なぜ日本の消費税は当初3%に決まったのか?堀潤が解説
1989年4月、日本ではじめて消費税が税率3%で導入された。野村邦丸アナウンサーがパーソナリティを務めるラジオ番組『くにまる食堂』(文化放送・月曜日~金曜日9〜13時)6月11日の放送は、ジャーナリストの堀潤氏が出演し、消費税はなぜ3%で始まったのか?について話した。
堀潤「消費税創設の時に大蔵官僚だった方と消費税創設の時にずっと反対していた小売りのドンの方にそれぞれ話を聞いたことがあります。“そもそも消費税はなんで3%なんですか?”と聞きました。1970年代のころからこの国の将来の社会保障や人口減少における状況を支えるには大型の間接税が必要だと大蔵省は考えていました。何度もトライしようとしても、政治がうまくいかず調整ができなかった。竹下登さんが総理大臣になる直前に今まで反対していた小売業界のトップ、ライフの清水会長に電話します」
野村邦丸(パーソナリティ)「スーパーマーケットのライフですね」
堀「竹下さんが清水さんにこう言います。“あなたに特別な秘密を打ち明ける。私はまもなく総理になる。その私が、清水さんにお願いしたいのは、消費税導入を呑んで欲しいということ”このことを、清水さんから聞いたんですけど、清水さんは戦前の男気ある方で、“わかりました。そこまで言うなら検討しましょう。でも1%なら呑めます。だって、私たち小売りが代わりに集めるわけでしょ。現場の苦労を知ってますか?値上がりしたと言われて、売れなくなったらどうするんですか?”と返答します。しかし、大蔵省は“10%、20%と高い税率じゃないともたないから、最初は5%にさせてくれ“と言ってきた。それで、1%か5%かという時に金丸信さんがやってきて、”お互い2ずつ引け“と言って3に決まった」
邦丸「3は折衷案なんですね」
堀「こういう時に政治が見えてくるわけです。具体的に科学的根拠があってということよりは、そういった気によって決まってくる。だから、今こそ消費税の問題は、どういう税なのか?抜本的に議論し直して、今本当に必要なのか?これを変えたら日本の将来が揺らぐのか?大消費税を争点にした選挙をしっかりやって欲しいです」