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「自分は他の会社で通用する?」もう振り回されなくていい、不安との向き合い方【27歳からのキャリア戦略】

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「自分は他の会社で通用する?」もう振り回されなくていい、不安との向き合い方【27歳からのキャリア戦略】 【求人ボックスジャーナル】はたらき方やキャリアを考える機会を創出するメディア

転職サイトなどの「市場価値診断」「年収診断」で思い通りの結果が出ず、「自分は社外で通用しないのでは?」という不安を持つビジネスパーソンは少なくありません。

これまで30年以上転職支援を行ってきた転職のプロ・黒田真行さんは、「市場価値や社外通用度というあいまいな概念に振り回されないで」と語ります。

「市場価値」「社外通用度」というあいまいな概念にまどわされる必要はない

—— 「社外でどこまで通用するか」と不安を抱える方が増えているようですが、具体的にどのようなケースがありますか?

よくあるのは、長期間同じ会社に勤めている方々が抱える不安です。以前、42歳のメーカー勤務で、20年間転職経験がない方から転職相談を受けました。営業経験が長い方でしたが、拠点や部署の異動を通してさまざまな業務を経験したことで、「自分には突出したスキルがない」と悩んでいました。

これは40代に限った話ではなく、20代後半から30代の中堅でも同じことが言えます。中には 社内で評価されて、リーダーやマネージャークラスまで昇進していても、その評価が社外で通用するかどうかが不安 だという人もいます。特に、会社の業績不振が続いていたり、一部の部署でリストラされたりといった悪い現象が起こると、「自分もいつか社外に放り出されるのでは……」と不安が強くなるケースが多いです。

—— こうした不安に対してどのように向き合うべきだとお考えですか?

まず、 「市場価値」や「社外通用度」に対する不安が湧くこと自体は、健全なことだと捉えてください 。こうした不安、今後のキャリアを見つめ直すきっかけとなり、自分のサバイバル能力を高めていく流れにもつながります。決して不自然なことではありません。

ただ、メディアによる影響は問題視する必要があります。例えば、化粧品の広告で「あなたのスキンケアは間違っている」などと消費者の不安を煽る傾向がありますが、転職市場も同様です。転職サイトには、「あなたの給料は適正か」「社内で本当に評価されているのか」という、世の中のビジネスパーソンを不安にさせるような言葉が目立ちます。こうした煽り文句に影響を受けて不安になることは、ある意味仕方がないとも言えます。

—— 確かに、転職サイトなどで自分の市場価値を図ろうとする心理はよく理解できます。想像よりも悪い結果が出ると、これまでの経験が否定されたような気がしてしまいそうです。

まず、 これまで培ってきたスキルや経験は決して無駄にはなりませんから、安心していただきたいと思います 。もし自分に特定の専門スキルがないと感じても、これまでに培った経験や業務上の知識は、決して無駄ではありません。例えば、営業も人事も経験した方は、ネガティブに捉えると「中途半端」「どっちつかず」と思い悩みがちです。しかし、それを逆手にとって、「複数の経験を経たのでそれだけ自分の中の引き出しが多い」とポジティブに捉えていいはずです。

そもそも、仕事を真面目にやってきた人が自分を責めるのはおかしい。胸を張って、堂々としておけばいいんです。

—— 漠然とした不安が消えない人は、どのようなマインドを意識すると良いでしょうか?

どうしても不安が拭えないなら、 その不安が本当に意味のあるものか を疑ってみてください。必要がない不安だとわかれば、最初から向き合う必要はありません。

転職サイトによくある、「年収診断」や「市場価値診断」などの結果に左右されるのも、気をつけてほしいポイントです。市場価値といっても、何の市場を指しているのか分かりませんし、職種や業界によっても基準は変わるはずなので、万人に投げかけた診断結果はあまり意味がありません。

こうした根拠のない情報に、自分の価値を委ねないことが大切です。また、「市場価値」や「社外通用度」という概念自体も気にしないほうが良いと思います。

自分の能力や可能性を軽んじない

—— では、「市場価値」や「社外通用度」という言葉に振り回されず、明るいキャリアを築く過程で、どのような考え方をするのが望ましいでしょうか?

社外通用度や市場価値という言葉は、いわば「過去志向」の概念です。過去志向とは、過去やってきたことのスコアを聞いているだけなので、そんな意味のない話をするより、「これからどんなことに挑戦していきたいのか」「何を目指したいのか」ということに注力するほうが健全です。

過去は変えられませんが、人それぞれ積み上げてきたものが必ずありますから、自信を持ってほしいと思います。

—— 未来を見据えた時、過去のキャリアを生かすか、未経験の職種でもやりたいなら挑戦したほうが良いのか、黒田さんの考えをお聞かせください。

キャリアの道筋は人それぞれなので、どちらでも構いません。これまでの経験を活かすのも、新たな領域に挑戦するのも、どちらも意義のあることだと思います。

—— 未経験の職種や、高すぎる理想を無謀な挑戦だと思う人もいますが、どう考えるべきでしょうか?

手が届く範囲の目標を設定する人がいますが、それは自分を非常に軽んじた行為です 。私たちは、自分の能力や才能をまるで「自分の持ち物」かのように扱ってしまいますが、本当にそうでしょうか。私たちの力は個人のものではなく、親や祖父母たち、代々の先祖から授かったもの。バトンを預り、脈々と受け継いできた蓄積の一部でもあります。

自分にどのくらい伸びしろがあるかはやってみないと分からないし、安易に「自分はこれくらいしかできない」と決めつけるものでもありません。 自分の能力や可能性を疑う行為は、自分自身に対して失礼なことをしていると思ってみてください 。1人の力ではないと思えた時に、前に進みやすくなるのではないでしょうか。

プロフィール

黒田 真行

ルーセントドアーズ株式会社 代表取締役

1988年、株式会社リクルート入社。「リクナビNEXT」編集長、 リクルートエージェント HRプラットフォーム事業部部長、株式会社リクルートメディカルキャリア取締役を歴任した後、2014年にルーセントドアーズを設立。35歳以上向け転職支援サービス「Career Release40」を運営している。 2019年、ミドル・シニア世代のためのキャリア相談特化型サービス「CanWill」を開始。

代表著書 『35歳からの後悔しない転職ノート』『転職に向いている人 転職してはいけない人』

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