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ジェイムズ・ラブリエ「新曲をセットリストに入れ続け、忘れられない体験にしたい」ドリーム・シアター『PARASOMNIA』新作インタビュー

YOUNG

ジェイムズ・ラブリエ

活動40周年を迎えたドリーム・シアター(DT)を大特集したヤング・ギター2025年3月号の記事はもうお読みいただけただろうか? そこにはジョン・ペトルーシの最新インタビュー、ペトルーシと13年ぶりにバンド復帰を果たしたマイク・ポートノイ(dr)の2ショット・インタビュー、さらにその2人と並ぶDTの創始者ジョン・マイアング(b)のメール・インタビューを掲載しているが、実は彼ら以外のメンバーからもコメントを貰う手筈で準備を進めていた。残念ながら締め切りに間に合わず誌面掲載は見送られたが、タッチの差でジェイムズ・ラブリエ(vo)とジョーダン・ルーデス(key)からも回答を得ることができたので、順を追って紹介することにしよう。まずはラブリエのメール・インタビューから。

アルバムのヴォーカル・メロディを作るのは、いつも共同作業なんだ

YG:昨年10月から始まったバンド結成40周年記念ツアーは大盛況のようですね。あなたもバンドに加入して34年が過ぎ、創設メンバーのジョン・ペトルーシ、ジョン・マイアングに次いで3番目に長くバンドに在籍していることになります。これほど長くバンドのフロントマンを務めてきた人物として、特に印象に残っている出来事があれば教えてください。

ジェイムズ・ラブリエ(以下JL):思いつく限りでは、印象的な出来事はいくつかある。その中でも特に印象に残っているものをいくつか挙げてみると…

●1991年10月14日、『IMAGES AND WORDS』のレコーディングを始めるためにベア・トラック・スタジオに入ったことは、このアルバムが世界的に認知されるきっかけとなり、セールス的にも大成功を収めたことを鑑みると、極めて重要な瞬間だった。ここでの成功が、その後も作品をリリースしたりツアーし続けたりできるようになる礎になったんだ。

●もう1つの素晴らしい瞬間は、最初のコンセプト・アルバム『METROPOLIS PT.2:SCENES FROM A MEMORY』をレコーディングした時。再び愛するベア・トラック・スタジオでレコーディングしたんだが、常に折衷的で、間違いなく映画的な音楽性を持つバンドとして、このような作品を制作するのは当然のことだった。そして、またしてもこのアルバムは世界中で大成功を収めた。

●2006年、私達は初めてニューヨークのラジオシティ・ミュージック・ホールで演奏した。フル・オーケストラと共演しただけでなく、『SCORE』と題されたDVDリリースのためにショウをシューティングしたんだ。

●そして最後に、「The Alien」という曲でグラミー賞を受賞したことも、大きな意義のある瞬間だった。私達の音楽の性質上、このような賞はいつまで経っても獲れないものだと思っていたからね。

YG:2023年10月にマイク・ポートノイの復帰が発表され、2024年には最新アルバム『PARASOMNIA』の作曲とレコーディングが行なわれました。DTの楽曲制作のプロセスは、通例的に楽器奏者同士のジャム・セッションから始まりますが、あなたはどの時点でこのセッションに参加したのですか?

JL:作曲セッションには初日から参加したし、その後もすべてのセッションに参加した。直接スタジオにいることもあれば、自宅のスタジオにズームで接続していることもあったよ。

YG:アルバムのコンセプトは“睡眠障害”を軸にしています。このテーマには、あなたの意見やアイデアはどの程度反映されていますか?

JL:この特別なテーマに対する私の考えは、音楽的ないくつかのアイデアと、ヴォーカルのメロディ、そして私の作詞/作曲を通して反映されている。

YG:あなたは「A Broken Man」と「Bend The Clock」に歌詞を提供していますね。歌詞の方向性について、プロデューサーを務めたペトルーシからどの程度の指示を受けましたか?

JL:歌詞の内容がテーマ的に“Parasomnia”に関係するものであることにするという点に合意したことを除けば、私は自分の言葉や歌詞を書く時はいつも独自のアイデアに則って作業していたよ。

YG:ヴォーカル・メロディは、その大部分をあなたが書いたと考えてよろしいですか?

JL:アルバムのヴォーカル・メロディを作るのは、いつも共同作業なんだ。今回は私、ジョン・ペトルーシ、マイク・ポートノイ、ジョーダン・ルーデスの4人で書いた。

YG:『A DRAMATIC TURN OF EVENTS』(2012年)以降、ペトルーシは1人でプロデュースを担当しています。サウンドのクオリティを含めて、プロデューサーとしてのスキルは着実に向上していると思うのですが、プロデューサーとしての彼をどう評価しますか?

JL:バンド・メンバーがプロデューサーを務めることは、アーティストによっては問題になることもあるが、ジョンはバンド・メンバーとプロデューサーの両方の役割をシームレスにこなすことができる。何よりもまず、彼は私達がバンドであること、そしてメンバーそれぞれが長年にわたって貢献してきた強みを持っていることを理解し、尊重してくれるんだ。そして、それ以上にジョンは、我々の音楽的なアプローチについて、その時々に考慮すべきことを常に明確に理解し、考えてくれている。彼はプロデューサーとして舵取りをし、すべてを軌道に乗せるが、曲作りやレコーディングの過程では、あらゆるアイデアや提案に耳を傾けてくれるんだ。そのため、各メンバーの役割を(必要以上に)考え過ぎることなく、抑圧されたり指示されたりすることもなく、自分達の技術とその目標に忠実であり続けることができる。だから、ジョンはこれまでも、そしてこれからも、礼儀をわきまえながら賞賛をもってプロデュースを続けていくことになるだろう。

YG:それにしても、ニュー・アルバムを聴いて、30年前と比べてもヴォーカルの張りや伸びが全く衰えていないことに驚きました。ご自身の喉を良い状態に保つために、普段から気をつけていることやトレーニングしていることはありますか?

JL:最近(去年から)、トロントにある“ヴォイス・クリニック”の言語聴覚士、アーロン・ロウに診てもらっているんだ。彼はスティング、サム・スミス、トレント・レズナー、ショーン・メンデスなどのヴォーカリストや、演劇やオペラの歌手を診てきた。彼のアプローチは(平たく言えば)、食道と喉頭蓋が完全に機能し、最適な位置になるように喉の周辺をマッサージするというものなんだ。これにより、スタジオだけでなくツアー中のライヴ・パフォーマンスでも、持久力と一貫性を得ることができるようになった。実際には今説明したことよりもずっと複雑なんだが、それでもアイデアや要点を理解してもらうには十分だと思う。それにアーロンのテクニックだけでなく、私は演奏前にウォーミング・アップをし、演奏後には必ずクール・ダウンするようにしている。また健康的な食事、運動、そして常に楽器を第一に考えるという規律を守っている。中でも最も重要なのは、潤いと集中力を保つために、水分をたくさん摂ることだね。

YG:『PARASOMNIA』のツアーはどのようなものになりそうですか?

JL:40周年記念ツアーが終わると、アルバム『PARASOMNIA』を全面的にサポートするツアーに切り替わる。アルバムを全曲演奏できる日を楽しみにしているよ。それから、私達のカタログから新曲をセットリストに入れ続け、忘れられない体験にしたいと思っているんだ。

(インタビュー:平井 毅 Takeshi hirai Pic: Mark Maryanovich)

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