【記者ノート】新潟県妙高市「SDGs未来都市」(内閣府)の成果報告 テーマ『地域資源を活かした関係人口の拡大』、『自然豊かな妙高は“魅力で一杯”』、担当の長谷川賢治SDGs推進部長に聞く
池の平のいもり池から見る妙高山の美しさ
妙高の自然のシンボル「ライチョウ」保全活動
妙高は山岳等の豊かな自然景観、環境保全活動(ライチョウも)積極的、県外から来訪者多い
妙高市は2021年5月に県内2番目で「SDGs未来都市」(内閣府)に選定されたが、同市がSDGs未来都市の成果報告として過日、地方創生SDGsの基礎知識と実際の取組事例などをオンラインで発表を行った。発表を担当したのが同市の長谷川賢治環境生活課長兼SDGs推進部長で、この程妙高市役所を訪ね、長谷川推進部長にこのプロジェクトで妙高市が目指すべき方向性などについて直接聞くことが出来た。
長谷川部長は「取組として一つ目妙高戸隠連山国立公園はじめ山岳や高原、湖沼などの豊かな自然景観で構成されていること、二つ目は国内2例目となる地域自然資産法に基づく入域料(協力金)を導入し環境サポーターズによる環境保全活動(ライチョウ保全のクラウドファンディングも)が盛んなこと、更に三つ目は環境省直轄施設である妙高高原ビジターセンターを拠点とした関係人口の創出、Zoom社と連携デザインされたテレワーク施設『MYOKO BASE CAMP』などで県外からの利用者多いことも挙げられる。とにかく自然豊かな妙高は“魅力一杯”です」と強調する。
2022年県内初SDGs条例制定、子供達から高校大学連携で全世代にSDGsが広がり、併せて妙高の自然を大切にする「妙高ファン」が拡大
妙高市役所玄関の正面に掲げられたSDGs看板
妙高市は2005年4月1市1町1村合併し新市に、2021年4月ゼロカーボン推進条例施行、2022年県内初のSDGs推進条例制定、2023年3月SDGs推進実行計画策定、その後SDGs未来都市計画策定と歩みを重ねて来た。そんな中で小中学校など子供達にもSDGsの考え方が広がっている。また、地元の新井高校と筑波大や長野大などとの高大連携はじめ大学・企業・山岳団体等との協働が進展して行き、都市圏との繋がりを広げるとともに、「妙高ファン」などの関係人口を積極的に受入れ、地域の「宝」である妙高の自然環境を大いに活かし、“自然共生型の地方創生モデル”として発信していくとしている。
なお、2021年5月「SDGs未来都市」に選定された当時のSDGs推進部長は現在妙高市議を務める葭原利昌氏であり、当時は見通しがあったわけではないが、サントリー創業者・鳥井信治郎氏の『やってみなはれ』の精神で、市職員らと取り組んで来たと当時を振り返る。
投資ファンド「PCG」主導による大規模リゾート開発が新たな交流の創出や関係人口の拡大へ
新装した妙高高原ビジターセンターの大型窓ガラスから臨む妙高山
これまで妙高市が長年に渡りSDGsに取り組んで来たが、まさに妙高の豊かな自然環境を活かした新たな展開が始まろうとしている。2025年10月、シンガポール投資ファンドの日本法人「PCG」主導による大規模リゾート開発の一環として、ホテルブランド「Six Senses」との初の共同プロジェクトとしての「シックスセンシズ妙高」の開発が発表された。それによると、そのプロジェクトは2000億円規模とされる全体開発の一部であり、妙高市における上質な観光地形成への期待も高まる。都市圏からの来訪者やインバウンド観光客の誘客が見込まれる。そのような新たな展開を妙高市では引き続きSDGsを推進していくなかで、豊かな自然環境を守りながら、地域資源を活かした新たな産業・交流の創出や更なる関係人口の拡大へと繋げたいとしている。ひいては妙高周辺の地域経済への波及効果も期待したいものである。
妙高市役所で「SDGs未来都市」の成果を語る同市の長谷川賢治SDGs推進部長(環境生活課長)
竜 哲樹(にいがた経済新聞顧問)
昭和25年新潟県上越市吉川区生まれ、新潟県立高田高等学校卒業。昭和48年3月富山大学文理学部卒業(教員免許取得)。元産経新聞社記者、元上越市議会議員。にいがた経済新聞社顧問。
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