「子ネコちゃん?」90年代“インディ映画の女王”パーカー・ポージー登場!『ドゥーム・ジェネレーション』本編映像
グレッグ・アラキ監督の代表的2作品が待望のデジタルリマスター版でリバイバル公開決定。『ドゥーム・ジェネレーション デジタルリマスター版』が11月8日(金)より、『ノーウェア デジタルリマスター版』が11月15日(金)より公開される。このたび、『ドゥーム・ジェネレーション デジタルリマスター版』より本編映像が解禁。さらに、グレッグ・アラキ監督からコメントが到着した。
グレッグ・アラキによる〈若者の終末〉を描いた衝撃の2作品
異性愛を常識とする当時の概念や、それを支えてきた映画のあり方に対抗した90年代の<ニュー・クィア・シネマ>ムーブメントを牽引し、インディカルチャーの旗手として知られるグレッグ・アラキの2作品が遂にデジタルリマスターされ、さらに、初公開当時そのストレートな性表現から止むなくカットされたシーンを含むディレクターズカットで劇場公開される。
自身もゲイであることをオープンにし、一貫してティーンエイジャーを主人公にして同性愛者のリアルライフを描いてきたグレッグ・アラキ。そんな彼がプロデューサーからの「異性愛映画を撮ったら制作予算をあげよう」という提案に対し、彼なりの反骨精神あふれるパンクなやり方で、「表向きは“異性愛映画”としつつも、“史上最もクィアな異性愛映画”を作りたかった」と語る『ドゥーム・ジェネレーション』と、「最も野心的な作品」と本人も語る、まるでジェットコースターのようなスピード感で若者たちの〈終末の日〉の一夜を描いた『ノーウェア』。約30年前の作品とは思えないほど、今の私たちの感性を刺激する魅力とパワーを放つ衝撃の2作品だ。
ピチカート・ファイヴを筆頭に至高のプレイリストが鳴り響く!
本編映像は、90年代に一世を風靡し、昨今若い世代からの支持が再燃している“渋谷系”を代表する日本のバンド、ピチカート・ファイヴの「我が名はグルーヴィー」が流れるバーでのワンシーン。殺人事件に関わり、追われる身となったジョーダン(ジェームズ・デュバル)、エイミー(ローズ・マッゴーワン)、グザヴィエ(ジョナサン・シェック)の三人がやってきたのは近未来的でシュールな内装が印象的なバー。「OBEY(神に従え)」という言葉が大きく掲げられた店内、店内の格闘ゲームに熱中するジョーダンとは対照的に自分たちの置かれている事態を深刻に受け止めているエイミーはピリピリとして落ち着かない様子。「2件の殺人に関わったのよ」と彼らがまずい状況にいることに、いら立ちを隠せないでいる。そこへ突然、「子ネコちゃん?」と派手なファッションに身を包んだ女性(パーカー・ポージー)が現れる。
パーカー・ポージーは、90年代にグレッグ・アラキのほか、リチャード・リンクレイター、ハル・ハートリーなどアメリカのインディ映画の作家達の作品に出演し、サンダンス映画祭の常連だったため<インディペンデント映画の女王>と呼ばれた。そんな彼女はエイミーを別の人物と勘違いしている様子だが……その只ならぬ展開がスリリングな場面となっている。
また、その他の劇中歌としては、ナイン・インチ・ネイルズ、スロウダイブ、ジーザス&メリー・チェイン、コクトー・ツインズ、エイフェックス・ツイン、ザ・ヴァーヴなど、音楽ファンが歓喜すること間違いナシの錚々たるアーティストが名を連ねている。かつて LA ウィークリーの音楽批評家を務めていたグレッグ・アラキは、文字通り1日24時間音楽を聞いているかなりの音楽フリーク。彼自身の制作会社「デスパレート・ピクチャーズ」も、LA のパンクバンド X(エックス)の曲「Weʼre Desperate」にちなんで名付けられている。
『ドゥーム・ジェネレーション』についてアラキ監督は、「私がドゥーム・ジェネレーションを表現する方法は、ジーザス・アンド・メリー・チェインの曲のようなものだ。表面はとてもノイジーでカオスでパンクなんだけど、芯は甘くロマンチックな歌なんだ」と語る。一方、脚本の1ページ目「この映画のサウンドトラックは、ナイン・インチ・ネイルズのトレント・レズナーが作曲したダブルアルバムになる」と書いてあったといい、映画の1曲目にはナイン・インチ・ネイルズ曲が使用されている。シューゼイザー、パンクロック、オルタナティヴロックなど、音楽は彼の映画作りにとって強烈なインスピレーションとなっている。
『ドゥーム・ジェネレーション デジタルリマスター版』は11月8日(金)より、『ノーウェア デジタルリマスター版』は11月15日(金)より渋谷ホワイトシネクイントほかにて全国順次公開