猫にとっての『還暦』はいつになるの?高齢猫に欠かせないシニアケア3つも解説
猫の「還暦」は何歳?
猫の年齢を人間風に換算すると、1歳で約18歳です。その後、急激に成長するので、2歳は約24歳に該当し、以降は、1年で4歳ずつのスピードで年齢を重ねていきます。
その計算に倣うと、シニア猫の入り口は約7歳(人間の44歳)で、本格的な高齢期に突入する「還暦」は、約11歳に当てはまります。
シニア期に差し掛かる時期は、見た目の変わらなさとは裏腹に、少しずつ体力が落ち始めるタイミングです。まだまだ遊びたい盛りの子供のようですが、実は、ゆっくりと「老い」が忍び寄ってきています。
シニア猫には、若い猫とは違った対策が不可欠です。次項からは、シニア猫と健やかに暮らすためのコツを解説していきます。
1.体重管理を含めた食生活の見直し
シニア猫の生活で、まず重要なのは、「食生活の見直し」です。
シニア猫は、代謝機能が低下し、体力も落ちて運動不足になりがちなので、今までと同じ食事量を続けると、あっという間に肥満化してしまいます。肥満は万病のもと、とよく言われるように、放っておけば、糖尿病や関節炎などの病気も避けられません。
適切な体重の維持には、「シニア用のフードの切り替え(カロリーが控えめ)」、「適度な水分摂取」、「量を減らして食事回数を増やす」などの取り組みが肝心です。
また、「還暦」以上のシニア猫になると、食欲が衰え、痩せていく恐れもあるため、逆に栄養価が高く、高カロリーなフードが必要になります。
もしみなさんの愛猫が、シニア期に入って、いつものフードを食い渋るようになったら、ドライフードであれば「水でふやかす」、ウェットフードは「人肌程度に温める」といった工夫を施すと、ある程度食いつきが良くなるかもしれません。
いずれにしても、シニア猫のフードに関しては、愛猫の健康を守るためにも、年齢や現状に見合ったものを選ぶようにしましょう。さらに万全を期すべく、半年に1回の定期検診も欠かさないようにしてください。
2.バリアフリーな環境づくり
猫は本来、上ったり下ったり、立体的な動きを好む動物です。若い頃はそういった行動が得意ですが、加齢が進みシニア猫になると、だんだんと苦手になっていきます。
たとえば、キャットタワーのステップに上がれなくなったり、頑張って上ったものの、どうしても下りられなくなったりします。おうちのなかを元気に走り回っていた時代とは、ずいぶん違う変化です。
そんな状況を放置していると、落下などの事故の危険性があります。キャットタワーの対策としては、「ステップの位置を低くする」、「足元にクッション代わりのマットを敷く」などが効果的です。事故防止だけでなく、関節の負担軽減にもつながります。
また、下りづらい場所に適度な高さの踏み台、猫トイレに専用のスロープ、といった動きやすい環境を整えてあげると、愛猫の安全性や利便性もより高まるはずです。
バリアフリーのほかにも、安心して過ごせる隠れ家や過ごしやすい空調管理もまた、シニア猫のストレスフリーな暮らしを後押ししてくれます。
3.スキンシップとブラッシングを欠かさない
シニア期を迎えると、若猫の頃にも増して、スキンシップやブラッシングの重要性が増してきます。
飼い主さんのスキンシップは、リラックス効果だけでなく、愛猫の身体の変化(例、しこりなど)に早めに気づくうえで、大いに役立ってくれます。
猫はもともと、体調不良を隠したがる習性があります。そのため、飼い主さんが直接、愛猫の身体に触って異変をチェックする習慣は非常に大切です。
同時に、シニア猫は、老化により関節の動きが鈍くなるので、一般的に毛づくろいの回数が減りがちです。そのままにしておくと、被毛が絡まって毛玉になった結果、皮膚病の危険性が出てきます。
毛づくろいの代わりに、飼い主さんがブラッシングすることで、被毛状態を良好に保てておけば、皮膚にまつわるリスクも未然に防げます。
スキンシップも、ブラッシングも、ひとことで言えば、触れ合いを通した愛猫とのコミュニケーションです。
愛猫がこれからも末永く健康でいられるように、飼い主さんは、日頃からスキンシップとブラッシングの習慣を欠かさないようにしましょう。
まとめ
本文でも解説した通り、猫の「還暦」は、約11歳です。若い頃と違って、それなりの対策が必要になります。
「食生活の見直し」だけでなく、「バリアフリーな環境づくり」や「こまめなスキンシップ」も合わせると、シニア期に突入した愛猫も快適に暮らしやすくなります。
シニア猫になると、年を重ねることでしか醸し出せない魅力があふれてきます。これまでと変わらず、健康的な毎日を送れるように、愛猫に合った方法で対策してみてください。その際に、今回の記事内容が、何らかの手助けになれば幸いです。