上越市三和区でコウノトリのひな1羽に足環装着 市内今年2例目
新潟県上越市三和区で孵化(ふか)した国の天然記念物コウノトリのひな1羽に2025年7月9日、個体識別のための足環(あしわ)が取り付けられた。上越市内でのコウノトリのひなの誕生は、今年は吉川区に続いて2例目。
《画像:ひなの体を保冷剤で冷やしながら足環を装着するスタッフ》
親鳥のつがいは京都府京丹後市生まれの6歳の雄と鳥取県八頭町生まれの3歳の雌で、今回が初めての繁殖となった。
孵化確認から41日目に行われた足環の装着は、兵庫県立コウノトリの郷公園(豊岡市)と東京動物園協会野生生物保全センター(東京都日野市)のスタッフや東北電力ネットワーク上越電力センターの作業員、市職員が行った。高所作業車2台で、高さ約10mの電柱の先端部にある巣に近寄り、網でひなを捕獲。地上に降ろした後、アルファベットと数字を組み合わせた個体番号が書かれたアルミ合金製の黒い足環を両足に取り付けた。
《画像:高所作業車を使ってひなを捕獲》
この日は30度を超える暑さで、ひなの体温が高かったため、扇風機で風を送り、保冷剤で体を冷やしながら作業を行った。体重や全長、足の太さなども測り、性別や健康状態を確認するために血液や羽毛も採取した。ひなは体重が3.35kg、全長が77.5cmで、生まれたのが巣の中で1羽のみにしてはやや小さいが標準的な大きさで、順調に成長しているという。
《画像:足環の装着後、巣に戻されたひな(上越市教育委員会提供)》
同公園の獣医師で松本令以主任研究員(50)は「ひなは網を被せる時に起き上がろうとするなど、元気だった。新潟は田んぼが広がり、餌をたくさん採れそうな環境で、今後(来年)どこかで巣作りが始まってもおかしくないと思う」と話した。
ひなの巣立ちは今月下旬から8月上旬の見込み。
《画像:親鳥のつがい。立っているのが雌(2025年6月1日撮影)》