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Bリーグ史上最長となる4季連続のファイナル進出!琉球ゴールデンキングス“盤石”の宇都宮に勝つ鍵は「我慢」と「Xファクター」

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アウェー開催だったセミファイナルで、客席からキングスの背中を力強く押したファンたち
ファイナルの舞台となる横浜アリーナに向かうキングスのヴィック・ロー(左)やジャック・クーリー(中央)ら=5月22日午後、那覇空港(長嶺真輝撮影)

Bリーグ西地区1位の琉球ゴールデンキングスは5月24〜27日、2024-25シーズンの年間王者を決める「チャンピオンシップ(CS)」のファイナルに挑む。 相手は東地区1位の宇都宮ブレックス。リーグ史上最長となる4季連続のファイナル進出という偉業を果たしたキングスにとっては、2シーズンぶり2回目の戴冠をかけた戦いとなる。 会場は過去2シーズンと同じ横浜アリーナだ。2戦先勝方式のため、1勝1敗のタイとなった場合は26日を空け、27日に最終第3戦を行う。 宇都宮のレギュラーシーズンの勝率は48勝12敗でリーグ唯一の8割台。全体3位だったキングスの46勝14敗を上回り、全体1位だった。日本人屈指のスコアラーである比江島慎や昨季リーグMVPのD.J・ニュービルらを擁し、CSではさらに若手も台頭。盤石の強さを誇る。 キングスが勝つためのポイントは何かーー。

「やる事をやり続けた」準決勝、“運”を引き寄せる

セミファイナル第2戦で勝利の立役者となった松脇圭志(左から2人目)や岸本隆一(同3人目)ら=5月18日、静岡県の浜松アリーナ(長嶺真輝撮影)

ファイナルを展望する前に、Bリーグ史に深く刻まれる程の死闘となったセミファイナルを振り返りたい。 キングスは5月17〜19日、静岡県の浜松アリーナで中地区1位の三遠ネオフェニックスと対戦した。初戦を85ー87で落としたものの、第2戦から100-98、77ー69で連勝。2勝1敗でシリーズを制した。 3日間のうち最大のハイライトとなったのは、黒星先行で迎えた第2戦の第4クオーター(Q)ラストのシーンだ。 残り5.3秒、77ー79で追う展開。追い付けなければ、シーズンが終了する。土俵際まで追い込まれた場面でボールを持ったのはエースのヴィック・ローだ。左サイドから長距離の3ポイントシュートを放ち、逆転を狙った。しかし、ボールは無情にもリングに大きく弾かれ、多くの三遠ファンで埋まった会場が「うわっ」と沸いた。 しかし次の瞬間、空気が一変する。 フリースローラインより少し内側で飛び上がり、右手のみでボールをキャッチした松脇圭志がそのままゴールに向けて右腕を振った。宙を舞ったボールは終了ブザーと同時にボードに当たってネットに吸い込まれ、同点に。三遠ファンの歓声が悲鳴に代わり、今度はキングスファンが総立ちとなって喜びを爆発させた。 その後、2度目の延長戦にまでもつれ込れ込み、2点差で勝ち切った。この試合で足を負傷したケヴェ・アルマを欠く中、第3戦はローが30得点10リバウンドの活躍でチームを勝利に導き、ファイナル進出を決めた。 松脇の“奇跡の右手”に象徴されるように、3試合を通して何度も苦しい時間帯はあったが、戦う姿勢を貫いたキングス。第3戦終了後、桶谷大ヘッドコーチ(HC)はこう勝因を語った。 「やる事を最後までやろうぜ、というところですよね。気持ちが切れてしまったら、元も子もない。ネバーギブアップというよりも、40分間、自分たちがコントロールできることをやり続ける。レギュラーシーズンから、それをコーチと選手が信頼関係を持ってやってきました。だからこそ、運も引き寄せられたんだと思います。それが、このシリーズに生きました」

“対照的”な攻撃スタイルのキングスと宇都宮

ゴール下で強烈な存在感を放つジャック・クーリー

激戦を乗り越え、全ての力を出し切って辿り着いたファイナルの舞台。 レギュラーシーズンでは、キングスは宇都宮と沖縄サントリーアリーナで1月下旬に2試合を戦った。初戦は86ー105で敗れ、次戦は97ー88で勝利。どちらもCSの試合と見紛うような激しいフィジカルのぶつかり合いだった。 2チームの特徴としては、オフェンスにおける最大の強みが対照的なことが挙げられる。 ジャック・クーリーとアレックス・カークという重量級のセンター2人を要するキングスは平均リバウンド数が43.4本でリーグトップ。「オフェンスリバウンド後の得点」を示すセカンドチャンスポイントも平均16.9点で最多となっており、インサイドの支配力が極めて高い。 一方、宇都宮は良好なスペーシング(選手同士の距離感)を保つことに優れ、フリーを作って3ポイントシュートを高確率で射抜くスタイルだ。シュート試投数のうち、3ポイントシュートが占める割合がリーグで唯一5割を超え、その成功率は35.6%でリーグ2位につける。比江島の44.3%に至っては個人としてリーグNo.1だ。 戦術的な守り方の違いこそあれど、どちらもディフェンスは堅い。 チームの守備力を示す指標として精度が高い「ディフェンシブレーティング」(100回守った時の平均失点)は宇都宮が全体2位の104.7点で、キングスは全体8位の106.0点。 キングスは小野寺祥太や伊藤達哉ら、宇都宮は遠藤祐亮や鵤誠司など、互いにガード、フォワード陣にディフェンス強度が高い選手が揃っている。いかに守備網を突破し、得意とする攻撃スタイルに持ち込めるかは見どころの一つとなるだろう。

小野寺祥太主将「我慢すれば、いい流れが来る」

キャプテンとしてチームを引っ張る小野寺祥太

レギュラーシーズンの直接対決こそ1勝1敗だが、現状のコンディション面も考慮すると、キングス劣勢と見る向きは強いだろう。 エースガードである岸本隆一が離脱し、アルマも復帰できるかが不透明な一方、宇都宮は主力がほぼ健康状態を保っている。強烈なディフェンスと3ポイントシュート攻勢で差を広げられる場面もあるかもしれない。 だからこそ、重要になってくるのが「我慢」だ。 セミファイナル以降、この言葉は選手たちの口からよく聞かれる。三遠との第2戦後、勝利の立役者となった松脇はこう語っていた。 「オーバータイムとかダブルオーバータイムになったら、あとはもう気力勝負だと思います。『忍耐、忍耐』だと隆一さんとも話していたので、しっかり我慢できました」 5月22日午後、横浜へと飛び立つ前に那覇空港でメディアの取材に応じたキャプテンの小野寺も「本当に我慢する時間があると思うので、しっかりチームでコミュニケーションを取りながら優勝を目指してやっていきたいです」と言った。 前述の桶谷HCのコメントにあったように、どれだけ追い詰められてもやるべきことをやり続ける。「我慢をしていれば、自分たちにいい流れが来る」(小野寺)ということを信じて、オフェンスも、ディフェンスも。 両軍ともに疲労が溜まってくる試合終盤は、キングスのリバウンドの強さが際立ってくることも多い。接戦のまま、勝負所の時間帯を迎えることができれば、勝機が見えてくるはずだ。

平良彰吾、荒川颯…“外”の脅威を与えられるか

エナジー全開でのプレーが持ち味の平良彰吾

もう一つ、キングスが勝つために重要になるのが、チームの中心選手以外で勝敗を左右するような活躍をするプレーヤーの事を示す「Xファクター」の存在だ。 CSに入ってからの宇都宮で言えば、22歳のルーキーである小川敦也と24歳の高島紳司の若手二人が見事にその役割を果たしている。いずれも身長が190cm以上あり、ディフェンスが激しい。得点面での貢献度も増している。 小野寺と同じく、那覇空港で取材に応じた桶谷HCは、小川と高島の存在を念頭にファイナルの戦いをこう展望した。 「前回戦った時との違いはそこかなと思います。(宇都宮は)若い選手が育ってきている。ただ、逆を言えばファイナルの経験は僕たちの方がある。僕たちは天皇杯の決勝で若い子たちが戦った経験があるし、メンタル的に自分たちが優位に立てると思っています。そこのアドバンテージを持った上での戦いにしたいです」 では、キングス側でXファクターとしての活躍が期待される選手は誰か。 真っ先に思い浮かぶのは、平良彰吾だろう。指揮官のコメントに出てきた「天皇杯決勝」では11分22秒コートに立ち、3ポイントシュートとミドルシュートを決めて5得点を挙げた。際立って数字が多いわけではないが、相手がインサイドの守備を固める中、平良のスコアは極めて効果的だった。 もう一人は荒川颯だ。レギュラーシーズン終盤は高確率で3ポイントシュートを沈めて二桁得点を何度も記録したが、ここまでのCS5試合は平均1.8点にとどまる。三遠との第3戦では3ポイントシュートを4本放ち、成功は1本のみだったが、自分のタイミングで打っているように見えた。ファイナルでの爆発に期待したい。 リーグ屈指のクラッチシューターである岸本が不在の中、二人をはじめとした日本人選手が外のシュートの脅威を少しでも相手に与えることができれば、インサイドの強みがより生きてくるはずだ。 桶谷HCも、二人を含めた若手が台頭することを期待している。 「これまでもずっと言っていますが、CSはXファクターが出たチームの方が強いと思っています。それが出てくるようなローテーションを作りながら、戦っていきたいです」 いよいよクライマックスを迎えた2024-25シーズン。死闘を乗り越え、またも最終決戦の舞台に戻ってきたキングスは、どのような戦いを見せるのか。激戦必死のファイナルの幕が、もうすぐ上がる。

アウェー開催だったセミファイナルで、客席からキングスの背中を力強く押したファンたち

琉球ゴールデンキングス 2025FINALまでの軌跡

https://www.otv.co.jp/okitive/article/tags/kings/

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