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リアルな119のやりとりを公開するNHK「エマージェンシーコール」がすごい / 自殺未遂、山中遭難、ただのイタズラetc…

ロケットニュース24

突然ですが、みなさん、119に電話をしたことってありますか?

もしあったとしても、そう頻繁に119に電話することってないんじゃないでしょうか。目の前で人が倒れたとか、自分自身が具合が悪くなったとか、火事になったとか、人生の中でもトップクラスの緊急事態のときに電話するものですよね。

NHKの『エマージェンシーコール 〜緊急通報指令室〜』は、そんな119に実際にかかってきた電話を公開するというドキュメンタリー番組なんですが、まあこれがすごかった。

事実は小説より奇なり……というけれど、それを地でいくすさまじさ。

・『エマージェンシーコール 〜緊急通報指令室〜』

エマージェンシーコールは119番の指令室に密着するドキュメンタリー番組。ある都道府県の119番司令室に密着し、実際にかかってきた通報と、それに対応するオペレーターの会話だけを見せる形。通報内容はプライバシーに関わる部分は加工されているが、ほぼそのまま。

完全にリアルな通報なので医療ドラマなどとは違う緊迫感が常に漂っている。なんせ、電話をかけてきている側は一世一代の大ピンチであり、対応を一歩間違えば大事故の危険性があるからだ。

・パニックになる通報者

電話は必ず「119番です、救急ですか、火事ですか?」という応答からスタートするのだが、通報者は何らかの緊急事態にあって、慌てて電話をしてきているから、パニックになっていることが多い。

パニック状態の人を落ち着かせて、住所、氏名、年齢、状態など消防(救急)に必要な情報を聞き出して判断するのがまず難しい。

私が見たのは「エピソード5 見えないSOS」と「エピソード9京都 山中にて」だったのだが、かかってきた電話は

・こけて指がなくなった
・高齢の客が食べ物を喉につめてしまった
・道で車が炎上してパニックになった女性
・子供が外で頭を打ったあと頭痛を訴えている
・深夜の山道でバイクが横転したが電波がなくどこにいるかわからない
・自殺願望のある若い女性
・父親の呼吸や意識がない
・施設の3階から転落した人がいる
・友達が自殺未遂をしたようだがアパートの名前がわからない

など、どのやりとりもビックリするようなものばかり。

驚いたのは京都の「こけて指がなくなった女性」からの通報。

通報者本人はいたって冷静に話しているのだが、こけて左手の薬指を負傷し、気づいたら指の先がなくなっていたというのだ。司令官は救急車が来るまでに指の先をなんとか探して氷水に浸けておいてほしい……と、伝えるも通報者の女性は「(指は)どこいったかよく分からない」の一点張り。

指が消えて血だらけでもこんなに冷静に話せるのか……という衝撃、指が切れても氷水につけておけば繋げられるかもしれないから……と、冷静に対応を指示する司令官もすごい。

情報を冷静に聞き出し判断する力と、救急・救命の知識も必要になる。こんなのAIには無理だよなあ。

・自殺願望者からの電話

そして、仙台の119に深夜にかかってきた自殺願望のある女性からの電話も印象的であった。

「必要なのは救急車でも消防車でもない……死にたいんです」

「私、死んでもいいですか……」

まるでこの世とあの世の間から電話をかけてきているような、ゆっくりとした生気のない口調は、正直どんな怪談話よりも怖い。

こうした電話は119の対応外のような気もするが、2011年の東日本大震災で命を救えなかった経験をしたオペレーターの男性は「私はあなたに死んでほしくないですよ」と説得を試み、通報者の住所を聞こうとする。薬物摂取や自殺未遂で命の危険があるかもしれないからだ。

オペレーター「救急車出します、今どこにいますか?」

通報者「わかりません……」

オペレーター「近くに何が見えますか?」

通報者「わかりません……死にたいです」

つなぎ止めなくては今すぐにあちらの世界に行ってしまいそうな通報者の声に呼びかけ、何か手がかりを探そうとする。イタズラの可能性だってあるが、自分が電話の対応を間違えれば、本当に死んでしまうかもしれない。生死がかかった一本の電話の重さに驚かされる。

この電話がどうなったかについては……見逃し配信などで見てほしい。

・中にはイタズラも…

これはたびたび注意喚起されることだが、119の通報の中にはイタズラなどもある。

とくに、京都の119にかかってくる電話は関西ということもあって独特であった。

通報者「さっきから近所で30分くらい爆発音が続いてますねん」

「あ〜、今日は〇〇町で花火大会やってるんですよ、ひょっとして、それとちゃいますかね」

通報者「ほな、それやろなあ……。それやったらしゃーないなあ」

オペレーター「はい〜、失礼しますね」

こんな感じで、まるでコントか漫才のように、やりとり自体にオチがつく。さらにはこんな謎の電話も。

通報者「食べ過ぎてな、死にそうやねん、朝からパン食べてご飯食べて、カップの焼きそば食べて、ポテチ食べて、さっきたこ焼きも食べてもうてん。もう止まらへんねん、どないしよ?」

オペレーター「食べ過ぎは健康によくないから控えたほうがええんとちゃいますか?」

こんなことで119に電話するなよって話だが、怒りもせずちゃんと冷静に返すのがすごい。しかし、緊急を要するものにせよ、イタズラのような電話にせよ、どちらにせ「疲れる電話」しかかかってこない。常に神経をすり減らす仕事である。

ちなみに、木造建築や文化財が多い京都の場合、もっとも緊張感が走るのは「火事」の通報だという。

一本の電話の先には生命の危機がある。出動場所がわからなければ命が救えない、あるいは大事故につながる危険がある。

街をいく救急車や消防車の背景にはこんなシリアスな電話があるのか……と思わされる。見ているだけでハラハラする内容だが、本当に全員が見るべきなんじゃないか……と思うような内容だった。救急救命士や消防士のみなさん、本当に毎日お疲れ様です。

不定期放送のようだが、次回は2025年2月24日(月・祝)午後6時5分から EP10 名古屋「幸せを願って」が放送予定。リアルな緊急事態の切迫感が伝わる番組なので、ぜひとも見てほしい。

参考リンク:NHK エマージェンシーコール〜緊急通報指令室〜
執筆:御花畑マリコ
Photo:RocketNews24.

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