釣りの外道としてよく知られる<ボラ> どこか憎めないチャーミングな魚の扱いのこと
川や海で大きな魚が跳ねているのを見たことはありますか?
それは、きっと「ボラ」。
チャーミングな生態を持つ一方、釣り人からは雑な扱いを受けることもある魚です。
ボラはとても身近な魚
ボラは、北海道以南の海に生息している最大80センチにもなる魚です。どこの海へ行っても、そっとあなたの横で泳いでいます。
ボラは雑食性で、底泥中の有機物や壁にくっついている付着藻類や動物プランクトンなどを食べています。
スズキやクロダイのように淡水域にもその生息域を伸ばすことができ、都会であっても水辺に目を向ければ簡単に見つけることができます。
僕が見たボラの中でいちばんかわいった光景は、船の側面に付着している藻を必死にカサカサと音を立てながら貪り食っているところ。
ほかにも、ボラは「跳ねる」という得意芸を披露してくれます。理由は諸説ありますが、とにかく跳ねます。勢いよく水面から飛び出し、腹を打ちつけて着水します。
どうでしょうか、どこか憎めないチャーミングな魚ではないですか?
捨てられるボラ 釣り人のモラル
僕はよくスズキを釣りに行くのですが、見ているこちらが辛くなるようなボラの姿を目にすることがあります。
それが、岸にボラが捨てられている光景です。
狙いの魚ではなくボラが釣れてしまうと、リリースもせずにそのあたりに捨てている釣り人がとても多いのです。身近な魚だからこその扱いでしょうか。
他の魚では、フグも同じような目に遭うことが多いです。
サビキ釣りをしていると、足元でフグが干からびて死んでいることがよくあります。これらは、アジやキスなど他の魚を狙っている釣り人が捨てているのです。
同じ釣り人として、本当に残念な気持ちになります。彼らはただ生きようと、エサを食べて針にかかってしまっただけなのに……。
ボラが伝える大切なこと
ボラは釣り人から「外道」として、あまりにもひどい扱いを受けてしまう事実があります。
しかし、ボラもほかの水生生物たちと同じで、自然界で需要な役割を担う生きものです。
プランクトンや小魚、海藻などを食べるボラは大きな群れをつくり、肉食魚や水鳥たちに食べられます。このように、水辺の生態系を支えているのです。
今まで以上にボラに優しくすることで、今一度、目立たぬ存在の大切さを実感していきませんか。
(サカナトライター:かわお)