【相模原市】相模原城山高校 演劇部生徒、ラジオで朗読 戦後80年特別企画で
相模原城山高校の演劇部に所属する山本結稀さん(3年)と近藤璃空さん(2年)が、NHKのラジオ番組「はま☆キラ!」の戦後80年記念特別企画の収録に参加。『オウリィと呼ばれたころ』を朗読し、その様子が11月12日(水)に放送される。
今夏のNHK放送コンテスト神奈川県大会に出場した同校。その際、主催者から参加校に戦後80年を記念したラジオ出演への呼び掛けがあった。同校が「県ゆかりの作家のエッセイの朗読」に応募したところ当選。番組出演の切符を手にした。
『オウリィと呼ばれたころ』は『コロボックル物語』で知られる神奈川県出身の作家・佐藤さとるの青春期を描いた自伝物語。2人はその中から原爆投下直後と玉音放送について記された6ページを抜粋して朗読した。
この本を推薦したのは顧問の原山紀夫教諭。2人はこの本を読んだことはなかった。読んでみると、「当時の著者の年齢に近い私たちが読むことに意味があると感じた」と山本さん。近藤さんは「戦争が終わり、『頭の上の重しが外された気がした』とか、『重圧から解き放たれた』とあり、自分もその時代にいたら同じように思ったと感じた」と、それぞれ印象を語った。
本番までの練習期間は約1カ月。演劇部の大会もあり、2人で練習できたのは5回くらいだった。10月14日の収録には顧問の菅野恵美教諭が同行。「近藤さんはガチガチに緊張してたよね」とその時の様子を話すと、「スタジオの空気にのまれないよう気をつけていたのですが」と苦笑い。山本さんは「アナウンサーさんのアドバイスもあり、気持ちを伝えることを意識して読んだら1発OK」と笑顔を見せた。収録を終え、近藤さんは「やりきった、終わったって感じ」、山本さんは「思った以上に感動した」と感想を述べた。菅野教諭は「緊張はしていたけれどよく読めていたと思う。高校生らしい、良い味が出ていた」と2人をたたえた。
「伝えること」
この1年、「戦後」について考えることが多かったという2人。山本さんは「伝えていく人が減り、伝えることが途切れてしまうのではないかと思うと怖い。怖さを忘れてしまうことが怖い」と伝承の大切さを説く。近藤さんは「あと20年で終戦から1世紀。平和な日本が当たり前になりつつあるが、戦争の記憶は日本人にとって他人事ではない。日本人として自分事として次世代につなげていくべき」と力を込めた。
2人が朗読した番組はNHK―FMで11月12日、午前11時からの番組内で放送される予定。