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【東京新聞紙面連動企画】文通村ってなんぞや?

TBSラジオ

毎週月曜日は東京新聞との紙面連動企画。

今日は紙面で不思議な村を見つけたので、ご紹介します。その名も「文通村」。千葉県成田市の成田山新勝寺近くのアパートの一室に、その事務局はある、というのですが・・・。

匿名で文通ができるコミュニティ「文通村」

どんな村なのか。文通村を作った、保科直樹さんにお話を伺いました。

株式会社文通村 代表取締役 保科直樹さん

「文通村」は、住所・氏名を使わないで全国各地の方と、匿名で文通ができるコミュニティです。もう16年くらい経ちますね。最初は3名からスタートしたんです。いや、そうでしたね、ホントに「文通?」っていう「今さら??」っていうような感じでしたね。

ただやっぱりちょうどその前あたりかな、個人情報保護法ができて、やっぱり個人情報出すのは怖いよね、っていう流れがあって、なので、手紙を安心して送り合える形があれば、ご高齢の方でも大丈夫じゃないかっていうのでスタートしたんですけど、今は2800名ほどいます。だからお手紙の通数もすごいことになっていて、年間で13万通くらいやり取りされてますね。

若い方も入って下さってます。20代、30代が約半分ほど。手紙で出会われて、ご結婚されたっていう方が三組くらいいらっしゃるかなと思います。嬉しかったです。ホントに手紙のチカラってあると思ってます。

文通村に入村すると、架空の住所が与えられます。例えば東京都の方は「お江戸通り〇番地」秋田だと「きりたんぽ通り〇番地」栃木だと「とちおとめ通り」という具合。そして、名前はペンネーム。封筒の表書きに文通相手の架空の住所と名前を書いて、月二回の締め切りまでに事務局に送れば、事務局で手紙を仕分けて相手に送られます。

私がお邪魔した日は、締め切りの翌日。大量の手紙の仕分けが行われていました。

(こちらが今回、事務局に届いた手紙。すごい量です!)

(スタッフの方々が、それぞれ、宛先に仕分けていました。大変な作業です。)

もともとは、保科さんが、手紙好きの自分のおばあちゃんが、こたつでテレビを見るだけになっているのが寂しそうで、文通相手でもいれば楽しみが増えるのでは、と思ったのが始まり。

新しいことを始めたくて、文通

それにしても、メールやLINEなどが主流の今、村人は年配の方が多いでしょと思いきや、半分が20~30代、というのは正直意外ですよね。

18歳で村人になった、現在20代の女性にお話を伺いました。

手紙・・・世代的にも馴染みは無いし、ちょっと同年代とはやりにくいですね。やっぱ、「え、メールの方が便利やん」「LINEの方が便利やん」ってなってたんですけど、大学入ったのきっかけに、なんか新しいこと始めてみようかなって思ったのがキッカケですかね。

あ~、やっぱりSNSとかには無い、ゆっくり相手からの返事を待つ時間っていうのが楽しみっていうのがあるかなと思います。その待つ時間をどう使うかっていうのが新鮮なんかな?って思ったりはします。

日常とか仕事のモチベーションも上がるし、その楽しみが増えるって意味で、それが良いかなって思います。

コロナの時って私、大学生だったんですけど、授業は完全リモートになって、バイトも無くなって、ほぼ家にいるみたいな感じになってたんですけど、そんな中でも、手紙を待つ時間っていうのは変わらないし、ちょっと心が通じ合うものがあったり、なんか大変だよね~、しんどいよね~って言い合ったりすることができたっていうのが、印象に残ったかなと思います。

20代には、返事を待つ時間が新鮮なんですね!そして、その待っている間に、伝えたいことを溜めていくのも新鮮、と。SNSやLINEは、思ったことを思ったときに、すぐ伝えますもんね。

高校時代は、習い事の先生に年賀状を出すくらいで、ほとんど手紙は書かなかった。しかし、大学入学をきっかけに、なにか新しいことをしてみようと文通村に。

人から聞いたんですけど、昔は名前も住所も出して、文通相手を探したんですよね?ビックリ。それって怖くない
ですか?と。個人情報ナシで出来ることが、始める決め手になったとも話していました。

手紙を出してもLINEで返事が・・・

しかし、手紙から遠ざかっているのは若い世代だけではないですよね。手紙好きの50代の村人のお話をお聞きください。

手紙を出すと、わざわざ手紙ありがとう、でもLINEで返すね、みたいなことが多いので、手紙好きの人はどっかにいないかな、と思ってネットで探したらこういうのがあったので。

このひと月だと14人くらい。毎月書けなくても次の月に書けばいいや、という感じで書いたりしてます。この時代、逆行してますよね。でも逆行すると良いバランスが取れるというか、昭和と令和との。すぐ既読してすぐ返事とかいうのからちょっと離れたいなっていう気持ちもどこかにあるのかなと思います。

書いてる時間が、まあ、人それぞれだと思いますけど、私は自分に向き合ってる時間でもあって、ちょっと気持ちが落ち着くんですよね。文字を書くってそういう魅力があるんですよね。性格は出ると思います。8年目くらいになると、私はズボラな字を書くので、几帳面な字を見ると「あ、この方とはたぶん続かないかな」と思うと返事来なかったり、そのままになってしまったりとかもあるので、字でこの人はたぶんこういう人だなって感じるのが楽しいっていうか、そういうのもあります。

自分から友人に手紙を出しても、その返事がLINEで来ちゃうんです!他にもメールや電話での返事が来ることが多く、手紙って迷惑?と寂しく思っていたとか。そこで、文通村に入って、早や8年。文字で人となりを感じるのも、また楽しいと。

それにしても、14人も文通相手がいたら、お返事書くのが大変じゃないですか?と聞くと、LINEじゃないので、すぐ返事しなくていいんですよ、と。たしかに、そういうペース、忘れてました。

また、こちらの女性によると、今100均各社、かわいい、洒落た便箋や封筒がとっても増えているそうで、手紙、復権じゃないですか?と嬉しそうでした。

事務局の保科さんも、手紙は返事とセットになっていない、いわば贈り物のような物。手紙にしかないチカラもあると思う、まだまだ手紙は無くならないと14万通の手紙の山を見て感じている、と話していました。

自宅のポストに私信が入ることがめっきり減っていますが、久しぶりに手紙もいいですね。


(TBSラジオ『森本毅郎スタンバイ』取材・レポート:近堂かおり)

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