神保町ギャラリーの新しいカタチ『KOMIYAMA TOKYO G』『肆(ヨン)』
本が代表的であるが、カレーに喫茶店、スポーツ……とさまざまな顔を持ち、多様な偏愛が共生する神保町ほど文化の発信に適した街はない。ここでは実に神保町らしい、新顔で個性派な2軒のカルチャー発信拠点をご紹介。
老舗古書店によるアートギャラリー『KOMIYAMA TOKYO G』
運営元である『小宮山書店』は昭和14年(1939)に創業、美術ファンたちに愛されてきた古書店だ。アーカイブをベースに新旧をミックスした、「点」ではなく「線」や「面」で見せる展示手法にその矜持(きょうじ)が宿る。「一般的なギャラリーとの決定的な違いは、やはり古書店が母体であること。アート、カルチャーに息づく文脈や系譜はとりわけ大切にしています」と代表の小宮山慶太さん。
巨匠やレジェンドの作品を取り扱いつつも、そのフラットさゆえか、若年層のクリエイターからの支持も厚い。「若い人たちにうちの書店とギャラリーを資料室のように扱ってもらえたら、これ以上うれしいことはないですね。カルチャーを生み出すのはいつだって若者たちですから」。
『KOMIYAMA TOKYO G』詳細
KOMIYAMA TOKYO G(コミヤマトーキョージー)
住所:東京都千代田区神田小川町3-20-4 第2龍名館ビル1F D/営業時間:12:00~18:30(日・祝は~17:30)/定休日:火・水/アクセス:地下鉄神保町駅から徒歩5分
音とアートに浸れる自由な秘密基地『肆』
1階はカフェ&バー、2階はギャラリー、地下はリスニングスペース。2024年7月にオープンしたばかりのディープな複合施設の仕掛け人は、歯科医であり道玄坂の立ち飲みバー『ゴールデンボール』、カラオケバー『女豹』のマスターでもある杉山佳世子さん。「自分が大好きなものを詰め込んだらこうなりました。お酒、音楽、アート。立っても座っても踊ってもいい。とにかく、ルールのないスペースを作りたくて」。ギャラリーとしての運営もすべて我流。「超素人ですよ(笑)。でも、だからこそできることをやりたい。壁に描いたっていいし会期が2日でもいい。私が見たい、私が好きなアーティストに自由に展示してもらっています」。
『肆』詳細
肆(ヨン)
住所:東京都千代田区神田神保町1-9-23/営業時間:11:00~23:30/定休日:不定/アクセス:地下鉄神保町駅から徒歩1分
取材・文= 重竹伸之 撮影= 佐藤侑治