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歩くことに実際どんなメリットがあるの?新年度からはじめたい“歩く習慣”

saita

歩くことに実際どんなメリットがあるの?新年度からはじめたい“歩く習慣”

新年度、新生活。お正月の新年とはまた違った気持ちで、新たな1年の始まりを感じられる時期になりました。 少しずつ暖かくなっていくこの時期こそ、自分自身を見つめ直すと同時に、新たな習慣をスタートさせるのにピッタリだと、僕は思っています。 そんな中、今回お勧めしたいのは「歩くこと」です。

みんなちゃんと「歩いてる?」

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40代になると、運動習慣がある人とない人で心身に大きな差を感じるようになってきます。運動している人は若々しい身体を保ち、体力もまだまだある。だけど、運動習慣がまったくないと、どんどん動きたくなくなって、ちょっと歩いただけでも息切れしたり、身体も老いを強く感じたりするかもしれません。

ですが、運動と言ってもジムに通ったり、ランニングをしたりするのは続かない。そんな時間もない。体力つけるために運動したいけど、そもそも運動する体力も気力もない……。なんて人もいるでしょう。

でも、始まりはいつだってシンプルでいい。
ランニングシューズを買ったり、ウェアに着替えたり、ジムに通ったりしなくても、「歩く」だけで充分人生を変えることができるんです。

1日6,000歩(約60分)も歩けば、心肺機能を向上し、睡眠の質も高まり、筋力の衰えだって防ぐことになる。ですがこうした健康効果や、歩き方のコツは、専門家が様々な発信をしていますので、詳しいことはそちらに譲って。

僕が今回、強く勧めたいのは、歩く習慣がいかに人生を豊かにするかということについてです。

心を落ち着かせ、頭が冴えわたる

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じつは、僕は2年ほど前から「散歩沼」にハマってしまっています。あまりにも好きすぎて、自分の限界を知りたくなり、24時間一睡もせずに100kmを歩くウルトラウォークという大会にも、昨年は3回出場してしまいました。

毎朝30〜60分、近くの公園を歩き、休日には遠征して街歩きや山歩きを楽しんでいます。歩くことの何がそんなに楽しいのか。たしかに、歩いていてドーパミンがドバドバでるような興奮や楽しさはありません。ですが、心の不安を落ち着かせ、考え事をしたり、アイディアを練ったりするのにこれほど素晴らしい時間もないのです。

哲学者をはじめ、クリエイターやアーティスト、経営者、様々な人達が「歩く習慣」を持っていました。

中でも有名なのが、哲学者のイマヌエル・カントです。ドイツの哲学者であるカントは非常に規則正しい生活を送っていたことでも有名で、毎日午後3時ごろになると近くの公園を1時間ほど歩いていたようです。この習慣は、雨の日も雪の日も例外はなく、まるで時計のように規則正しく、地元の人はカントの散歩時間を見て時計を合わせたとも言われるほど。

さらによく歩いていたのがジャン=ジャック・ルソー。まさに「哲学会のウォーキングマスター」です。
町の喧騒から離れ歩くことで、社会のしがらみから解放され、自由に思索できると考えていました。歩きすぎて、晩年には「孤独な散歩者の夢想」という自伝まで出しています。

40代は、仕事でイライラすることもあれば、子育てに疲れてしまうことも多い時期。将来への漠然とした不安や、衰えゆく身体に恐怖を感じることもあるかもしれません。

ですが、ただ「歩く」というだけで、そうした不安から心が解放されるのを感じることができます。不安の解消にマインドフルネスが有効だと言われますが、同じ効果が、さらに運動効果までプラスされて得られるのが「歩くこと」です。

景色を楽しみ、一歩に集中する

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とは言え、「ただ歩くのは退屈」ということも聞きます。
そんなときは、音楽やPodcastを聴きながら歩くのもいいでしょう。学びやエンタメの時間と、運動を融合することができます。

ですが、「散歩沼」にハマっている僕としては、ぜひたまには「歩くこと」に集中してみて欲しいと思います。
まずは周りの景色を眺めながら。いつもと違う景色や世界が目に入ってくるかもしれません。そして、次に身体に意識を集中しながら。踵がついて、つま先を蹴り出す。ふくらはぎ、お尻の筋肉が動くのを感じる。腕の振り加減に、呼吸に意識を向けてみる。

いつもは意識もしていなかった、身体の動きを感じ、歩きやすい歩き方やペースを探ってみる。

この歩く探求は、いつまで続けても尽きることはありません。姿勢の悪さに気づいたり、身体の不調に気づいたり多くの気付きがあります。

そして、いつしか散歩をすることで、自分の心と身体をコントロールできていることに気づくでしょう。

ぜひ、新年度。少しだけ歩く習慣をはじめてみませんか。

三木智有/家事シェア研究家

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