四日市の清水理央さん、ロシアの国立バレエ団の一員に、市長を表敬して報告
三重県四日市市出身で世界三大バレエ学校のひとつ、ワガノワ・バレエ・アカデミーを卒業した清水理央さん(19)が、エカテリンブルグ国立アカデミー・オペラ・バレエ劇場のバレエ団に迎えられることが決まった。近く日本を離れる予定で、8月20日、森智広市長を表敬訪問し、報告した。
森市長は清水さんからバレエ学校在学中のエピソードを聞かせてもらったが、毎年、何人も仲間がやめていく現実に、ダンサーの世界の厳しさをあらためて感じた様子。ロシアとウクライナの交戦により、ロシアのバレエ団が世界ツアーをするのが難しい状況も心配な様子で、世界情勢が変わって、日本でも清水さんの舞台が見られるようにと願っていた。表敬訪問には父の浩之さん、母の寿子さんも同席した。
名古屋の舞台で見た「くるみ割り人形」に感激
清水さんは姉の影響で4歳からバレエを習い始め、中学1年生の時に名古屋の劇場で見たワガノワ・バレエ・アカデミーの公演「くるみ割り人形」に感激し、この学校に入りたいと決心したという。
ロシアのサンクトペテルブルクにあるこの学校は、世界最高峰のバレエ教育を誇る名門校で、約300年の伝統や技術がある。清水さんは2021年から2025年6月までここで学んだが、途中、ロシアとウクライナの交戦で、一時帰国しなければならない時もあった。在学中の公演で「くるみ割り人形」に出演する縁もあり、有名なマリンスキー劇場やクレムリン宮殿劇場などで踊った。
ワガノワ在学中を森市長に説明する清水さん
観客を舞台の世界に引き込める踊りを
プロの団員としての生活が始まるエカテリンブルグ国立アカデミー・オペラ・バレエ劇場は、ロシアのウラル地方の中心都市エカテリンブルグにあり、ロシアでも数少ない連邦政府直轄のバレエ団を擁する由緒ある劇場という。クラシックからモダン、創作作品まで幅広いレパートリーを誇っている。「まずは、このバレエ団のすべての演目の踊りや振り付けを覚えるところから始めないといけないと思います」と清水さん。
ワガノワ在学中、母の寿子さんとは毎日のようにLINEで連絡していたそうだが、寿子さんは「辛い時もあったはずだが、泣いて電話をしてくるようなことはなかった」と振り返る。生徒の中には日本人の友達もいて、そうした悩みを話し合えたことで気分を転換できたのだという。
これからも、周囲にはトップレベルのライバルがひしめく。基礎を大切にやっていく姿勢を貫いていきたいという。「バレエを見ていると、舞台の世界にすっかり入り込んでしまい。いつまでもこの世界だけが続いてほしいと願っている自分がいる。私も、観客にそういう思いをしてもらえるような踊りができるようになりたい」と清水さんは話している。