バス路線廃止のピンチを救い継承…「大きな出費」も小学生のふれあい守る決断
通勤・通学や買い物…生活に欠かせない交通手段の一つバス。
しかし、運転手不足は深刻で、北海道中央バスは新年度のダイヤ改正で、札幌を中心に路線廃止と減便で440便を削減しました。
一方で、あえて新路線に乗り出すバス会社が!
4月から変わったバス事情を深掘りします。
真駒内駅から車で10分の札幌市南区・駒岡地区。
唯一の公共交通機関はバスですが、中央バスは3月末での路線廃止を発表していました。
「子どもたちの通学の手段がなくなる」
頭を抱えたのは、この地区の小学校です。
全校児童89人の札幌市立駒岡小学校は特認校です。
特認校とは、恵まれた自然環境の中で教育する小規模校で、ここで学びたいという希望者は、校区外からでも入学できます。
45年前1980年に取材した、駒岡小学校の通学の様子を見てみると、校長先生が児童たちと話をしながら、バスに揺られて学校へ向かっています。
駒岡小学校の岡亨教頭は「バスの中でどう過ごすか、上級生や地域の方と関われる大切な場所になっている」と話します。
児童や地域住民のために、バスの廃止は避けたい…。
手をあげたのは「ばんけいバス」でした。
大きな出費だけど…子どもたちの足とふれあいを守る
ばんけいバスでは、新たに運転手2人を増員、バス2台を購入して駒岡線を引き継ぐことにしました。
会社にとっては大きな出費です。
運行本数は減りますが、ダイヤには気を使ったと井上浩勝社長は話します。
登校時間にあわせた、真駒内駅午前8時3分発。1日がバスの中でのふれあいから始まることを第一に考えました。
そうして迎えた4月1日。
朝の駒岡小学校では、児童と地元の人たちが集まり、バス路線の継続を記念するセレモニーが開かれました。
「ありがとう」
これからお世話になる新1年生たちが、感謝の花束を贈りました。
運転手不足の解決は…
こうした明るいニュースはうれしいですが、一方で、運転手不足が解決したわけではありません。
この問題をどうにかしない限り、今後も廃止や減便の心配があります。
そこで札幌市は、バス会社のじょうてつ、北海道アルバイト情報社と連携協定を結びました。
バス運転手として働くことを希望する外国人留学生に運転免許の取得や日本語学習のサポートなどをするもので、2028年度の外国人運転手デビューをめざしているということです。
文:HBC報道部
編集:Sitakke編集部あい
※掲載の内容は「今日ドキッ!」放送時(2025年4月1日)の情報に基づきます。