渡瀬結月「『まだ諦めるには早いよ』と言われて、絶対に声優になりたい気持ちが強くなりました」【声優図鑑 by 声優グランプリ】
キャラクターの裏に隠された声優たちの素顔に迫る、インタビュー企画『声優図鑑 by声優グランプリ』。
今回は、『D4DJ』のユニット・Lyrical Lilyのメンバー・竹下みいこ役や、『BanG Dream! Ave Mujica』の若葉睦/モーティス役などを演じる渡瀬結月さん。一度は諦めようと思った声優の夢に向き合った時の思い出や、“人生の教科書”にしているアニメ作品のことなど、ここだけのお話をたっぷりとうかがいました!
渡瀬結月
わたせゆづき●2月18日生まれ。響所属。主な出演作はアニメ『D4DJ All Mix』(竹下みいこ)、『BanG Dream!』(若葉睦/モーティス)、『カードファイト!! ヴァンガード Divinez』(西園寺ユナ)、その他『女子プロレス団体スターダム』(リングアナウンサー)ほか。
公式HP:https://hibiki-cast.jp/hibiki_f/watase_yuzuki/
X:@Watase_Yuzuki
★渡瀬さんの手書きプロフィール&コメント動画は2ページ目に!
デビューからの3年間は修行のような時間でした
――2025年4月で声優デビュー5周年。どんな5年間でしたか?
全体を通すとあっという間でしたけど、準備期間を含めた一日一日を振り返ると長かったなと思います。
――準備期間というと?
デビューが2020年で、コロナ禍の真っ最中。イベントやご挨拶の場が次々と中止になりました。当時は声優のレッスンで声のスキルアップをしながら、Lyrical Lilyのダンスレッスンや、ギターにも初めて挑戦していたので、3年くらいは修行期間のような感じだったんです。そういう意味で、Lyrical Lilyは私にとって安心できる場所というか、今でもスタッフさんやキャストの皆さんにお会いするとホッとするし、初心に返れる場所でもあります。
――そういう存在があるのは心強いでしょうね。そして2023年からは『BanG Dream! 』に出演しています。
この作品も初挑戦だらけで。役柄もそうですし、ギターもそうですね。バンドで一つの音を作るっていうアンサンブルも、ほぼ初めての経験でした。6歳くらいからエレクトーンを習っていましたけど、基本はソロ演奏。さらにギターの場合、鍵盤によって音の場所が決まっているエレクトーンと違って、ちょっと場所がズレると音が変わってしまうので、そこも苦労したところです。最近はやっとできることが増えて、“もっとこうしたい”と思えるようになってきました。
――2024年から『カードファイト!! ヴァンガード Divinez』で西園寺ユナ役を担当されています。ここでも何か新しい挑戦はありましたか?
バトル作品が初めてで、初めてのファイトの回ではものすごく緊張しました! 私自身、戦うような経験ってなかなかないし、お稽古にもアフレコ当日の練習にも、マネージャーさんに付き添ってもらいました。ユナちゃんはもともと元気いっぱいの子だから、バトルの収録ではすごくスタミナを使って汗だくでしたね。
――きっとその努力が見ている人にも伝わったと思います。
そうだといいな……。最初からパワー全開っていうわけではないので、序盤から終盤までのクレッシェンド的な盛り上がりも意識しましたし、ユナちゃんの場合は、すごく大切な存在がファイトの相手だったので、キャラクターの心情を踏まえた盛り上がりを考えながら演じました。
なれると確信していた声優を一度は諦めて……
――もともと、どんな想いで声優を目指したのでしょうか?
きっかけは、小学生の時に母が観ていた『鋼の錬金術師』です。主人公のエドワード・エルリックを朴璐美さんが演じていて、女性が演じているとわかった瞬間に“ウソじゃん……”と思って。そこから意識しはじめました。中学の時から日本ナレーション演技研究所に入って、ジュニア科で3年間お芝居を教わりました。偶然、私が入った年にアナウンス部が新設されて、アナウンス部も3年間続けました。
――声優の道まっしぐらっていう感じですね。
その頃から声優になる道しか見えていなくて、逆にほかになりたいものがなかったんです。ディズニーが好きで、テーマパークのキャストになりたい夢もありましたけど、声優のほうがなれるという確信がなぜかあって。それしかなかったから、ずっと突っ走っていたような感じです。
――その頃によく観ていたり、影響を受けたりした作品はありますか?
大好きだったのは『モブサイコ100』。『ワンパンマン』と同じONEさんの作品なんですけど、勝手に「人生の教科書」とさせていただいてます(笑)。当時ほぼ新人だった伊藤節生さんが、大御所のキャストの皆さんに混じって演じられていて、こういう演じ方があるんだ……と思いながら観ていたし、作品自体からも衝撃を受けました。
――それはどんなところですか?
中学生の男の子が主人公なんですけど、周りの大人たちが彼の思春期ならではの悩みに寄り添っているのを見て“わぁ〜……”っとなって。当時リアルな中学生だったのでなおのこと、キャラクターの言葉一つひとつにも救われました。
――それで人生の教科書に……。そんな濃厚な中学生時代を過ごした後、Lyrical Lilyのキャストオーディションを受けています。
はい。高校2年生の秋から冬くらいでした。高校1年生の1年間だけ、日ナレとは別の養成所に通わせていただいたんですけど、そこではご縁がなく。そういった流れもあって高校2年生は何もしない年だったんです。しばらくお芝居から離れていたし、部活はお芝居とは関係のない写真部でした。その時期、アニメや声優は一度諦めようかなと思っていたんですけど……諦めきれなくて。キャストオーディションではブランクが1年あったので、まさか通るとは思っていませんでした。
―― 一度諦めようと思ったからこそ、やっぱりなりたいという気持ちが強く感じられたんでしょうか?
そうですね。正直、養成所の費用を払ってもらっている両親に申し訳なかったし、夢が叶ったとしても綱渡りなお仕事だし。一般公募のオーディションを受けていたのは、お金がほとんどかからなかったから。でも、Lyrical Lilyの最終審査で木谷(高明)社長に今までの境遇をお話ししたら、「まだ諦めるには早いよ」と言ってくださって……“そうか!”と。よく考えたら、まだ人生ちょびっとしか生きていないんですよね。それもあって、絶対に声優になりたい! という気持ちが強くなりました。
――そんな経緯があって、竹下みいこ役に決まったんですね。
実は二次審査では別の役を選んで演じていたんです。そんななか、演技審査はないと思っていた三次審査でも演技審査があって、「どうしよう……」と思っていた時、とっさに目に入ってきたのが竹下みいこちゃんでした。
――運命のようですね……! では、声優を始めたばかりの頃に難しかったことや、今だから話せる失敗談があったら教えてください。
コロナ禍でなかなか顔合わせができないなか、最初のお仕事がLyrical Lilyの「汚れっちまった悲しみの色」のレコーディングでした。ディレクションの方が「渡瀬さん自身で歌ってください」というようなことをおっしゃってくださって、そのまま素で歌っちゃったんですよ。でも曲が公開されたら、みんなキャラで歌っていて……。これって「渡瀬さん自身のみいこちゃんで歌って」ということだったのかなと……。今聴き返すとほかの曲とはまったく違っていて、もう録り直したいレベルです(笑)。
目的がないときの休日は、横になってTikTokを観ます!
――休日はどんなふうに過ごしていますか?
もうずっと寝ています。横になるのが好きで。で、お腹がすいたら立ち上がる(笑)。実家なので、地元の子ともよく遊んでいて、最近はお互いの好きな作品が一致して、一緒に推し活をしていますね。あとは、夜遅くにchocoZAPに集合して、1、2時間運動して、コンビニに寄って帰ったりとか。その子は中学の部活が一緒だった子で、小学1年からの仲なんです。
――長い付き合いですね。お仕事の話をすることも?
ライブに来てくれます。グッズのくじも10連くらい引いてくれて、めっちゃ楽しんでますね(笑)。家には私のグッズもあるらしくて……うれしいです。
――励みになりそうですね。ちなみに、おうちで横になっているときは何を観ているんですか?
TikTokが止まらないタイプです……。オススメに流れてくるのはだいたい、自分の好きなアニメとかなんですが。犬も大好きで、犬の日常を撮った投稿に「いいね」をしています。コーギーとかペキニーズが好きで。
――ずっと観ていられそうですね。
あと、休日ではないですけど散歩が趣味で、お仕事の合間に時間があると、次の現場まで歩いたりします。なので、完全インドアってわけでもないですね。
――声優さんでよく会う方はいますか?
ユニット系が多いんですけど、一緒にいると落ち着くのはLyrical Lilyの反田葉月ちゃん。反田ちゃんは誰でもすぐ仲良くなれちゃう魅力があって、自分は仲良くなるまでに少し時間がかかるタイプ。でも多分根が似ているから、二人でいるときに波長が合う感じがして。話が全然途切れないです。
――最後に、ここまで読んでくれた方にメッセージをお願いします。
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。人前で初めて話すこともあったので、みんなに私のことを知ってもらえるうれしさと、知られちゃったっていう恥ずかしさがあって、ちょっとくすぐったいですけども(笑)。小さい頃から、命尽きるまで自分の声を使ったお仕事をすることが自分への誓いだったので、皆さんにもその姿を見ていただけたらうれしいです。末長くよろしくお願いいたします!
~声優未来予想図~
Q:これからどんな声優を目指したいですか?
▼1年後の未来
おかげさまで今いろんな種類のお仕事をさせていただいているので、目の前のお仕事をとにかく一生懸命真っすぐに頑張って、それを声優としても成長していく糧にできたらと思っています。
▼3年後の未来
アニメにたくさん出たいです。メディアミックスの作品に携わる機会が多いので、もっと広い世界を見てみたいです。最初の憧れが少年のキャラクターだったので、男の子も演じてみたい!
▼5年後の未来
20代後半か〜。命尽きるまで声優をやっていたいので、ナレーションや吹き替えにも挑戦していたいですね。アニメ以外でも自分の声を使っていけたら、幅が広がると思うので。映画を観るときに、先輩方の演じ方を意識しながら見ることもあります。
▼10年後の未来
ディズニーと関われるといいな……アトラクションのアナウンスとか。ミッキーマウスになりたいって思うほど大好きなので、もし願いが叶うならば、自分の声とミッキーの声で会話できたら、もう悔いはありません!
撮影/武田真和 取材・文/吉田あき
渡瀬結月さん手書きプロフィール
渡瀬結月さんコメント動画
▼動画URLはこちら
https://youtu.be/QkNClD7CP_8
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