「子どものコンプレックス」に対して親がいいがちな“NG3つ”
臨床心理士・公認心理師のyukoです。思春期に入ると、自分の声が嫌い、顔のパーツが気に入らないなど、コンプレックスを抱えやすくなります。そんなとき、フォローしようとしたら余計に傷つけてしまったり、的外れなアドバイスをしてしまうことも。つい言ってしまいがちなNGな言葉がけと改善案を考えます。
子どものコンプレックス、どう受け止めればいい?
毎朝学校に行く前は鏡の前でイライラしながらくせ毛を治す娘。「〇〇ちゃんは起きたままの髪型で学校来てるんだって」と愚痴をこぼす。「あーあ、こんな目も最悪」と言いながらアイプチをしたり、顔のパーツについてもコンプレックスをもっているよう。娘にどんな言葉をかけてあげれば支えになる?
思春期になると、これまで以上に周囲と自身を比較し、自分が他人からどう見られているかという点に意識が向くので、容姿や声などにコンプレックスを抱えやすいもの。特に変化の時期は、自分が他の人と比べて劣っている点や、満たされていない点が気にかかり、「自分が嫌い」「自分は変かもしれない」と感じやすくなります。
子ども自身の変えられない容姿や声のコンプレックスには、どのように向き合っていけばよいのでしょうか。つい言ってしまいがちなNGな言葉がけから、支えとなる関わりを考えてみます。
子どもが余計に傷ついてしまうNGな言葉がけと改善案
NG1. 「気にしすぎ。みんなそこまで見てないよ。」
たしかに、自分自身が気にするほど周りは気にかけていないケースも多いかもしれません。
しかし悩んでいるときに「気にしすぎ」と言われてしまうと、悩みを無視されていたり、軽視されている気持ちになってしまいます。「そんなことで悩むな」と否定されていると感じ、親には相談しにくくなる子も。かといって、「そうだよね」と伝えてしまうと、コンプレックスそのものを強めてしまうのではと心配になりますよね。
「自分のコンプレックスが気になるのはよくわかるよ」「ママは悪いと思わないけど、気になっちゃうんだね」と丁寧に言葉を伝えていくのが大切。「自分がこの子自身だったらどんな言葉をかけてほしいかな?」と想像するのが肝心なんですね。
NG2. 「じゃあもっと〇〇なところを直したら?」
・自分の声が低くて悩んでいる子に対して、「じゃあもっと明るくふるまえば?」と言う。
・周りの子よりふくよかな子に対して、「じゃあ間食をやめれば? ダイエット頑張ったら?」と伝える。
これらのアドバイスもついしてしまいがち。
建設的な解決策を提示し、正しいことを伝えたつもりでも、子どもの心のケアにはなりません。悩んでいるときに確信をついたような助言をされると、余計にコンプレックス感が強まり、「やっぱり自分はだめなんだ」と思ってしまうんですね。
「今の自分に自信がもてないんだね」「どんな容姿でも声でも、それがあなたらしさであって、良い側面でもあるんだよ」と、子どもの今を肯定してあげられるとよいでしょう。
NG3. 「見た目よりも性格が大事だよ。」
この言葉も一見ポジティブな言葉に思えるので、つい言ってしまいがち。
しかし、見た目で悩んでいるときに論点をそらされても、なかなか言葉が心に入ってきません。
親としては、もっと大切なところに目を向けてほしいと思って言っても、むしろ逆効果になってしまうんです。「親に話しても、ちゃんと取り合ってくれない」「言ってもどうせ伝わらない」という気持ちにさせてしまうんですね。
まずは子どもが悩んでいることをそのまま受け止めるのが第一。うまく言葉がかけられなくても、一緒に困った顔をして、悩みを共有してくれるだけで支えになるものです。
複雑で少し苦い気持ちを一緒に味わってあげられると、子どものモヤモヤが少し軽くなっていきます。多感な時期に寄り添い、少しずつ前を向くサポートができるといいですよね。
yuko/臨床心理士・公認心理師