やっぱり「創意工夫のものづくり」は止められない。ハンドメイド作品マーケット「結いmarché 」で見たもの【茨城県土浦市】
最近フリーマーケットやハンドメイド作品を扱うイベントが全国各地で開催されているようだ。茨城県土浦市で開催された「結いmarché (マルシェ)」にも数多くのハンドメイド作品が出品され販売されていた。各出品者は各自与えられた環境の中で、その創造性を存分に発揮している。一方消費者側も、物があふれかえった時代、大量生産の既製品では飽き足らない人たちが増えている。長期経済停滞の中ですっかり活力がなくなったかのように見える現在の日本の人々の心の中にも、「創意工夫のものづくりはやっぱり楽しい」という、古来から続く日本的な精神がまだまだ生き続けている。
日本経済は長らく停滞を続け30年以上が経過。最近はニュースを見ても、暗い気持ちになるものばかりが目立つようになってしまった。普段の生活の中で、かつての明るく元気で活気に満ちた人々の姿を見ることは少なくなった、と日々感じるのは自分だけだろうか。
そんな中、手間をかけてオリジナルのハンドメイド作品を作り、自ら個人で販売をしている人が増えているということを知った。
早速調べてみると、2024年12月、茨城県土浦市にて「結いmarché(マルシェ)」というハンドメイド作品のマーケットが開催されることが分かったため現地を訪れてみた。
「結いmarché 」会場とさまざまなハンドメイド作品
「結いmarché」の会場は茨城県土浦市にある、いばらきフラワーパークの園内。この日は気温が低く風が強かったものの晴天に恵まれ、冬の澄んだ空気の中、広々とした園内の景色は心に染みる美しさだった。
会場にはたくさんのキッチンカーが並んでいて、イベント感も満載。
それでは早速どんなものが出品されているのか見てみよう。
メインの場所はこのような温室の建物の中。この日の出店数は、この建物の中と外で合わせて30くらい。
このような雰囲気の中、以下にあるようなさまざまなハンドメイド作品が販売されていた。
まずこちらはキーケース。思わず笑ってしまうようなキャラクターが並んでいる。
次は、マグネットやブローチに出来るレジン雑貨を販売しているショップ。
こちらのショップの方は、最初はあくまでも趣味で始めたとの事。そして作るのが楽しくなって友人などにあげていたそうだが、今ではすっかりこのようなマーケットに出品し販売もするようになっている。
次のショップは、インテリア用タイル雑貨店。西洋では時々このようなタイルを使ったおしゃれなデザインを見ることがあるが、落ち着いた品のあるデザインはこのマーケット内でも目をひいた。
また次にあるように、フェルト小物や針金アートなど、様々な素材を使った色々な作品が並べられているショップもあった。
以下にあるのは仕上がり後に透き通った色になる絵の具を用いたガラスアート作品。こちらの出店者は、小学校や介護施設からの引き合いもあり、作り方の指導もされている。
どこのショップも普段あまり見たことがない商品が並べられていて大変興味深かった。ハンドメイドだけあって細かいところまで気を配りながら、様々に工夫を凝らして作られている。センスが光る作品も多い。
客として来る人の中には、商品をただ購入するだけでなく、自分が共感できる趣味嗜好をもつ出品者を探すのが楽しい、という人もいるそうだ。
ハンドメイド市場の状況
それではこのようなハンドメイドの商品市場は現在どのような状況にあるのだろうか?
ネット調査をしてみたところ、ハンドメイド市場は現在堅調な成長市場(年成長率4%後半~10%)と予測されている。
https://www.businessresearchinsights.com/jp/market-reports/handicrafts-market-100147
(出典)フォーチュン ビジネス インサイト
https://www.gii.co.jp/report/grvi1376244-handicrafts-market-size-share-trends-analysis.html
(出典)株式会社グローバルインフォメーション
考えられる要因として挙げられているのは、・E-コマースの普及により、個人でも商品の販売がしやすくなった。・大量生産品よりも、他にはない一点ものの商品を求める人が増えてきた。・文化的な活動、イベントへの関心の高まりもあり、ハンドメイド作品マーケットの開催が増えている。などである。
そしてそのきっかけの一つとなったのが、なんとコロナ禍におけるマスク不足に対応した、「手作りマスク」の販売であったと言われている。驚いたことに、2020年4月のミシンの売り上げは、対前年比400%にもなっていた!
データで捉える!CtoC市場で盛り上がるハンドメイド商品の動向は?!
そして今また「手作り」の良さ、面白さに改めて注目が集まっている。
中でも日本においては、これまでずっとこの「手作り」の良さを実感し尊重する風土がある。その精神は長らく職人文化を育み、様々な面で日本の発展ならびに文化形成に寄与してきた。
そして「手作り」を含む「ものづくり」の一連の過程の中に、自分なりの意義を見出し、それに勤しむことを何より楽しんできた。ビジネスという目的を超えた顧客や社会への貢献、自己表現や創造性の発揮、自然の摂理や神秘の新たな発見など、さまざまな側面をもつこの「ものづくり」という人間的かつ前向きな活動を連綿と続けてきているのだ。
自分が所属する組織の利益や株価など数字にしばられ偏よりすぎた「ものづくり」ではない、原点に返った本来の「ものづくり」への取り組みを、今回訪問した「結いmarché 」の中に見たような気がする。
「結いmarché」を訪問したその日、夕暮れに空を見上げると、そこには美しい満月の姿があった…。