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全身網タイツの変態が空中を駆ける「巨人の3D」 Appleが8回も却下した問題作を進撃ファンが検証

おたくま経済新聞

「巨人の3D」ゲーム画面

 諫山創さん原作の大ヒット漫画「進撃の巨人」。原作漫画を皮切りに、アニメ化、ゲーム化など行われていますが、ある日App Storeを徘徊していたところ「巨人の3D」なるものを発見。あれ?こんな作品出てたっけ?と詳しくみると、「どうみてもこれは……」と感じる怪しい点ばかり。

 「進撃の巨人」を愛してやまない筆者が実際にゲームをプレイし、ツッコミどころ満載の内容を紹介します。

ホーム画面

■ ギリギリセー…いやアウト!ゲーム開始直後からツッコミどころしかない

 「巨人の3D」はゲームクリエイターのDan.Lespect氏が開発し、フランスのゲーム企業「Voodoo」がリリースしたアプリゲーム。

 基本プレイは無料、課金することで広告の解除やゲーム内通貨の購入などができるビジネスモデルです。

 なお本作のタイトルはストア上では「巨人の3D」ですが、端末上アイコンはなぜか「進撃アタック」という別タイトルで表示されます。紛らわしいので本記事内では「巨人の3D」と呼ぶことにします。

 アプリを開くとまずゲームのホーム画面が表示されました。中心にはプレイヤーキャラクターがいます。そしてその周囲にはアイコンが。

 画面左のアイコンは「健康」「攻撃」のステータス情報、右には「レベル」と記されたアイコンが配置され、画面下には「ストア」などのアイコンが。この画面でさまざまな実績解除やカスタムが行えることが分かります。

 それにしてもすでに怪しい雰囲気がプンプンしていますが、まだギリギリセーフ。キャラクターは全身網タイツだし、武器は明らかに日本刀だし、背中につけているし……とこんな装備は壁の中のどの兵団でも採用されていません。

 あと画面の奥にはなぜかパンツ一丁のキャラクターがいます。ホーム画面、変態だらけです。

 ホーム画面の正面にある青いポータルへ進むことでメインゲームを始めることができます。しかしポータルに足を踏み入れた瞬間、先ほどの「ギリギリセーフ」が一気に過去のものになります。

 ステージまでのロード画面中にはこのゲームで唯一のTipsが表示されるのですが、その内容が「巨人の倒し方、首を狙って!」。設定がそのまんますぎます。

 ロードが完了してステージ画面に切り替わると、プレイヤーキャラはいつのまにか立体機動装置みたいなものを腰に装備しています。さらにステージにそびえる建物のデザインは明らかに壁の中風です。

 本作の操作方法はいたってシンプル。スワイプで視点移動&方向転換をし、タップで射出されるワイヤーアンカーを使って空中を移動するだけ。キャラクターは自動で前進し続けており、また、巨人のうなじにアンカーを射出するだけで攻撃まで勝手に行ってくれます。

 ステージのクリア条件はステージ上に存在するすべての巨人を駆逐すること。画面上部中央には「駆逐数/巨人の総数」が表示されています。駆逐する前にライフゲージがゼロになるとゲームオーバーです。

 巨人の首にアンカーを打ち込んで接触することさえできれば一撃でとれますが、それ以外の場所に打ち込んで接触してしまうとダメージをくらいます。意外とシビア。

 あと攻撃は当たれば一撃必殺だというのに、ゲームのホーム画面にはなぜか攻撃力強化のカスタムが存在します。このゲームの一番の謎です。

 巨人は怒っているような、笑っているような不気味な表情をしています。先ほど説明した通りスワイプとタップで敵の背後に回り込み、うなじを狙いに行くアクションは、もう完全に「進撃の巨人」のワンシーン。

■ キャラクタースキンは既視感ばかり…あらゆる要素が「進撃の巨人」

 ゲームに登場する巨人は全部で9種類あり、個性もさまざまです。

 例えば二日酔いの真っ最中みたいな緑色の個体がいます。名称は「シックタイタン」。「シック=病気」なので「病気の巨人」といったところでしょうか。なんか嫌だな……。

 全身がピンク色に染まった個体もいます。こちらはそのまま「ピンクタイタン」。全身ピンクなのは「シックタイタン」の前日の姿だから……ではなく、恋に落ちているからだそう。恋とかするんだ、巨人。

 巨人たちを倒すと、紫色のダイヤを稼ぐことが可能に。ダイヤはキャラクターのスキンを購入したり、能力のアップグレードをしたり、都市を発展させたりするのに使用できます。ただし、都市を発展させても大きなメリットはありません。

 強いて言うなら発展していくにつれてステージをこなさずとも自動でダイヤが獲得できるようになっていくので、「キャラクタースキンの購入が楽になる」といったところでしょうか。

 「キャラクタースキン」というのは着せ替えのようなもので、購入するとプレイヤーキャラクターの見た目を変えることができます。入手できるスキンは10種類以上。

 黒髪セミロングの女性はミカサ、焦茶色の女性スキンはサシャ、坊主頭の男性スキンはコニーにそっくりです。アルミンみたいな金髪ボブのスキンもありますね。既視感しかありません。

 そしてページ3枚目右上には、後ろ向きのキャラスキンがありました。ダイヤ1000000個で買えるらしいその姿は、リヴァイ兵長ではないでしょうか……。

 ただし、いくら資金を注ぎ込んでキャラスキンを変えても全身網タイツだけは避けられないようです。「なんでだよ」と内心でツッコンでしまったのですが、実はこの網タイツ縛りにはきちんと理由が存在します。その詳細は後ほど明らかになります。

 キャラスキンの中には「進撃の巨人」とは関係なさそうなものが2つ混ざっています。そのうちの1つが裸ジャケットにつぶらな瞳をしているスキン。これは開発者のDan.Lespect氏です。このゲームは開発者のスキンでプレイできるのです。

 スキンの下にある「FOLLOW」ボタンを押すと彼のInstagramアカウントに飛びます。ちなみにLespect氏はホーム画面にも常時待機。

 冒頭で紹介したパンツ一丁のキャラこそが、開発者のLespect氏でした。近づくと「私のゲームを気に入っていただければ幸いです。でももっとゲームのアイデアを教えてください!」と吹き出しが表示されるのですが、アイデアよりまず服を募集した方がいいと思います。

 Lespect氏の隣にある顔のないキャラスキンについては正体不明です。ゲームを進めていけば分かるのでしょうが、プレイヤーレベルが100を超えても分からなかったので諦めました。

 本作はプレイヤーレベルを100まで進めるとマルチプレイモードが解放されます。 多くの巨人を倒した方が勝ちというオンラインの1対1戦です。

 「マルチプレイできるほど人口いるのか…?」と侮っていましたが、ゲームを始めるとすぐに対戦相手とマッチ。それもそのはずで、なんとこのゲーム全世界で400万DL以上されているらしいです……。果たしてそのうちの何割が「進撃の巨人」を知っているのでしょう。非常に気になります。

■ Android版だともっと「進撃の巨人」 Appleにはしっかり指摘され8回も却下されていた

 開発者のInstagramのハイライトを眺めていたところ、筆者がプレイしているものよりもはるかに「進撃の巨人」の要素が強いゲーム画面が確認できました。

 このゲーム画面ではプレイヤーキャラは全身網タイツではなく兵団の戦闘服を着ています。装備品はブレードも鞘も原作そっくりの形状。Instagramハイライトに掲載されていた本画像は、Android版のゲーム画面をキャプチャしたもののようです。

 実際にAndroid端末でゲームをインストールしてみると、ブレードは日本刀もどきでしたが、それ以外はiOS版よりはるかに「進撃の巨人」です。服装は全身網タイツではなく兵団の戦闘服に酷似しており、鞘も箱型です。

 Instagramハイライトを深掘りしてみると、開発者はApple側から「許可なく“進撃の巨人”のキャラクターに似たコンテンツを含んだアプリです」と指摘されていました。どうやらGoogleでは見逃された「進撃の巨人」の要素が、AppleではNGだったようです。Appleしっかりしているなぁ~。

 筆者が先にプレイしたiOS版では修正を余儀なくされ(Instagramハイライトによるとやり直しは8回、承認までに要した期間は6か月)、その結果、全身網タイツの変態が空中を駆ける内容に変わってしまったようです。これが「キャラクター網タイツ縛り」の真相です。

■ 「進撃の巨人」好きとして、正直な「巨人の3D」感想

 「巨人の3D」は擁護しようがないほどに「進撃の巨人」でした。キャラクタースキン、アクション、世界観、どこをとっても既視感だらけです。ストアページのレビュー欄にも「進撃の巨人」との類似性を指摘する声は多数上がっていました。Appleにも指摘されるほどです。

 作品の1ファンとしての心境は複雑ですが、詳細な世界観説明やストーリーラインが登場しないにもかかわらず「これは“進撃の巨人”だ!」と多くの人が頷けてしまうというのは、『進撃の巨人』というコンテンツがいかに強力なオリジナリティを持っているかの証明なのかもしれません。

 それにしてもここまで類似性のあるゲームがこのままという事はあるのでしょうか。いずれ「駆逐」されてしまう予感しかありません。

<参考・引用>
アプリ「巨人の3D」
Dan.Lespect氏のInstagram

(ヨシクラミク)

Publisher By おたくま経済新聞 | Edited By YoshikuraMiku | 記事元URL https://otakuma.net/archives/2024091203.html

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