけど私、政府の味方じゃないですからね。でもハッキリ言わせていただくと、いまの財政事情から考えれば、いい部分もいっぱいあった。いまメディアで、凍結しなかった場合にいくらお金がかかったか、120億円だと」
長野「言われていますね」
佐藤「120億円でみんなのことを苦しめるな、それはよくわかります。でも実際、日本って世界でも高度な医療をできるだけ保健医療で診てあげよう、と。そして高齢化が進んでいる。高額療養費制度の支出は、この11年余りで7000億円増えている。ざっくりいうと1年に600億円ぐらい増えているんです」
長野「そうなんですね。120億円という数字ばかりが流れていますけど」
佐藤「600億円増える中の120億円を少し節約できると。だけどやっぱり500億円ぐらい増えてしまうんですよ。手を入れなければ制度が維持できない、というのは間違いない。ただやはり患者団体に意見を聞かなかったり……」
長野「苦しんでいる方々をターゲットにしたり、というのは皆さん、抵抗がありましたね」
佐藤「そうなんです。今回の改正案でいいところは、応分負担。非常に収入の高い、1500万や2000万ある人にはもう少し出してもらいましょう、と。でも所得がほとんどない人にももっと出してください、という案だった」
長野「はい」
佐藤「配慮すべきところに配慮が足りなかった。そこはよくない。ただ高額療養費制度(の改正案)を凍結したままほうっておくということは、まだまだ制度が雑なままなので、まずは見直さなければいけない、と思っている」
長野「はい」
佐藤「高額療養費制度を『雑』と言いましたけど、本当に知っておかないと大変なことがいっぱいあるんです」
長野「もし自分がそういう病気になったときなど、知っておいたほうがいいシステムがあるわけですね」
佐藤「はい。凍結して皆『よかった。もう興味ない』となっているかもしれないけど、きょうはあえて、知っておいていただきたいな、と思って取り上げました」
佐藤は「ヘンテコで雑な制度をもう少し改めてもらいたい」と、このあとも解説を続けた。