藤枝MYFCの天皇杯3回戦コメント。サンフレッチェ広島に敗れ須藤監督「あっさりやられすぎ」公式戦連発のMF浅倉廉「やりきる力、まだ足りない」
サッカー天皇杯の3回戦が7月16日に各地で行われ、藤枝MYFCはサンフレッチェ広島に2−5で敗れました。前半はMF浅倉廉選手のゴールで先制するなど、2−2で折り返す互角の戦いを見せたものの、後半からはJ1上位の実力を示されました。
12日の仙台戦から中3日ながら先発変更は1人のみという主力で臨んだ一戦は、課題と収穫が生まれた試合となりました。選手、スタッフは得た教訓を生かすべく、8月2日に再開するリーグ戦(対レノファ山口FC、藤枝総合運動公園サッカー場)へ気持ちを切り替えました。
須藤大輔監督、選手が試合を振り返りました。
須藤監督「我々の弱点はどこか精査していく」
―試合の総括を。
前半は非常に良い戦いができたのかなと思います。相手のプレスをしっかり回避してゴールに迫った。ただ、ワンチャンスを決められるという質の高さを見せつけられました。
われわれの2点目、セットプレーでワンチャンスをものにするという部分で言うと良かったと思います。でも選手には「これで、代表選手は出ていないよ」と言いました。後半に代表選手が入ってくるとなかなかボールがスムーズに回らなくなったのは事実。何でもないところから点を取ってくる。そしてあっさりやられてしまうという部分の差は、歴然たるものがあったと思います。
どう埋めるかというと、個のところでレベルアップすること、あとは個の勝負にならないような戦い方をしないといけないとも感じました。
ただ、われわれのやりたいこと、相手がマンツーマンで来たら剥がしましょうという部分は前半にはしっかりできました。圧が高まった後半にはできなくなったので、そこもプレス回避ができる立ち位置や、もっと広い視野を持ちたい。少し狭くなっていた感じがあり、無理やりこじ開けようとしている傾向がありました。
ゴール前に入っていくところまではもっと俯瞰(ふかん)した視野でビルドアップをするということが、この試合で明確になりました。良い教訓として後半戦に向けて準備をしていきたいです。
一区切りになるので一度リフレッシュして、エンジンを再点火できるようにして休み明けのホーム・山口戦に挑みたいです。(悪天候で)こんなにもコンディションが悪い中、最後まで声を枯らしてサポートしてくれたサポーターの思いに応えるためにも、次の試合で悔しさをぶつけていきたいです。
―前半の戦いは狙い通りだったのでは。
はい。だからこそ相手のスイッチが入る前に2−0にしたかったです。少しふわっとした形からの1失点、そして何でもないところから2人が一気に置き去りにされたところでの2失点目がもったいなかったのかなと。あのようなシーンをしっかり防ぎきらなければならない。相手はおそらくプレスのかけどころが分からなかったと思います。それほど相手を見ながらビルドアップができていました。であれば、あそこで代表組を引きずり出すこともしていきたかったと思います。
―代表組が投入されてからの後半。失点を重ねた原因は。
失点部分はあっさりやられすぎている感覚が前半からありました。それが後半にも出たのかなと。あとはプレッシャーのところの違いが明らかになりました。隙がなく、前への迫力があった。前半同様にプレス回避をしていく作業を後半もしたかったので、本当に良い教訓になりました。このぐらいのプレッシャーをかいくぐることができれば、どこでもプレス回避ができると思うので、映像をしっかり見て山口戦で表現していきたいです。
―後半にペースを握れなかったのは疲れの影響も。
それもあったと思います。中3日を言い訳にはできないですが、もしかしたら僕の判断が遅くなったのかなと感じます。もっとフレッシュなメンバーで後半スタートからいけば良かったのかなと。
ただ前半にすごくできていた部分があったので、もう一歩と思っていた矢先にやられてしまった。そこもスタッフ含めもっとアラートにしていきたいです。もちろん相手のスイッチが上がったのもありましたが、若干こちらが下がったということもありました。
―悔しい負け方だが、この試合で得られたことは。
どんな相手でもしっかりポジショニングを取る、そしてしっかり止める、渡すの部分ができれば怖くはない。プレッシャーでビルドアップミスからの失点はないのかなと感じた試合でした。
ですが、足りないものは明らかに出たゲームでした。何でもないところから失点してしまうというところは前半のリーグ戦でも多々あったので、そこは突き詰めないといけないのかなと思います。何でもないシーンでも、来る前提でプレーしないといけない。
われわれの武器はこうだから、相手はここを消しに来るだろうというような、相手目線での立ち振る舞いも今後は必要になります。われわれのウイークポイントはどこなのか、しっかり精査していきたいです。
MF浅倉廉、公式戦2戦連発
浅倉廉選手はJ1の強豪相手にもしっかりとゴールを決めきり、十分に実力が通用することを証明しました。チームの顔として役割を全うし、全員に勇気を与えました。
―試合を振り返って。
まだまだ自分たちの力が足りなかったというのが一番ですが、やれた部分もあるので、そこには自信を持ちたいです。あとは課題を修正していきたいです。
―チームとしてどの部分が通用したか。
前半は特にコンビネーションで相手のゴール前に迫って決めきることができました。
―個人的にはどうだったか。
間のスペースで受けて前を向いて得点に絡んでいくプレーは常に意識していて、それが広島相手にもできると感じたので、そこは自信にしたいです。
―感じた差は。
90分通して高強度でプレーするというところ。後半は少し落ちてしまいました。どこが相手でもしっかりやりきる力が、まだ足りないと感じました。
―自身のゴールシーンを振り返って。
右サイドで久富選手、川上選手とうまくコンビネーションができていました。あの位置で絶対にパスが来るという信頼関係があったので準備ができて、イメージ通りに決められたゴールでした。特に打ち合わせはなかったのですが、普段から練習や試合でやっているコンビネーションで、その場のアイデアでやれる自信がありました。
―公式戦2試合連続ゴールとなった。
得点にはこだわっているので、数字が出てきていることに関してはポジティブに捉えたいです。
―上がってきている中での中断期間をどう捉えているか。
試合を決定づける、勝利に導ける活躍をしたいです。1試合複数得点はまだないので、1点だけでなく2点、3点と取れる選手になっていきたいです。そこに向けて中断期間で準備をしていきたいです。
―今後のリーグ戦に向けた意気込みを。
前期で5ゴールという目標を掲げていて、少し遅れましたが取れたので、後半戦も得点を重ねてシーズン通して10点以上を取れるようにやっていきたいです。
MFシマブク・カズヨシ「力の差があった」
シマブク・カズヨシ選手は、左サイドから切れ味鋭いドリブルやパス供給で何度もチャンスをつくりました。FKではクロスバー直撃と惜しくも得点はならなかったものの、CKで相手のオウンゴールを誘うボールを入れるなど、随所で存在感を発揮しました。
MFシマブク・カズヨシ
―試合を振り返って。
力の差がありました。相手には一人一人の質の高さがすごくありました。でも通用した面もあったので、差を練習で埋められるよう一からやっていきたいです。
―差というのはどの部分か。
一つ一つのパスの速さや強弱の部分。駆け引きもすごくうまかったです。クオリティが高く、一つのミスで失点につながるのを感じました。
―通用した部分は。
個人としてはドリブルが通用しましたし、守備の対応もそこそこできたのかなと思います。
―ドリブルからチャンスメーク。FKでも見せ場をつくった。
(ゴール前でFKを獲得した場面は)ボールをもらってからドリブルで全員抜いてやろうという気持ちでした。シュートまではいけませんでしたが、あそこまで運ぶことはできました。FKはずっと練習していたので、もう少し落とせたらゴールになっていたんじゃないかなと思います。
―CKから相手のオウンゴールを誘った場面について。
何本か左右でCKを蹴った感じから、ニアにスペースがあったのでその部分に蹴りたいと思い、中川創選手と相談して入ってもらうようにしました。作戦通りでした。うまく誘えたと思います。自分の中でもかなり良いボールを蹴ることができました。
―中3日だが疲れはなかったか。
自分はあまりなかったです。力を全て使い切る気持ちで挑みました。今日はやりきりました。
―藤枝のサッカーを貫いたと思うが。
攻撃は良かったと思いますし、しっかり崩せて得点にもつながりました。あとは何度も惜しいシーンがあった中で、決めるか決められないかの差だと思います。今後もしっかり決められるようにやっていきたいです。
―中断期間をどう過ごしたいか。
一度リフレッシュして、(再開時に)しっかりコンディションを合わせられるように準備をしていきたいです。
広島・ミヒャエル・スキッベ監督「前半はボールを取りにいけなかった」
サンフレッチェ広島のミヒャエル・スキッベ監督が、藤枝MYFCの印象を語りました。藤枝らしいサッカーはJ1の強豪にも脅威となることを示せたようです。
「前半は藤枝の動きの速さ、良さに、サッカーが難しくなりました。特に前半は藤枝のポジションチェンジやボールを動かすところに非常に苦しめられました。プレスにいく部分で思い切ったプレーができないほど、誰が誰をつかむかを待たないといけない、受け身にならないといけない状況になってしまいました。自分たちがボールを取りにいけなかった。そのような状況をつくるのが非常にうまいチームでした」