世界屈指の“異端の名店”ミシュラン2つ星「ムガリッツ」の舞台裏に迫る『ムガリッツ』本予告
「第72 回サン・セバスティアン国際映画祭」カリナリーシネマ部門・ベストフィルム受賞。毎年11~4月、メニュー開発のため休業する、スペインの有名店「ムガリッツ」。世界屈指の“異端の名門“との呼び声も高い「ムガリッツ」の革新的な料理の誕生プロセスを追ったガストロノミック・ドキュメンタリー『ムガリッツ(原題:MUGARITZ. NO BREAD NO DESSERT)』が、2025年9月に日本公開される。このたび、本予告と場面写真が解禁となった。
世界屈指の“異端の名店”ミシュラン2つ星「ムガリッツ」
スペイン・バスク地方、ガストロノミーの中心地。ミシュランガイドに<レストランを超えた存在>と評され、2つ星を獲得した名門「ムガリッツ」の名前は、21世紀に入る頃から、業界で大きな注目を浴び始めた。グラスなどを並べずアーティスティックなオブジェだけを載せたテーブル、カトラリーを排して手や舌を直接使って味わう料理…。「ムガリッツ」の革新的な厨房に潜入したカメラは、研究開発チームやシェフたちが実験的な料理を作り上げるメニュー開発の様子に密着する。
従来のレストランコードをこともなげに崩し、ゲストの好奇心を誘い、五感を研ぎ澄まさせ、独自の世界観で今までになかった食空間を生み出した「ムガリッツ」。毎年11~4月の6か月間は休業し、この期間はスタッフ総出で、メニュー開発に専念する。その年に誕生した料理が翌年以降に提供されることはなく、革新的なメニューはつねに更新され続ける—。そんな異端の名門ムガリッツの研究開発チームに密着、メニュー開発の舞台裏を追ったドキュメンタリーが誕生した。
監督をつとめたのは、「REC」シリーズなどのホラー作品で知られるパコ・プラサ。もともと「ムガリッツ」の熱心なファンだった彼が、その創造の秘密を解き明かすべく厨房に潜入、ついにその全貌が明かされる。
本予告は、ムガリッツの研究開発チームが、半年かけて新メニューを開発する様子を捉えたもの。この年、オーナーシェフ アンドニ・L・アドゥリスから出されたテーマは“目に見えぬ物”。「発酵は目に見えない」「養蜂は?」チームから次々と飛び出すアイデアと言葉。そのキーワードを手がかりにアドゥリスは「骨」「白子」「ひまわり」「ミチェロンゴ」「ディオス(神)」などのシンボリックなイラストを描き起こして壁一面を “アイデア”で埋め尽くすが、それでもまだ「足りない」—。そして、絶え間なく映し出されるのは、まるで実験のような料理プロセスと、そこから生み出されるアートの結晶のような数々のメニュー。アドゥリスはアルゴリズムに頼らず「人を驚かせ、感動させ、怒りまで与えるメニュー」を生み出すため「全てを試して最高を選ぶ」。<ムガリッツにはできる>—アンドニの哲学はどのようにして“皿”に並ぶのか。まるで新しい芸術が生まれる瞬間に居合わせるような、圧倒的高揚感が映し出された映像となっている。
場面写真は、「ムガリッツ」の研究開発チームに所属する、ラモン・ペリセが試食を重ねる様子を、スタッフたちが真剣な眼差しで見守る一瞬を切り取ったもの。“まだ見ぬ体験”を追い求める<ムガリッツチーム>の果てなき探究心、そして、そのビジョンを具現化すべく集結したプロフェッショナルたちの緊張感あふれる貴重な瞬間が映し出されている。
「ムガリッツ」のオーナーシェフは、アンドニ・L・アドゥリス。革新的な料理法や「分子ガストロノミー」を先駆けて取り入れ、世界中の料理界に大きな影響を与えた有名な三つ星レストラン「エル・ブジ」など、名だたるレストランで修行後、1998年3月にムガリッツを開店。今や世界中の料理人から熱い羨望の眼差しを受ける「ムガリッツ」を育てあげた。なお、6か月もの月日をかけて完成した「ムガリッツ」のメニューは、シーズンが終わると、まるで祭りのようにすべて火を放たれるという。ユニークな料理は何一つ再現不可能という理由からだ。翌年ゼロから再出発し、定番となる料理はない。なぜなら「驚き」とは定義上、予測不能でなくてはならないから—。
レストランとは従来、美味しいものを食べる場所であったかもしれない。だが、ここは、レストランの定義を超えた、ガストロノミーのフロンティアであり、口にするのは、“世界をひらく鍵”。
『ムガリッツ』は2025年9月、シネスイッチ銀座ほか全国ロードショー