資格よりも“好きなこと”がカギ！49歳で起業した女性に聞いた“年齢を強みに変える働き方”
「もう年だから」と、チャレンジすることをあきらめていませんか？ 「人生後半だからこそ、ビジネスがおもしろくなりますよ」と話すのは、『50歳を過ぎたら、ビジネスをやりなさい！～半径5mから始める、とことん楽しむ未来志向型ビジネス～』の著者の前田幸江さん。今回は、「自分の好きなことを見つけるコツ」や「50歳を過ぎてからビジネスを始めることの魅力」についてお話を伺いました。
教えてくれたのは……前田幸江さん
サチエ株式会社代表取締役。出版販売、ホームヘルパー、新聞配達、ケアマネージャー、工場勤務などさまざまな仕事を経て49歳で起業。児童福祉施設を立ち上げ、現在4事業所を運営。旅行とたべることが大好き。
まずは「半径5ｍから」始めてみる
前回の記事では、人生の後半戦を自分らしく生きるための心構えについて伺いました。前田さんの前向きな言葉がたくさん詰まった書籍のタイトルにある“半径5m”には、「自分にできることを見つけることから始めて、小さな実践をしてみてほしい」といった考えから、つけられたものだそうです。
前田さん「ビジネスなど新しいことに挑戦しようと思ったら、まずは自分に今できることは何かを考えて、できることから実践してみることをおすすめします。自分らしさを確立しようと、ありとあらゆる資格取得に時間を費やしている方もいらっしゃるかもしれませんが、資格があれば必ず仕事に結びつくわけではありませんよね。自分の好きなことを振り返ってみると、細かい作業が好き、事務作業が好き、人とお話するのが好きなど、いつもやっている好きなことの中で、『これならできそう』だと思えることが、きっと見つかると思います。」
前田さん「得意なことがあれば見つけやすいですが、家族のために主婦業を頑張ってきた方の中には、『私って何が好きだったんだろう』と思うこともあるかもしれません。その場合は、『誘いを断らないこと』を意識してみるといいですよ。
私自身、ありがたいことに人脈が広がりましたが、振り返ってみると、さまざまな誘いを断らなかったことが大きかったと感じます。書籍出版の機会をいただいたのも偶然の出会いからでしたが、いろいろな誘いに参加して多くの方々と出会う中で、つながりを築いていくことできました。今は、SNSなどでもコミュニティがたくさんあるので、参加して自分の範囲を広げてみるのもありかなと思います。」
50歳を過ぎてからビジネスを始めるメリットはたくさんある
介護施設のケアマネージャーとして10年勤めた後、49歳で起業にチャレンジし、児童発達支援の分野に新たな一歩を踏み出した前田さん。年齢を重ねてからビジネスを始めることの魅力について、若い時期との違いはどこにあるのでしょうか。
前田さん「長年の仕事や豊富な人生経験から得た知識や人脈を持っているので、若い頃に比べて経験値が高くなっていることは大きな強みだと感じます。私は起業する前にケアマネージャーとして働いていたので、多くの方々とお話する機会がありました。その中で培ったコミュニケーション能力は、今のビジネスにも役立っています。
また、年齢を重ねることで感情をコントロールする力も養われ、言わなくてもいいことを適切に判断できるようになりました。それぞれ違う立場の人の考え方を理解し、柔軟に取り入れる力も今のほうが身につきましたね。一歩引いて物事を見る心のゆとりが生まれたことは大きな変化のひとつです。」
前田さん「あとは、目的の違いがあることも大きなポイントだと思います。もし若い頃に起業していたら、今よりもっと現実的で利益を重視したビジネススタイルになっていたかもしれません。年齢を重ねるにつれて、利益を第一に考えるのではなく、社会貢献や『ありがとうと言ってもらえる仕事がしたい』など、精神的な価値を重視する方向へと考えが変わっていく気がします。人と人とのつながりの中で、これまでとは違った新たな視点が見えてくることもありますよ。」
挑戦することで道はどんどん開ける
前田さんをはじめ、周りの方も、年齢を重ねてから新たなチャレンジをしている方がいらっしゃるとのこと。「挑戦するのに年齢制限はない」という前田さんの考えが、多くの方の背中を押しているのかもしれません。
前田さん「私も起業当初は児童発達支援に関する勉強はもちろん、経営に関することもわからないことばかりだったので、本はたくさん読みあさりましたね。事務仕事から人間関係まで、キツイと感じることもありましたが、諦めずに挑戦し続けてきた過去の自分に『よくがんばったね』と言ってあげたいです。」
前田さん「身近な方の例でいうと、40代後半で、8年ほどパートとして働いてくれている方がいらっしゃいます。以前、その方には児童発達支援管理責任者の資格を念のため取得してもらっていました。ご本人はパート勤務ということもあり、特に積極的にその資格を活用する予定はありませんでしたが、念のための取得という形だったんです。
その後、人手不足に陥った状況で、資格を持っている方がいなかったため、そのパートの方に急遽お願いして、4月から管理者として働いていただくことになりました。その方はこれまでパソコンにほとんど触れたことがないのですが、今必死に頑張ってくれているところです。お互いにとって挑戦の日々が続いています。」
前田さんやお話に出てきたパートの方のように、一歩踏み出してみることができたら、また新たな道を開くことができてとても素敵ですね。次回は「50代以降の人生を謳歌する6つのコツ」について、お話を伺います。
shukana／webライター
