祝 劇場公開25周年! 『劇場版 カードキャプターさくら』&『CLOVER』レビュー|令和の劇場で再びさくらちゃんを拝めた喜びと完成後の高さに驚かされた『CLOVER』について語りたい
劇場公開25周年記念企画として、7月11日(金)より再上映される『劇場版カードキャプターさくら 封印されたカード』。
その再上映に先駆けて現在、『劇場版 カードキャプターさくら』と併映短編作品『CLOVER』を再上映されました。
この2作品を令和に劇場で見られるなんて奇跡! ということで、これは見に行くしかないだろうと思い、行ってきました!
本稿では大人になってから感じた『劇場版 カードキャプターさくら』の良さや個人的に好きなシーン、そして子どもの時は怖くてあまり直視できなかった『CLOVER』の素晴らしさについて、レビューしていきたいと思います。
【写真】劇場公開25周年再上映決定!『劇場版 カードキャプターさくら』&『CLOVER』レビュー
『劇場版 カードキャプターさくら』あらすじ
さくらはある日、家の近くの商店街の福引きで、なんと特賞の香港旅行を当ててしまった!
さくらにとっては初めての海外旅行。もちろんケロちゃんも一緒に行けるとおおはしゃぎ。ちょうどその時期は出張で行けないお父さんに代わって、兄の桃矢がさくらの保護者として同行することになった。さらに親友の知世ちゃん、あこがれの雪兎さんも参加して、楽しい香港旅行に出発。さくらたち一行を迎えたのは、華やかな香港の町並み。次々と目に入る初めての光景にはしゃぎまわるさくらであったが、しかしそのそばには必ず不思議な小鳥が…。
そして夜、さくらは不思議な夢を見た。水がたたえられた空間に静かにたなびく白い布。その先には不思議な魔導士の姿が…。この旅行は仕組まれたものなのか?
古より続く魔都・香港を舞台に、カードキャプターさくら最大のピンチが訪れる!!
『劇場版 カードキャプターさくら』レビュー
閉鎖的な水の空間の恐怖
まずはじめに本編が始まる前から感動的だったのが、7月11日(金)より再上映される『劇場版カードキャプターさくら 封印されたカード』の予告が流れたこと!
これから始まる『劇場版カードキャプターさくら』を見る前から、令和の時代に大きなスクリーンで動くさくらちゃんを見られるという感動で、もう涙が……。
「7月11日からの再上映も必ず見に行くぞ!」と心に決めて、いよいよ本編開始です。開始早々、さくらちゃんの夢の中に水と不思議な布のようなものが登場します。なんだか不穏な空気が流れており、子供の時にはすでにここで怖かったのを思い出しました。
魔力が強いさくらちゃんは予知夢を見ることが多いので、これも実際に起こることということですね。「水は、流れ行くものですよ」という男の人の言葉がとても印象的なシーンです。
アニメオリジナルキャラクターも映画に登場
筆者的嬉しかったポイント、それはアニメオリジナルキャラクターの雑貨屋「ツイン・ベル」のオーナーが出てきたことです。オーナーの真樹さんのホワホワ感が大好きなんですよね!
そして「ツイン・ベル」で福引をしたことから、この作品の運命が大きく動きます。なんとさくらちゃんは特賞の香港旅行を引き当てたのです。
しかし、引き当てたのには不思議な力が関係しているようで、のちにケロちゃんが、「世の中に偶然はないっちゅうのがクロウの持論やった。さくらが特賞当てたんもなんか意味があるかもしれん思うてな……」と語っています。
CLAMP作品にはかかせない「偶然と必然」。映画にもしっかり反映されているのがとても嬉しかったです。
そして、苺鈴ちゃん。この作品は第1期と第2期の間の作品ということで、まだ苺鈴ちゃんがさくらちゃんに対してツンツンしています。このツンツン苺鈴ちゃんがとっても可愛いんです! そして小狼くんのことが大好きな気持ちが溢れていてニヤニヤが止まりませんでした!
小狼くんもまださくらちゃんとはライバル同士の時期なので、そちらもなんだか懐かしくてとても可愛らしかったです。
かわいいさくらちゃんが目白押し
さくらちゃんが可愛いのは周知の事実だと思うのですが、個人的に最高に可愛かったのが、兄・桃矢の嘘を鵜呑みにしてしまったシーンです。
飛行機に乗って香港に向かうのですが、さくらちゃんは海外も飛行機も初めて。そんなさくらちゃんに桃矢は「さくら、飛行機には靴抜いて乗るんだぞ」とささやきます。素直で良い子なさくらちゃんはもちろん靴を脱いで飛行機に乗ろうとします。
そこでCAさんに「お客様、どうかそのままで……」と言われてしまい赤面。素直なさくらちゃんも可愛いですが、可愛い妹をいじめる桃矢も可愛いですよね!
小狼くんの家族が登場
舞台は香港ということで、小狼くんのご家族が初登場! ハプニングから服が濡れてしまったさくらちゃんは、小狼くんの家で洋服を借りることに。そこで個性豊かな美しいお姉様達と凛としたお母様に出会います。
チャイナ服に着替えたさくらちゃんと知世ちゃんが、可愛くて仕方ないお姉様達は2人をもみくちゃにしますが、2人だけではなく桃矢と雪兎も容赦なくもみくちゃにします。(何故かさくらちゃん以外も着替えさせてもらっています)
そんな個性的なお姉様達に頭を抱える小狼くんですが、お母様が登場すると空気は一変。さすがクロウ・リードの血縁者。強大な魔力を持っているようで、劇中でピンチのさくらちゃんを助けてくれました。
ちなみに小狼くんのお母様の声は井上喜久子さん、お姉様の声の一人は山口由里子さんが担当されています。
女魔道士の妖艶さが素敵
最初にお話した閉鎖的な水の空間ですが、これはある女魔道士が生み出したもの。この女魔道士は実はすでに亡くなっており、怨念だけが閉鎖空間に数百年も閉じ込められているのだそう。
クロウカードの気配がすることから、ずっとさくらちゃんを狙っていた女魔道士ですが、実は本当の狙いはクロウ・リード。
クロウ・リードがすでに亡くなっていることを知らず、そして自分もすでにこの世にいないことを忘れてしまい、ずっと閉鎖空間でクロウ・リードのことを待っていました。
強力な魔法で水の空間を作り出し、さくらちゃんと戦う姿はまさに強敵と言えましょう。女魔道士を演じるのは林原めぐみさんです。
さくらちゃんの優しさが世界を救う
女魔道士がずっと追っていたクロウ・リードは、すでにこの世にいないと伝えるさくらちゃん。その事実を知って暴走する女魔道士ですが、さくらちゃんは優しく寄り添います。
「大好きな人がいなくなるのは、つらいよね」
女魔道士のクロウ・リードへの想いは憎しみではなく「恋」。長い年月が経ち、その気持ちも忘れ憎しみに変化してしまったのです。
雪兎のことが好きだけど想いを伝えられていないさくらちゃんは、きっと自分が同じ立場になった時のことを考えたのでしょう。想いを伝えられないまま、もう会えないという辛さをわかってあげられる。さくらちゃんは本当に優しい子です。
さくらちゃんの優しい涙にクロウ・リードが亡くなったことを理解し、彼女もこの世を去ります。その去り際はとても美しいものでした。
大人になってから更に楽しめる作品
子供のときには分からなかったエキゾチックでオリエンタルな雰囲気が、大人になってとても刺さった本作。そして「想いを伝える大切さ」をこの作品から教えてもらいました。
本作に登場する言葉「水は、流れ行くものですよ」。この言葉を聞いて、人生や物事も常に変化していく、だから後悔のないように生きていこう、想いは言葉にしていこうと思いました。
『CLOVER』あらすじ
稀有な宿命を背負った少女スウと、その運命に絡みあう和彦。
二人の切なくて美しいストーリーを、華麗な映像と優美な音楽でつづる、ミュージックムービー。
『CLOVER』レビュー
これは芸術作品
一言、『CLOVER』は完全に大人向け作品です!
『劇場版カードキャプターさくら』が終わったあとに流れる併映作品なのですが、世界観が濃厚で全てを持っていかれてしまいました。正直さくらちゃんの可愛さの真反対にあるような作品だと思います(笑)
私は原作を読んだことがなく、しかも7分しかない作品なので、細かなストーリーなどは分かりませんでしたが、とにかくCLAMP感が満載。
デザインの良さ・線の美しさ・素晴らしい音楽、どれをとっても美しく、内容がわからなくても引き込まれてしまいます。どこか悲しくミステリアスな雰囲気が好きな方は是非見ていただきたい作品です。
おわりに
改めて、令和の時代に大きなスクリーンで『劇場版 カードキャプターさくら』と『CLOVER』を見られたこと、本当に感謝です!
子供の頃に見た作品を、大人になって劇場で見られるなんて、なんて贅沢なんでしょうか。昔は「さくらちゃん可愛いな」としか思わなかったのですが、今は音楽の良さや作画の良さなど色々な部分に感動させられました。
7月11日(金)から再上映の『劇場版カードキャプターさくら 封印されたカード』も今から楽しみでなりません! 子供の頃に『カードキャプターさくら』を見ていた皆さん、是非劇場に足を運んで25周年をお祝いしましょう!
[文/五反田ちさと]