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車検を受けるならどこがいい?ディーラーなど各業者の特徴を整備士が解説

norico

車を所有するうえで車検を受けることは必須であり、ユーザーの義務です。
一般的には定期的な消耗品の交換やメンテナンスも同時に実施することが多いので、費用面はもちろんのこと、高品質な整備をしてもらえるかどうかも、ユーザーにとっては重要なポイントです。
車検を受けることのできる工場やお店はさまざまですが、どこで受けるのがいいのか?またそれぞれの業者ごとの特徴やメリット・デメリットについて、現役の整備士が解説します。

車検を受ける業者を選ぶポイント

車検を受ける業者を選ぶポイントは第一に「適切な整備提案があり、見積書が明瞭で信頼のできる整備事業者であること」です。
当然、ユーザー目線だと費用がすこしでも安いことも重要なポイントですが、車検の本質は車検の完了後も安心・安全に車に乗り続けることができるよう、確実な点検と整備をおこなうことという認識を忘れないようにしましょう。
これを前提に、車検を受ける業者選び時のポイントを以下にまとめました。


•整備品質
•点検・整備費用
•車検に掛かる日数
•代車の有無
•担当者への信頼度
•自宅(職場)からのアクセス

費用と整備内容のバランス

車検には大きな金額が必要です。税金や自賠責保険料といった法定費用はどこで車検を受けても同じ金額ですが、「点検費用」「整備・部品交換費用」は業者によって異なります。
すこしでも安く済ませられれば良いですが、車には定期交換が必要な消耗品もあれば故障もします。たとえ安くても、これらのメンテナンスを疎かにするような業者は避けたほうが賢明です。
実際に本来、必要と思われる整備を実施せずに車検をする業者は少数派ですが存在します。
必要なものとそうでないものを分かりやすく説明してくれ、実際の交換部品を掲示してくれるなど信用のおけるお店(担当者)を選ぶようにしましょう。

自分に合ったスケジュールか

車検に掛かる期間も重要です。
事前見積もりをすることで日帰りで車検ができたり、1泊2日、3日〜1週間ほど預けるなど、お店によってさまざまなパターンで車検を実施しています。
車検の際は事前に、愛車を預けるところから受け取るまでのスケジュールを確認しておくようにしましょう。
また、日常的に車を使っている方は代車の有無も大切です。
直前になると代車が無かったり、レンタカーでの対応となるケースもあるので、早めに車検の予約を取るようにしましょう。

車検を受ける各業者の特徴

車検を受ける業者ごとの特徴をまとめました。


業者の種類 費用 時間 主な特徴
自動車ディーラー 高い傾向 1日〜数日 車種ごとの専門知識をベースとした整備
純正部品を使用
保証がしっかりしている
大手中古車屋 中間 1日〜数日 価格と品質のトータルバランスに優れる
民間の整備工場
(小規模な中古車屋) 安い傾向 2日〜数日 工場ごとにスキルの差や費用の差が大きい
柔軟な対応
カー用品店 安い傾向 半日〜数日 扱っている豊富な商品から使うものを選べる
利用ハードルが低め
車検専門店 安い傾向 半日〜2日程度 安くて早い
立ち会い車検の実施
ガソリンスタンド 安い傾向 1日〜数日
別途事前見積もり ガソスタ利用時の特典があるなど、車検以外の付加価値がある
営業時間が長い

整備スキルの差はどの業者であっても、工場設備と整備士個人によるところが大きいです。
次に各業者の特徴をそれぞれ掘り下げていきます。

自動車ディーラーの特徴

自動車ディーラーはメーカーの看板を掲げているお店で、扱い車種の専門的な知識がもっとも豊富です。
それをベースとした予防整備の提案や情報の提供がある点が特徴です。
また、新車保証の修理窓口は基本的にディーラーとなります。
延長保証の適用条件として正規ディーラーでの車検が条件というメーカーもあります。
昨今は、予約が取りづらい状況のディーラーが多いので、早めの予約が必須です。
費用が高めの傾向ですが、品質のたしかな純正部品の使用が基本で、万が一の時にも安心できる点から選ばれるオーナーさんも多いです。

大手中古車屋の特徴

整備工場を併設した大手の中古車屋は担当者による提案やスキルに差があるケースがあります。
よって、費用を安く抑えられることもあれば、ディーラと同等の費用がかかるケースもあります。
独自のパーツ管理・生産をおこなっているところもあり、突発的な整備にも比較的対応が早いです。
広々とした清潔なピットで、立ち会いで実車を見ながら整備説明を受けることができるお店もあります。

民間の整備工場

民間の整備工場は、費用が安い傾向にあります。
こちらの提案に対して時間をかけて柔軟に相談にのってもらえますが、費用面を優先しすぎるとメンテナンス不足に陥ってるケースも少なくありません。 
また、面倒な整備や診断はすべてディーラーや専門業者に丸投げということもあります。
一方で工場によるスキルの差がかなり大きく、ディーラーでも手を煩わせる難解診断や、部品の分解修理にも対応できる職人整備士のいるお店があったり、特定の車種に精通したプロショップもあります。
技術面だけでなく、費用面もディーラーと遜色のないところもあって工場の特徴が千差万別なだけに、その見極めが難しいです。

カー用品店

カー用品店はほかの業者よりも身近に感じているひとも多いので、気軽に持ち込めるイメージから利用されるユーザーが多いです。
ネットで簡単に予約することができます。
また、交換に使う部品はカー用品店で扱っている豊富な品揃えから選ぶことができる点が大きなメリットです。
そういった特徴から比較的費用が安くなる傾向にありますが、難解な修理などはディーラー等に外注することが多いです。
車検を受けることで、カー用品店を利用する際の特典がもらえたりします。(例:エンジンオイルの交換工賃が無料になる…など)

車検専門店

車検専門店は、比較的費用が安いうえに短時間で車検が完了する傾向にあります。
これは作業内容をパッケージ化して、車検内容をシンプルにすることで実現しており、それによって整備品質も均一化されています。
短時間だからこそ、実際の車検の様子を立ち会いで見学できたりするお店もあります。
ただし、車検に通ることと多くの台数を処理することに特化しているお店が多いので、メンテナンス内容も最低限なものになる傾向があります。

ガソリンスタンド

ガソリンスタンドは営業時間が長いので、車検の際の持ち込み・引き取りの時間に柔軟性がある点が便利です。
車検時のみではなくその後のサービスに力を入れているお店も多いです。
たとえば、特別な割引率で給油ができたり、車検に際して品質の良い洗車サービスを受けられるといった、さまざまな特典やノベルティがあります。
整備内容は簡潔なもののみ受け入れ可能なケースが多く、受け入れ可否の判断のため事前見積もり等が必要です。
よって、年式が新しい・距離が少ない車向けと考えておくのが無難です。
これらにより、車検費用は安い傾向にあります。

安さだけで選ぶのは注意!車検の業者選びの注意点

車検というのは、法的には「いま、車検にさえ通ればそれでOK」ですが、車検を受けた後、次の車検までの2年間(1年間)を安全安心に乗れるための点検および整備を確実に実施することに意義があります。

サービス業としての基本に着目

車検業者選びの注意点はすでに「車検を受ける業者を選ぶポイント」のところで解説したとおりです。
加えてサービス工場がきれい、スタッフの身だしなみや言葉遣いがきちんとしている…といったサービス業の基本ができているかの要素も非常に重要です。
安い業者のなかでも、社会通念上の乱れがある業者は避けるのが賢明でしょう。

安いのは基本料金・基本整備だけの場合も

基本点検料は安くても、追加整備が出たときには一気に費用が膨れ上がる可能性があります。
特に自社で問題をクリアできずに、ディーラー等に外注する場合には、直接ディーラーで整備するよりも割高になるケースがあります。
万が一のときの作業の流れや追加費用の詳細を確認しておく必要があります。

安いには理由がある(実例あり)

安い車検は安いなりのもので、本来交換しなければいけないものが放置されているケースが多いです。
たとえばブレーキは車検において、制動力がクリアさえすれば残量に関する基準はありません。
安い業者で車検を受けた直後の車が、他の車屋さんでチェックすると、いますぐブレーキパッドを交換しなければいけないと判断されることがあり、わたしも過去に何度も同じ経験があります。
安いには安い理由があることを認識しておくことが大切です。

ユーザー車検は玄人向け?

ユーザー車検は、整備事業者による点検・整備の実施状況に関係なく、ユーザー自身で陸運局に足を運んで車検を受けることができます。その分、費用面ではもっとも安く抑えることができます。
その一方で、本来必要な定期メンテナンス等が疎かにされがちなので、ご自身でメンテナンス状況を把握して、適切なタイミングで実施できなければおすすめしません。

(ディーラー車検は安心?)

昨今、車検不正のニュースが世間を賑わせることもあり、整備事業者の質が問われています。
ディーラーのみならずほかの業者も含めたすべてに言えることですが、車検の整備品質、整備内容に関するスキルや知識は、同じ会社であっても店舗ごと、同じ店舗でも個人単位で波があります。
これはロボットではなく人がやることである以上避けられません。
一般的には、規模の大きい会社ほどコンプライアンスに厳しいとういう点、保証等が関わってくるとメーカーとのやり取りの窓口はディーラーになる点を踏まえると、ディーラー車検は安心とも言えます。
しかし、最終的にオーナーにとっての安心感は、担当者とどれだけ信頼関係を築けているかどうかであり、ここに業者間による違いは関係ありません。

整備士のまとめ

ユーザーにとって車検で大切なことは、単に車検に通ることだけではなく、車検ごとを区切りとしたメンテナンスの実施や、悪い箇所・悪くなりそうな箇所がないかの点検が確実にできていることです。
極端に走行距離が少ないかつ車が新しい…というわけでなければ、車検時には何かしらの部品の交換提案があるものです。
目先の安さだけに捉われずに、こういった車両のメンテナンスを信頼して任せられるかどうかを1番に、車検を受ける業者を選ぶようにしましょう。

Supervised by 整備士 ヒロ

保有資格:2級整備士。国産ディーラー整備士、輸入車ディーラー整備士の経験がある、現役の整備士。 整備士経験は10年以上で過去にはエンジニアとして全国規模のサービス技術大会に出場。 車の整備に関する情報をtwitterで発信している。

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