《市民病院医療事故多発》日本脳神経外科学会の専門医訓練施設に復帰
赤穂市民病院に対して日本脳神経外科学会が行っていた専門医訓練施設の認定停止が4月1日付けで解除された。2022年8月の認定停止以来、約2年7か月ぶりに同学会の専門医訓練施設に復帰した。
学会は、同病院の脳神経外科手術で2019年から20年にかけて多発した医療事故への対応をめぐり、「医療安全管理体制に安全教育上の重大な懸念事項がある」として認定を停止。期限を設けず、「医療安全体制の整備や一連の医療事故の問題点総括が完了し、その対応策が確実に実行されていることが確認されるまで、認定を停止する」としていた。
学会によると、医療事故多発を受けて開催された「赤穂市民病院ガバナンス検証委員会」の調査報告、改訂した医療安全管理指針とマニュアルを確認するなどし、今後の研修施設報告に▽病院及び脳神経外科内の実際の医療安全管理体制と医療安全活動の実績▽脳神経外科における専攻医指導体制と具体的指導内容ーを含めることなどを条件に専門医訓練施設への復帰を承認したという。
一連の医療事故をめぐっては、診療科が提出した医療事故報告書とは別に診療科長が作成した報告書が存在。2種類の報告書それぞれで事故を起こした医師や事故原因が異なっており、病院はいまだに報告書の真偽を明らかにしていない。また、兵庫県赤穂健康福祉事務所が昨年2月に行った立入検査を踏まえて作成した文書では「ヒヤリハットの報告について医師以外の報告はできているが、一部の医師については報告されていない」との指摘がある。
学会は赤穂民報の取材に「当時の医療安全管理体制の問題点を総括することを、再認定の条件としていたので、医療事故の原因について総括することを求めてはいない。(県の指摘は)行政の指導内容の細部であり、学会で求めているものとは粒度が異なる」などと回答。いずれも再認定の妨げにはならないとの考えを示した。
認定停止解除を受け、赤穂市民病院は1日、「引き続き、医療安全の推進に努めてまいります」とコメントした。