笑顔で食事を楽しむこと以上のマナーはない。だからこそ「大切なこと」【77歳のマナー講師が伝授】
50年以上の長きにわたり、多くの人々にマナーを教えてきたマナー講師の岩下宣子さん。その著書『77歳の現役講師によるマナーの教科書 本当の幸せを手に入れるたったひとつのヒント』(主婦の友社)は、岩井さんが講師をするなかで実感した、人生で本当に大切だと思ったマナーをまとめたものです。あたたかく、ときに厳しく綴られた77の項目には、マナーを超えた、より豊かな人生を送るためのヒントが満載! きっと、あなたの心に響くはずです。今回はこの本の中から、思い描く自分に近づき、明るく軽やかに生きるためのふるまい術をご紹介します。
※本記事は岩下宣子著の書籍『77歳の現役講師によるマナーの教科書 本当の幸せを手に入れるたったひとつのヒント』から一部抜粋・編集しました。
食事のペースは相手に合わせる
食事のとき、自分だけが遅いとあせってしまいます。逆に、自分だけが先に食べ終わってしまったときはなんとなく手持ちぶさた。
世の中にはさまざまなテーブルマナーがありますが、同じテーブルを囲んだ人が笑顔で食事を楽しむこと以上のマナーはないと私は思います。だからこそ、お互いにペースを合わせることが大切なのです。
皇族の方は、晩餐会などのときにお料理をひと口分だけ残されるのだそうです。よくこれを「全部食べてしまうと、『足りなかった』と思われる。だからひと口分残すのだ」と言う人がいます。それもあるのかもしれませんが、以前、宮内庁の大膳課の方がこうおっしゃっているのを聞いたことがあります。
皇室の晩餐会では、多くの方に食事が振る舞われます。皇族の方は先にお料理が振る舞われますから、最後の方とはどうしても時間差が生まれます。そのためできるだけゆっくりいただき、最後のひと口は必ず残したままにしておくそうです。「まだ私も終わっていませんので、どうぞごゆっくり」、そんな思いが込められているのだそうです。素敵ではありませんか。周囲の人のペースに心を配りながら食事することの大切さを物語っています。
食事ではありませんが、男性が女性の歩幅に合わせて歩いていたり、若い人が年配の人のスピードに合わせたりしているのを見ると、なんだかあたたかな気持ちになります。日本人はマイペースな人が多い気がします。「私以外の人はいま、どんな気持ちでいるんだろう」と周囲を見回し、ペースを調整する。そんな気づかいがお互いにできたら素敵ですよね。
『お互いのペースに合わせる、だからハッピー』。