新潟県佐渡市の企業の約8割は業歴30年超、100年超も29社 帝国データバンク調査
佐渡金山「道遊の割戸」
株式会社帝国データバンク新潟支店は10月30日、佐渡の企業に関する調査の結果を公表した。佐渡の金山の世界遺産登録に伴い、同市の主な企業490社を対象に調査を実施したもの。
調査結果によると、佐渡市の企業数は490社で、市町村別で県内17位だった。そのうち業歴30年超の会社が399社で、構成比81.4%を占めた。また、業歴100年を超える老舗企業は29社(構成比5.9%)だった。一方で、業歴「3年以下」の企業は3社(同0.6%)、業歴10年以下は17社(同3.5%)だった。
業種別では「建設業」が187社(同38.2%)と最も多く、新潟県の平均(同29.8%)を大きく上回った。続いて、「卸売・小売業、飲食店」が133社(同27.1%)、「サービス業」が91社(同18.6%)だった。サービス業の内訳は、「自動車整備業、駐車場業」が18社(同19.8%)、測量などの「専門サービス業」と漁協などの「協同組合」がそれぞれ11社(同12.1%)。今後、需要の増大が想定される「旅館、その他の宿泊所」は9社(同9.9%)で第4位だった。
一方で帝国データバンク新潟支店は「実際には民宿、ゲストハウス、古民家なども合わせて島内に3,000~4,000人程度の収容能力があるとみられる。ジェットフォイルとカーフェリーの運搬能力にも限りがあるため、いわゆるオーバーツーリズムは大きな問題とはなっていない。むしろ、労働力不足によって宿泊施設における食事の提供などが大きな問題となっている」と分析した。
売上規模別では、「1億円以下」が309社(構成比63.1%)と最も多い。売上高10億円以下で全体の96.0%を占める。損益の状況をみると、最新期において黒字企業の割合が71.8%へ前期比6.0ポイント増加し、赤字企業の割合が28.2%へ同6.0ポイント減少した。
今回の調査結果について帝国データバンク新潟支店は「こうした数字からは、四方を海という最大の参入障壁に囲まれて、比較的小規模の企業が長い生命を保ってきたこれまでの佐渡の姿が浮き彫りになる。インバウンド隆盛の時代に世界遺産という『お墨付き』が得られたことは非常に大きな追い風となるが、佐渡島の観光・サービス業にはまず労働力の確保という喫緊の課題がある」とコメント。
そして「世界中の観光客を招き寄せるためには、成長の代償として大きな変化も覚悟しなければならない。今後、大手資本の進出や設備投資ラッシュによって従来の産業構造が大きく変わっていく可能性もある」とした。