札幌出身の映画監督、恐怖の原点を語る!『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』舞台挨拶で観客を魅了
"怖い" Jホラー正統派後継作品として注目の『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』。1月24日(金)に全国15館からスタートし、映画ファンの間で瞬く間に話題となり、劇場パンフレットは増刷、上映館が拡大中。この度、近藤亮太監督の出身地・札幌の映画館「サツゲキ」で2月16日(日)に凱旋舞台挨拶が実施されました。
本作は「第2回日本ホラー映画大賞」(23)で大賞を受賞した近藤監督による同名短編ホラーを、杉田雷麟主演で初長編商業映画化。弟が失踪する一部始終を捉えたビデオテープを中心に物語が進み、「ノーCG、ノー特殊メイク、ノージャンプスケア」で挑むJホラーです。総合プロデューサーを劇場映画版『呪怨』(03)などの清水崇監督が務めています。
SASARU movieでは、舞台挨拶の様子をお届けします!
『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』のストーリー
幼い頃、弟・日向を山で失踪させた過去を持つ敬太(杉田雷麟)は、失踪者を探すボランティアを続けていた。ある日、母から届いたビデオテープには、日向が消える瞬間が記録されていた。霊感を持つ同居人の司(平井亜門)は、テープの不気味な気配を警告するが、敬太は過去と向き合うため、日向が消えた山へ向かうことを決意。記事のネタを狙う新聞記者の美琴(森田想)も同行し、3人はそれぞれの思惑を胸に、山へと足を踏み入れる…。
――近藤監督は「TXQ FICTION」の選出で関わっていますが、モキュメンタリーホラーの影響はありましたか?
テレビ東京で放送されていた「TXQ FICTION」(24)というフェイクドキュメンタリー特別番組を寺内康太郎さん、大森時生さん、YouTubeやテレビを舞台に活動されているホラークリエイターの方々が制作されていて、それで声をかけていただき一緒にやっているのですが、僕がその影響を受けています。また、自分が参加することによって「TXQ FICTION」の方にも反映されていっているのかなと思います。
モキュメンタリー的な手法はすごく好き。子どもの頃から見ていたので、そのモキュメンタリーの手法を普通のフィクション作品の一部として入れ込むということに、可能性を感じていていました。その時から、一貫して劇中にちょっと長めの尺で、ビデオや何か劇中で撮られた映像をやるみたいなことは結構やってたので、それが時代と上手くマッチしたと感じています。
――ビデオテープの映像ですが、今は懐かしさと共に恐怖の対象になっているということは以前から感じられていたんですか?
子供の頃にビデオテープを使っていましたけれど、その時にビデオで見る映像が「やっぱり怖いな」って思いながら見てなかったと思うんですよね。でも、それが2020年前後ぐらいになって、改めて当時のビデオ映像をYouTubeなどで見ると妙に不気味なものに見えて。何人かのホラークリエイターの人たちが発見していて、それが伝播していったというか…「確かに怖いぞ」と。
ここで劇場に駆けつけたお客様とのQAが始まります。
――【質問者A】以前、インタビューの中で、キャラクターのバックボーンはなるべく真剣に考えるようにしている、とおっしゃっていたんですが、「実はこのキャラは…」という明かされていない裏設定を教えてください。
では天野司(演:平井亜門)の話をします。大学を出ているという設定です。あと、2人が住んでいる部屋の中に写真が飾ってあります。あれは司が大学時代、写真にハマっていて海外旅行などに行った際、撮影した写真がそのまま飾ってあるのですけど、今は押入れの中でカメラは埃をかぶっているという設定になっています。
――【質問者B】怖い映像を撮ってて、実際に現場でオバケとか出たりしなかったんですか?
出てほしいと常々思っているのですが、なかなか出てくれないんですよね(笑)。
今日初めてちゃんと喋る話ですが、主人公の兒玉敬太(演:杉田雷麟)の名前は、勤めている会社の後輩たちから許可をもらい、2人の名前をくっつけてたキャラクター名なんです。
そのケイタの方の後輩が、東京国際映画祭で上映されたときに恋人と観に来てくれました。観終わった後に直筆で熱のこもったお手紙を送って頂いて読んだんですけど、彼女さんは霊感がある方で、廃墟のシーンに“お茶目な女性の霊”が映っていた、とのことです。
舞台挨拶のときに主演の雷麟君の話にもありましたが、撮影中に奥の方でバタンと音がして雷麟君と2人で見に行ったんです。でも何も倒れていないという話をよくしていて...その事象も、お茶目な女性の霊が気づいてほしくて「何やっているのかな!!」と、ちょっかいをかけてきた、とのことでした。
――【質問者C】山の怖い話はたくさんありますが、インスピレーションを受けたお話はありますか?
インスピレーションはいっぱいあります。本作劇中に出てくる「ぷよぷよ」というワードに関しては、僕が大学時代の話です。スキー部の先輩が、中学生の時に女性コーチの3歳ぐらいの息子さんと山の中を夜に走ってたら、森の方を指差して「ぷよぷよがいるよ」と言い出して「何がいるの?」と聞いても「ぷよぷよがいる」と。それ以上説明ができなかったみたいなことを昔聞いて、それを基にしています。