激戦区六甲道で10年 今も進化を続ける麺と変わらぬ姿勢『つけ麺 繁田』 神戸市
神戸でつけ麺と言えば、すぐに頭に浮かぶのが六甲道に店を構える『つけ麺 繁田』(神戸市灘区)。今年の12月でちょうど10年目を迎える同店に取材に行ってきました。
今でこそラーメン激戦区として知られる六甲道ですが、10年前はここまで多くのラーメン屋さんが軒を連ねていたわけではなく、移転先を探していた代表の繁田さんが、尼崎から神戸一体を探す中で、たまたま見つけた場所でした。
濃厚豚骨魚介のつけダレで味わう同店人気の定番「つけ麺」。その味は意外にも、開店当初から原型をとどめていないほど変わっているんだそう!むしろ現在も進化の途中で、おそらく今後も納得することはないと言います。
どうすれば美味しくなるかが常に頭にあり、時には別ジャンルの料理を食べても、これがラーメンに活かせないかと考えるんだとか。たびたび登場する限定メニューも、知識や技術の幅を広げるために挑戦しています。
六甲道出店を機に始めた製麺は、小麦の知識や製麺機の動かし方すらわからないところからのスタート。創業明治41年の老舗、株式会社増田製粉所(神戸市西区)から小麦を仕入れ、最初はそのレシピどおりに作っていたんだそう。
その後自身で勉強会に参加したり、尊敬する「つけ麺とみ田」のオーナーに師事を仰ぐなど、試行錯誤の連続でした。
現在は、2023年に王子公園にオープンしたセカンドブランド「中華蕎麦しげ田」のセントラルキッチンで毎日製麺しています。
約15分かけて出来上がるこだわりの一杯。ほぼうどん!?というくらいの極太麺は、北海道や群馬、香川産の中力粉など、5種類をブレンドしています。
今はどの小麦を組合せればどういった味になるかの想像がつくようになり、4~5年前から、ブレンドする小麦の種類を減らす風味の引き算を試しているところなんだそう。ただ増田製粉所で仕入れる兵庫県産小麦「麺司(めんつかさ)」はお守りとして必ず入れています。
どっしりと重い極太麺を掴み、まずは何もつけずに味わうと、ほわんと鼻をぬける小麦の香りと迫力のある食べ心地。
お願いすると出してくれる沖縄産の塩を少しつまんでかけて啜ると、ほのかな塩味をたよりに、麺だけでもどんどん食べ進められます。
つけダレは、豚足や豚骨、とりがらやイワシや煮干しなど大量の材料を20時間以上かけてじっくりと煮出した「濃厚豚骨魚介スープ」がベース。こちらも最近はお酢を入れてさっぱりさせたり、武骨なスープの雰囲気に合うよう、白髪ねぎから粗みじんに変更するなど、日々進化させています。
ドロッと濃いタレに、麺の下半分くらいを浸したらズルルっといただきます。複雑な出汁の味に魚粉や柚子の風味が効いて、やはり絶品!しっかりと低温調理が施された豚と鶏の2種類のチャーシューは、ほどよく塩味が効いてとっても柔らかです。
残ったつけダレは、宗田がつおや昆布、いわし、鯖などで取った出汁でスープ割にしてもらい、最後まで堪能しました。
ココのつけ麺を食べるならどの時間帯も行列は覚悟。そんなお客さんに「時間とお金を使ってわざわざ来てくれるのだからただで帰すわけにはいかない」と繁田さん。いつでも敬意を忘れず、責任ある1杯を出したいという言葉と姿勢に、ああだからか、と納得の一杯でした。
場所
つけ麺 繁田
(神戸市灘区桜口町5丁目1-1 1F)
営業時間
11:00~15:00
18:00~22:00(L.O. 21:30)
定休日
月曜日、第2・4火曜日
※祝日の場合は営業、翌日休業