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コーピングリストとは? 作り方や実例、ストレスへの効果を解説

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コーピングリストとは? 作り方や実例、ストレスへの効果を解説【求人ボックスジャーナル】はたらき方やキャリアを考える機会を創出するメディア

自分に最適なストレス対処法をまとめた「コーピングリスト」は、ストレス社会を生きるビジネスパーソンの助けとなります。
この記事では、コーピングリストの基本的な概念、作成方法、さらに活用する際のポイントなどについて分かりやすく解説します。コーピングリストの例を出しながら解説するので、ぜひ自分なりのコーピングリストの作成に活かしてください。

コーピングリストとは

コーピングリストとは、 個々のストレス対策を体系的に整理し、まとめたもの です。ビジネスでこのリストを活用すれば、業務の効率やモチベーションを高められます。

また、ストレスの軽減に加え、自己認識を深める手助けとなり、問題解決能力の向上にも役立つでしょう。そのためビジネスシーンだけでなく、日常生活でも非常に有益です。独自のコーピングリストを持っていると、 ストレスに対して余裕を持つことができ、実際に困難に直面した際でも素早くかつ効果的に対応が可能 となります。

ビジネスにおいてコーピングリストはなぜ必要か

令和5年の厚生労働省の調査によると、現在の職場環境や職業上の生活に強いストレスを感じている人の割合はなんと82.7%に達しています。こうしたストレスは、仕事のパフォーマンスの低下やメンタル、身体的な健康問題を引き起こす可能性があるため、具体的な対策が必要です。

そこで、ストレスに迅速に対処できるコーピングリストが役立ちます。ビジネスパーソンとして個人的に活用するだけではなく、企業が従業員のメンタルヘルス管理のためにコーピングリストの活用を推進していくことも効果的です。

参考:令和5年労働安全衛生調査(実態調査)

「コーピング」には3種類ある

「コーピング(coping)」という概念は、アメリカの心理学者リチャード・ラザルス氏によって提唱されたもので、英単語「cope」が示す「対処」を意味します。この「対処」は一時的なストレス解消はもちろん、根本原因への対処も含まれます。アプローチの違いから3種類に分類されるので、以下でそれぞれの特徴を理解しておきましょう。

ストレスの根本原因に対処する「問題焦点型」

ストレスを引き起こす要因を特定し、それに対して具体的な行動を起こす手法です。一時的な対策にとどまらず、再発防止にも繋がります。

問題焦点型の例

仕事と家庭の両立に苦戦しているため、より両立しやすい職場への転職を考える スキル不足により業務に支障をきたしているため、トレーニングや研修を受けてスキルを向上させる 社会的探索支援型

問題焦点型コーピングのうち、他者の協力を得ながら取り組むものを「社会的探索支援型」と呼びます。このアプローチでは、周囲の人々からのアドバイスやサポートを受けながらストレスへ対処します。

社会的探索支援型の例

業務を要領よく進められないため、上司に相談し、優先順位の付け方や効率的な進め方についてアドバイスを受ける 職務の負担が重いと感じているため、上司に相談して業務量を調整してもらう 職場での人間関係に悩んでいるため、友人に相談し解決のためのヒントを得る

ストレスの捉え方や感じ方を調整する「情動焦点型」

ストレスの原因そのものを変えるのではなく、自分の心の持ち方や物事の捉え方を調整することで、ストレスの影響を軽減しようとするアプローチです。心理的な視点から自己管理を行い、ストレス反応を和らげることを目指します。情動焦点型コーピングには、主に以下の2つの方法があります。

情動処理型

情動処理型は、自分の感情を周囲の人に打ち明け、心の中にたまったストレスを解放する手法です。問題解決が難しい場合や時間がかかる場合に対して有効な手法で、自分の感情を言語化して物事を整理したり、ストレスを軽減したりすることに期待が持てます。

情動処理型の例

自分の希望とは異なる部署への異動が決まり落ち込んでいたとき、家族に心の内を明かし励ましてもらうことで立ち直る 責任重大なプロジェクトへのプレッシャーを感じているとき、友人に話を聞いてもらい気持ちを整理して心の負担を減らす 認知的再評価型

認知的再評価型は、自分の思考を見直すことで、よりポジティブな視点を持ち、ストレスを軽減する手法です。余裕がないときはどうしてもネガティブになってしまうものですが、常に前向きな思考を意識すれば、うまくストレスに対処できるようになります。この思考パターンを繰り返すことで習慣化もできるでしょう。

認知的再評価型の例

上司から高い目標を設定され不安を感じたが、「これを乗り越えれば自分が成長するチャンス」と前向きに考える クライアントからクレームを受けて焦りを感じたが、「このフィードバックを生かして改善すればよりよいサービスを提供できる」と捉える

趣味や気分転換などでストレスを発散する「ストレス解消型」

一般的に「ストレス発散」として広く知られている手法で、ストレスを感じた後に積極的に行動し、心と体のバランスを回復することを目指します。即効性が高く、比較的簡単に実践できる点が強みですが、本質的な問題解決には至らないケースもあるため、ほかのコーピング技法と組み合わせると効果的です。この手法には、主に2つのアプローチがあります。

気晴らし型

気晴らし型は、自分の好きなことや趣味に没頭することで、ストレスから一時的に離れる方法です。ストレスフルな状況から心理的な距離を置いて、リフレッシュすることを目指します。

気晴らし型の例

仕事が終わった後、同僚と食事に行き、楽しく過ごすことで日々のストレスから解放される 週末にスポーツジムでトレーニングに没頭し、達成感を感じて気持ちをリフレッシュする リラクゼーション型

リラクゼーション型は、身体的なリラクゼーションを通じて、精神的なストレス軽減を図る方法です。身体の緊張をほぐし、心身ともにリラックスした状態になることを目指します。

リラクゼーション型の例

就寝前に数分間の瞑想を行い、心を落ち着かせることで雑念を取り払う アロマキャンドルを焚きながらゆっくり入浴し、心身ともにリラックスする

【シーン別】コーピングリストの実例

前章で述べたように、コーピングはさまざまなスタイルがあります。特定の目的や状況に合わせた効果的なコーピング手法を整理することで、実際にストレスを感じた際に迅速に対処できる体制を整えられます。ここでは、異なる状況に応じたコーピング手法の具体的なリストを紹介します。

職場で実践できるコーピングリスト

ビジネスパーソンが職場で実践できるコーピングとしては、以下のようなものが挙げられます。

深呼吸や軽いストレッチを行う 好きな飲み物を飲む 短時間の休憩を取り、窓の外を眺める ポジティブな言葉を書き留める 同僚と短い雑談をする タスクリストを整理し、優先順位を付け直す

これらの方法は、短時間で実践でき、ストレスを軽減するだけでなく、生産性の向上にもつながります。

日常生活や休日に実践できるコーピングリスト

仕事に行く前や帰宅後、休日にできるコーピングリストとしては、以下のようなものが挙げられます。

好きな香りのアロマオイルを焚く ペットと触れ合う 入浴剤を使ってゆったりとしたバスタイムを過ごす 好きな本や雑誌を読む 運動や音楽に没頭する 普段行かない場所へ行ってみる

これらの活動を習慣化することで、心身のバランスが整った状態を保ちやすくなるでしょう。

コーピングリストの作り方

コーピングリストは、 自分自身の特性や状況に合ったものを作り上げることが重要 です。そのために、次のステップを踏んでいきましょう。

1.心身ともにリラックスした状態で、思いつく限りのストレス解消法を自由に書き出す 2.実際にストレスを感じた際に、リストにある対処法を試みる 3.その対処法がどれほど効果的だったかを10点満点で評価し、数値化する

このプロセスを繰り返すことで、自分にとって最適なコーピングリストが徐々に完成していきます。また、 新しい対処法を随時追加し、リストを定期的に更新 することも忘れずに行いましょう。

コーピングリストを活用する際のポイント

コーピングリストを効果的に活用し、ストレスマネジメントに役立てるためには、いくつかのポイントがあります。ここでは、コーピングリストを上手に日々の生活に取り入れ、ストレス軽減につなげるためのコツを紹介します。

ストレスを感じたときの自分を観察する

ストレスを感じるときは、自分自身をしっかり観察することが大切です。自分がストレスを感じる原因や、その際にどのような反応(例えば、怒りっぽくなる、腹痛が起こる、集中力が低下するなど)が出るのかを注意深く見つめてみましょう。ストレスを具体的にリスト化することで、 そこに隠されたパターンを把握し、各ストレス要因に効果的な対処法を見つける手助け になります。この過程で、周囲の人に相談して客観的な意見を取り入れたり、一度距離を置いて冷静になったりすることで、よりよい自己理解が得られるでしょう。

できるだけ多くの項目を書き出す

ストレス対処の項目はできるだけ多く書き出し、 ストレスの種類や状況に応じて細分化したリストを用意 しておくことで、効果的にストレスへ対処ができます。リストアップする際は、あまりコストがかからないもの、すぐに実行できるもの、健康や人間関係に悪影響が出ないものを中心に書き出すことが望ましいです。

すぐにリストを確認できるようにしておく

コーピングリストは、 いつでも簡単に確認できる場所に置いておきましょう 。スマートフォンに保存したり、手帳に書き留めたり、目につきやすい場所にプリントアウトして貼っておくなど、ストレスを感じたときにすぐに確認できる状態にしておくことがおすすめです。緊急時に慌てずに、落ち着いて適切な対処法を選べるように準備しておけば、効果的にストレスを軽減できます。

定期的にリストを見直し、更新する

作成したコーピングリストは、状況や自分の気持ちの変化にあわせて見直すことが大切です。以前は効果的だった方法が、今は効果を感じられない場合もあるでしょう。リストを定期的に見直すと、 新たな方法を追加したり、効果がないと判断した方法は削除したり、より自分に合ったリストへと改善 ができます。少なくとも月に一度は、リストの内容を見直す時間を確保することをおすすめします。

自分を受け入れ、楽しみながら実践する

ストレスを感じると、自分を責める気持ちが芽生えがちですが、まずは自分自身の状態を受け入れることからスタートしましょう。そのうえで、コーピングリストを実践し、じっくりと対処することで、ポジティブな気持ちに切り替えられます。ときには、コーピングリストを使っても思うような効果が得られない場合もありますが、 あまり重く考えずに気軽な心持ちで楽しみながらリストを活用することが重要 です。

まとめ

今回は、ストレスを感じた際の対処法を整理した「コーピングリスト」について、その種類や具体的な例、リストの作成方法や効果的な活用のポイントを解説しました。コーピングリストを活用すると、ストレスと上手に付き合いながら仕事や日常生活を送れるようになり、心にゆとりを持つことができます。ぜひこの記事を参考にして、自分自身のコーピングリストを作成し、その活用を試みてください。

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