【伊豆・伊豆極楽苑】地獄の「お・も・て・な・し」死後の世界を見学できるテーマパークは巨大鬼が目印
美しくのどかな伊豆の自然。そこに突如現れた「地獄極楽めぐり」と書かれた建物と、ピースサインの緑鬼さん。私たちは死んだらどこに行くの? 静岡・伊豆市にある、あの世を見学できるというテーマパークへ入ってみました。
巨大な緑鬼が目印の「伊豆極楽苑」
伊豆縦貫道の月ケ瀬ICを降りたら、国道136号線を土肥方面に直進すること700m。
広い駐車場に白い建物があり、「地獄極楽めぐり」と書かれています。
正面玄関の右側にある受付で、入場料を支払って中へ入りましょう。
【入館料】※現金のみ可 ※秘宝展入場は18歳以上可
■地獄極楽めぐり:18歳以上800円 中高生500円 小学生400円 小学生未満無料
■地獄極楽めぐり&秘宝展セット券:1000円
■秘宝展のみ:400円
元気いっぱいの笑顔でお出迎えしてくれる緑鬼さん。どうやら怖いところではなさそう?
以前までは赤鬼だったそうで、時々色が変わります。
死後の世界へレッツゴー!
受付を済ませて靴を脱いで中へ。最初の部屋では伊豆極楽苑のスタッフから、「あの世」についての解説が聞けます。
人は死んだあとに死出(しで)の山を越え、閻魔大王を含めた7人の王より生前に対する審査を受けて、地獄界行きか、それとも極楽浄土行きか、または再び人間界へ行くことになるのか決まるそうです。
とてもわかりやすい解説が聞けますので、そうだったのか! と思うこと間違いなし。死んだあとの行程や行き先にはもう少し種類があるのですが、詳しくは実際に解説を聞いてからのお楽しみ。
死出の山を登り三途の川へ
解説を聞いたら、スタッフと別れてさっそくあの世を見学させてもらうことになります。
地獄の「お・も・て・な・し」を、展示を通して学んでいきましょう。
館内には怖いBGMと、女性の声で解説が流れています。解説版もあるので、各自読みながら自分のペースで進みます。
死んだあとの行程をたどるため、まずは死出の山に見立てた青く薄暗い照明の階段を登ります。
三途の川や賽の河原など、あの世の世界がリアルな人形や模型で表現されています。
この人形や模型たちは、ほとんどが館長やその家族による手作りだそうです。
とくに館長は美術を習っていたので、展示物のクオリティーが高く、繊細でリアルな人形や絵画に見入ってしまいます。
閻魔大王の審判
一人ずつ生前の行いを見て判決を下し、行き先を決める閻魔大王。なかなかの激務です。
閻魔大王や鬼の表情は迫力があり、決してウソがつけませんね。実際にあの世を見ているかのような臨場感が味わえます。
やはり元気に楽しく生きているのが一番。命のありがたみが分かる瞬間です。
閻魔大王の前には懺悔帳が置いてあり、ここで入館者が罪を告白し書き込むことで気持ちを軽くできるのだそうです。
私も、振り返れば愚かしきことの数々。最近の罪をひとつ告白させていただきました。
「面倒事を明日の私にばかり任せてしまい、ごめんなさい」
苦痛がいっぱいの地獄界
最も壮絶で苦難や苦痛が多い地獄界を見学しました。生前に罪を重ねた者が行きつく場所であり、一瞬たりとも安寧や安息の時はありません。
悪いことをしたら地獄へ行く、ということは誰もが一度は耳にしているはず。
しかし、実は地獄界には複数の種類があり、叫喚地獄や阿鼻地獄など、罪の種類によって送られる地獄が異なるそうです。
刀やノコギリで切り刻まれたり、大釜で煮られたりするのは「黒縄地獄」。
過酷な環境や殺し合いの末、何度も生き返っては苦痛を強いられるのは「等活地獄」です。
恐ろしい鬼たちから棒で叩きつけられたり舌を何度も引き抜かれたり、地獄界に来た者は、これでもかというほど苦しめられます。
地獄界の出口では、「お名残りおしいけど さようなら」という旗を持った赤鬼さんが明るくお見送り。生前に悪いことはしまいと、身が引き締まる思いがしました。
極楽浄土でほっとする
苦難と苦痛の世界を見てきたあとの観音様は、見た瞬間にホッとします。
ここから極楽浄土を見学して現世へ戻れます。
案内役の彰洋さんによると、極楽浄土の気温はハワイと同じくらいで、衣類や食事などすべてがタダで楽しめるうえ、喜びが尽きない毎日が送れる世界なのだそうです。
極楽浄土を目指して、日々頑張りましょう。
大人のディープな秘宝展
建物を出て左側へぐるっと回ると、秘宝展へ入れます。
ここには大人のディープな作品や、現在は絶版で手に入らない本など、貴重な品が展示されていますので、こちらもぜひ。秘宝展は18歳以上のみ入館できます。
生死の境をさまよって極楽苑設立へ
伊豆極楽苑は、現在の館長である青鬼丸さんの父により、1986年5月5日に建てられました。
交通事故に遭い生死の境をさまよったことがきっかけで、死後の世界について興味を持ち、勉強・研究を重ねたそうです。
死後の世界についてわかりやすく伝えたいとの思いから、伊豆極楽苑を建てました。
館長の息子である彰洋さんに、実際に、どのような方が訪れるのかを聞いてみました。
伊豆極楽苑 案内役・彰洋さん:
観光に来た方や、日本文化に興味のある外国人観光客など、年齢・性別さまざまです。小さな子供連れのご家族もいらっしゃいます。はじめは怖がって入れない子が、出てくるときにはケロッとしていることもあります。反対に大人でも入り口まで来て、恐怖心からか帰って行かれる方もいらっしゃいます
彰洋さんは、今後も引き続きあの世について、わかりやすく伝えていきたいと話していました。熱心なスタッフの「お・も・て・な・し」で満足度が上がりました。
伊豆極楽苑は、お化け屋敷ではないので、ほかの博物館同様ゆっくり見て回れる場所です。ただし彰洋さんいわく「地獄行きに心当たりがある方にとってはかなり怖いかもしれません」とのこと。
みなさんは、大丈夫ですか?
伊豆市へ来た際はぜひ観光に、子供への教育に、地獄めぐりはいかがでしょうか。
■スポット名 地獄極楽めぐり 伊豆極楽苑(いずごくらくえん)
■住所 静岡県伊豆市下船原 370-1
■営業時間 10:00~16:00
■定休 水・木
※祝日は開館する場合もあるため、事前に公式サイトをご覧ください。
■問合せ 0558-87-0253
取材/奥村奈央