「うどんVSそば」どちらが血糖値を上げないのか、医師YouTuberが体当たりで検証
糖尿病内科医の山村 聡さんは、自身のYouTubeで血糖値に関する情報を発信し、多くの反響を呼んでいます。書籍『糖尿病専門ドクターが検証! 血糖値を下げる食事法について、実際に試してみた』(KADOKAWA)は、YouTubeで特に人気のあったテーマを厳選し、さらに動画では伝えきれなかった情報や、本書だけの新しい内容を盛り込んだ1冊です。「これを食べたら、血糖値はどれくらい上がる?」この切実な問いに答えるため、著者が実際に食べ、血糖値の変化を検証。具体的なデータと、血糖値を上げにくい食品の選び方、食事の工夫をわかりやすく解説しています。今回はこの本の中から、誤解している方が多い「血糖値を上げにくい食べ物」についての比較・検証をご紹介します。
※本記事は山村 聡(著)による書籍『糖尿病専門ドクターが検証! 血糖値を下げる食事法について、実際に試してみた』から一部抜粋・編集しました。
【うどんVS.そば】うどんよりそばのほうがヘルシーは大誤解
【初期値】
うどん:77mg/dL
そ ば:72mg/dL
↓ 50分後
【最大値】
うどん:167mg/dL
そ ば:172mg/dL
【上昇幅】
うどん:90mg/dL
そ ば:100mg/dL
うどん1杯当たり:エネルギー305kcal 炭水化物63.8g
そ ば1杯当たり:エネルギー275kcal 炭水化物54.0g
うどんとそばを比べると、多くのかたが、うどんよりそばのほうがヘルシーとお考えになっているのではないでしょうか。実際、お昼にうどんか、そばのどちらかを食べようとなったら、血糖値を気にしているかたは、おそらくそばをセレクトするかたが多いに違いありません。
たしかに、GI値を比べてみても、うどんよりそばのほうが低いと報告されています。また、うどんのような白い糖質よりも、そばのような茶色の糖質のほうが血糖値が上がりにくいというイメージをお持ちのかたもいらっしゃるでしょう。しかし、残念なことに、一般に広まっているこうした常識は、ほぼ誤解といってよいのです。
うどんとそばを1杯ずつ食べ、血糖値の変動を検証しました。
うどんの食前の初期値は77mg/dL。食後、血糖値は急上昇し、50分後にピークとなり、167mg/dLまで上がりました。その上昇幅は90mg/dLとなっています。
一方、そばの初期値は72mg/dL。ピークはやはり50分後でうどんと同じように急上昇し、172mg/dLまで上がっています。上昇幅は100mg/dLです。
グラフを見ていただければ、はっきりとわかるように、そばも、うどんとまるで同じように、食後の血糖値が急上昇しているのですね。「これはいったい、どういうこと? そばはヘルシーじゃないの?」と怪訝に思っているかたも多いでしょう。
うどんは小麦粉、そばはそば粉、いずれも炭水化物からできています。つまり、そばやうどんを食べるということは炭水化物そのものを摂取することになります。そして、それらが消化· 吸収されると、それぞれに含有される炭水化物(=糖質)の量を反映して、その分だけ血糖値が上昇してしまうということなのです。
今回なら、うどんには63.8g、そばには、54.0gの炭水化物が含まれているため、消化· 吸収した炭水化物量に応じて、血糖値が上昇してしまってます。
実は、GI値は例外的な値も多いのです。糖尿病内科医として、血糖値を気にされているかたにはGI値をあまり重要視しないほうがよいとアドバイスしています。GI値が低めだからといって、たくさん食べていると、かえって血糖値を上昇させてしまうことにもなりかねません。あくまでGI値は参考程度に。糖尿病のかたや、血糖値が気になるかたが注意しなければいけないのは、それぞれの食品に含まれる炭水化物(=糖質)量です。
そばにおいても、このことがこのことがあてはまります。
なお、ここで私は「そばがヘルシーではない」といいたいのではありません。そばは、ポリフェノールの一種であるルチンという成分を豊富に含みます。ルチンは、腸内細菌のエサになって腸内環境を整える効能があるとされています。ほかに、そばにはビタミンB群、カリウム、マグネシウム等のミネラルも含まれ、そうした点からヘルシーな食品としてのそばを選択することはむろん間違いではありません。ただ、血糖値という観点からは、そばはうどんと同様に食べ方に配慮が必要となるということなのです。
結論
・ヘルシーとされるそばも、うどんとほぼ同じような血糖値上昇を引き起こす
・気にすべきはGI値ではなく、各食品に含まれる炭水化物(=糖質)の量