日本最初の国を開いたと伝えられる神武東征説話の真偽とは?【日本史】
神武東征説話は、日向国(ひゅうがこく)(いまの宮崎県)の豪族イワレヒコが東の国へ攻め上がり、西日本を制圧し、大和国の橿原宮(かしはらのみや)にて初代天皇に即位。神武天皇となり、日本最初の国を開いたと伝えられる神話です。
ですが、明治政府が「紀元節(建国記念日)」制定時に神武天皇の即位年代を紀元前六六〇年一月一日としたために、逆に真実味が出てきました。縄文文化が終焉し、弥生文化に交代する時期に重なるからです。
紀元前六六〇年は考古学上、縄文晩期に属し、地域によっては弥生時代に移行しつつある年代で、早いところは縄文集落からムラ、ムラからクニへ変化する動きがあったかもしれません。微妙なところです。
また、春秋戦国時代で荒れまくる中国大陸から多数の国外脱出者がわが国に漂着したため、「神武東征」は混乱する日本を守るための各地の行動を総称している可能性があります。微妙なところです。
出典:『図解 眠れなくなるほど面白い 日本史』著/鈴木旭