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釜石健康マラソン 市民ランナーに愛され、節目の50回 つながる歴史「これからも」

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 市民総参加型のスポーツイベント・釜石健康マラソン大会(釜石市体育協会、市陸上競技協会、市主催)は12日、鵜住居町の釜石鵜住居復興スタジアムで開かれた。スポーツを愛する人、クラブ活動に励む小中学生、健康維持と体力向上を目指してジョギングを楽しむ人など、年代も目的もさまざまな人が集う大会は、今年で50回目。さわやかな秋晴れの下、年に一度の顔合わせを楽しみ、力いっぱい走った。

 1975(昭和50)年にスタート。東日本大震災のあった2011年も続けたが、コロナ禍の影響で一度中止した。甲子町の市球技場から会場を移して4回目の開催。潮風を感じながら走る海沿いのコースを用意しながら、市民が集う機会を維持している。

 今大会は、既存と新設合わせて7種目に市内外の2歳から80歳までのランナー約270人が参加した。芝が広がるメイングラウンド内を発着点にして海沿いを走る3キロ、5キロの部で、出場者は心地いい風を受けながら走行。スタジアムやグラウンドの外周を使った2キロ以下の部では、保護者や地域住民らが移動しながら盛んに声援を送る姿が見られた。

子どもも大人も入り乱れてスタート。完走を目指す


釜石ならではの景色を楽しめる海沿いのルートも


ランナーたちは声援を力に、思い思いに走ることを楽しんだ


 5キロアップダウンの部が新設。5キロの部の折り返し地点、根浜海岸のレストハウス付近をさらに進み、海抜約20メートルの高台にある「根浜復興団地」に駆け上がって市道箱崎半島線を鵜住居方面に向かうコース。高低差のある坂道がいくつか続くが、男女合わせて20人近くが出場した。

新設された5キロアップダウンコースを走るランナー


 最年長出場者の長岡直人さん(80)=同市嬉石町=も挑み、「余裕」でゴールした。この大会には8割参加しているといい、「知り合いに会うのが楽しみ。子どもらの参加も多く、頑張りを見ているのも楽しい」とニコニコ顔。妻・薫さん(75)の応援を受け、市外のマラソン大会にも積極的に参加していて、「あすはハーフ(マラソン)。楽しくがモットー。記録ではなく、制限時間に完走できればいい。沿道に手を振って、応援を力に走り続けたい」と元気だった。

「元気が取りえ」と話す長岡直人さん(左)と妻の薫さん


 団体参加したFC釜石スポーツ少年団の佐藤灯さん、中島柊空さん、千葉條太郎さん(いずれも小学2年)は「気持ちよかった」と声をそろえる。3人とも2回目の出場で、前回より大幅に順位がアップ。「前半に突っ込み過ぎず、後半に余力を残したのが要因。目標達成できて、うれしい」と笑顔も重ねた。今、打ち込んでいるサッカーへのモチベーションも高まった様子。体力をつけ、「来年はもっと上位を」と意気込んだ。

 完走証に満面の笑みを見せていたのは、初出場の三縄高雅さん(小学2年)、情君(6)の兄弟。それぞれ1.5キロ(小学低学年男子の部)、400メートル(男子幼児の部)で8位、3位に入った。「のどがカラカラになるくらい頑張った。楽しかったから、来年も出たい」と意欲満々。小学時代に出場経験がある父親は「歴史がつながっていると思うとうれしい。大会を続けてほしい」と願った。

完走証を手に笑顔を見せる三縄高雅さん(右)と弟の情君


完走証を作成する運営スタッフの笑顔と拍手もご褒美


 半世紀続く大会に主催者、運営関係者らは感慨もひとしおだ。スターターを務めた市文化スポーツ部の佐々木豊部長(59)は第1回大会を知る世代。当時は参加対象が小学5年生からだったようで、佐々木部長は4年生だったことからオープン参加となった。大勢で走る楽しさを経験しているから、「(今回も)本当は走りたい」といたずらっぽく笑った。

 少子化、人口減、長寿化…さまざまな社会の変化もあって参加の間口を広げ、今は親子が一緒に走れる種目があったり、幼児から高齢者までが集える大会となっている。和やかな競技の様子を見守った佐々木部長は「この大会を目標に日頃から健康づくり、運動習慣づくりに取り組んでほしい」と期待する。

スターターを務めた佐々木豊部長(奥右)、サポート役の菊池信男会長(同左)


 市陸協の菊池信男会長(68)は「先輩たちがつないで50回も続く歴史ある大会。製鉄の歴史と同じように、ランナー、市民には失敗しても頑張るとの意気込みがある。参加人数は伸び悩むが、できることをやって人を集めて粛々と続けていければ」と話した。

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